ペルシア戦争を描く壮大なスペクタクル ---
『300〈スリーハンドレッド〉』(原題: 300)は、2007年公開のアメリカ映画。ザック・スナイダー(41)が監督を務め、フランク・ミラーとリン・ヴァーリーによる同名のグラフィックノベル(短編漫画)を原作とした歴史ファンタジー・アクション作品である。物語は、紀元前480年の「テルモピュライの戦い」を題材に、スパルタ王レオニダスが300人の精鋭とともにペルシャ帝国の大軍に立ち向かう壮絶な戦いを描く。
本作は、ブルースクリーンを多用して撮影され、全編がスタイリッシュなビジュアルで統一されている点が特徴。製作費約6,500万ドル(約78億円)に対し、全世界で4億5,600万ドル(約550億円)を超える興行収入を記録し、大ヒットを果たした。スローモーションを駆使した独特の戦闘シーンや、視覚的に美しい映像表現が高く評価された一方で、歴史的事実との乖離については賛否が分かれた
『300〈スリーハンドレッド〉』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
紀元前480年、ペルシャ帝国のクセルクセス王は圧倒的な大軍を率いてギリシャへの侵攻を開始する。スパルタ王レオニダスは、自由と祖国を守るため、300人の精鋭部隊を率いてテルモピュライの狭隘な戦場でペルシャ軍と対峙する。数では劣るスパルタ軍だったが、戦略と卓越した戦闘技術でペルシャ軍に大きな損害を与え、抗戦を続ける。しかし、クセルクセスの軍勢は増援を続け、戦況は次第に不利となる。さらに、裏切り者の存在がスパルタ軍の崩壊を決定づける要因となる。
最後まで戦い抜く覚悟を決めたレオニダスと300人の兵士たちは、命を懸けてペルシャ軍に挑み、自由を守るための象徴的な抵抗を歴史に刻む。その壮絶な戦いの結末は、ギリシャ全土にスパルタの名を轟かせ、後の歴史に大きな影響を与えることとなる。
『300〈スリーハンドレッド〉』の監督・主要キャスト
・ザック・スナイダー(41)監督
・ジェラルド・バトラー(37)レオニダス王
・レナ・ヘディ(34)ゴルゴ王妃
・ロドリゴ・サントロ(31)クセルクセス王
・デヴィッド・ウェナム(41)ディリオス
・ドミニク・ウェスト(37)セロン
・マイケル・ファスベンダー(30)ステリオス
・トム・ウィズダム(34)アステイオス
(年齢は映画公開当時のもの)
『300〈スリーハンドレッド〉』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 4.0 ★★★★☆ |
・大切な人と観たい | 3.0 ★★★☆☆ |
・ひとりでじっくり | 2.0 ★★☆☆☆ |
・マッチョイムズ | 5.0 ★★★★★ |
・劇画的な映像美 | 4.0 ★★★★☆ |
ポジティブ評価
『300〈スリーハンドレッド〉』は、フランク・ミラー原作の漫画を忠実に再現し、視聴者を非日常的な戦場へと引き込む。ブルースクリーンを活用した撮影技術と、CGを駆使した独特の色彩表現は、古代ギリシャの戦場を神話的な空間へと昇華させインパクトを生み出している。戦場のスローモーションが特徴的。
スパルタ兵たちの鍛え抜かれた肉体も本作の大きな魅力だが、キャストたちは撮影前に徹底したトレーニングを課せられたことで知られる。「300ワークアウト」と呼ばれる厳しいトレーニングメニューをクリアし、役にふさわしい筋肉を作り上げたという。
数的不利を承知の上で戦い抜くスパルタ軍の姿は、勇気と誇りの象徴として印象深い。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
漫画を元にしたファンタジーであるものの、古代に実際に起こった戦争を舞台としたため、視聴者によってはフィクションと事実が曖昧になる。とくにスパルタを文明的に描写し、ペルシャを野生動物かのように描く演出については白人社会からも疑問の声が上がる。現実のペルシャ帝国は、建国者のキュロス大王によって奴隷解放や信仰の自由などの人権に関する法令を定められ、2500年前の時点で世界中のあらゆる地域と比較しても先進的な文明人だったと考えられる。
こぼれ話
『300〈スリーハンドレッド〉』の映像美を支えたのは、ブルースクリーンを活用して撮影されたシーンの数々であり、ほとんどのシーンがCGによる背景で構成されている。これにより、現実を超えた神話的な空間が生み出され、視聴者を古代ギリシャの戦場へと引き込むことに成功した。
原作グラフィックノベルの作者であるフランク・ミラーは映画制作に深く関与し、自身のビジュアルスタイルが正確に再現されたことに満足していたという。彼の作品が持つ物語性や躍動感が溢れる表現を忠実に再現した点を特に評価したという。
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