『ドーン・オブ・ザ・デッド』(Dawn of the Dead)は、2004年に公開されたザック・スナイダー監督によるホラー映画で、1978年のジョージ・A・ロメロ監督作『ゾンビ』をリメイクした作品。
突如発生したゾンビパンデミックによって崩壊する世界を舞台に、生存者たちがショッピングモールに立てこもり、死闘を繰り広げる姿を描く。主演はサラ・ポーリー、ヴィング・レイムス、ジェイク・ウェバー。原作をベースにしながらも、アクション性を強調し、俊敏で凶暴なゾンビ像を採用したことが話題となった。
本作は、スピード感と緊張感あふれる演出で新しい世代の視聴者に支持され、興行収入は世界で1億ドル(当時のレートで約108億円)を超えた。ゾンビ映画のリメイクとしての成功例として評価されると同時に、監督ザック・スナイダーの長編デビュー作としても注目を集めた。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
突如として広がる謎のウイルスにより、人々が凶暴なゾンビと化し、世界は大混乱に陥る。
ウィスコンシン州で暮らす看護師アナ(サラ・ポーリー)は、感染した夫に襲われる中で間一髪のところで逃げ延びるが、平穏な日常は一瞬で崩壊する。逃亡の途中で警官のケネス(ヴィング・レイムス)、テレビセールスマンのマイケル(ジェイク・ウェバー)、妊娠中の女性ルダ(インナ・コロブキナ)らと出会い、一行は安全を求めて近隣のショッピングモールへと向かう。モール内は一見安全な避難場所に思われたが、外には無数のゾンビが群がり、物資の不足や内部の緊張感が生存者たちを追い詰めていく。
さらに、別の生存者グループが加わったことで状況はより複雑化し、極限状態の中で各々が困難な決断を迫られる。そして、一行はモールを脱出し、新たな希望を求めて危険な計画を実行するが、ゾンビの脅威や容赦ない現実が彼らの運命に重くのしかかる。生き残りを懸けた戦いの果てに、彼らが辿り着く結末とは――。
『ドーン・オブ・ザ・デッド』の監督・主要キャスト
- ザック・スナイダー(38)監督
- サラ・ポーリー(25)アナ
- ヴィング・レイムス(44)ケネス
- ジェイク・ウェバー(40)マイケル
- ミキ・ファイファー(29)アンドレ
- インナ・コロブキナ(26)ルダ
- タイ・バレル(37)スティーブ
- マット・フリューワー(46)フランク
(年齢は映画公開当時のもの)
『ドーン・オブ・ザ・デッド』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 4.0 ★★★★☆ |
・大切な人と観たい | 3.0 ★★★☆☆ |
・ひとりでじっくり | 3.0 ★★★☆☆ |
・恐怖 | 5.0 ★★★★★ |
・ゾンビブームの火付け役 | 5.0 ★★★★★ |
これぞ恐怖体映画!
『ドーン・オブ・ザ・デッド』は、1978年版の名作をリメイクしながらも、ザック・スナイダー監督の斬新なアプローチによって新たな命を吹き込まれた作品。特に、俊敏で凶暴なゾンビの描写は、それまでの「ゆっくりと歩くゾンビ」のイメージを覆し、視聴者に絶え間ない緊張感を与えた。
冒頭から展開する怒涛のアクションや、ショッピングモール内の閉鎖的な空間で繰り広げられるサバイバル劇は、スピード感と絶望感が凄まじい。
特殊効果やメイクアップ技術の精密さは視覚的インパクトを強め、ショッキングなシーンをより際立たせた。オリジナル版へのリスペクトを保ちながら、現代的なアクションホラーとして進化を遂げた点が高く評価される。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
前作オリジナルとの比較になるが、『ドーン・オブ・ザ・デッド』はエネルギッシュなリメイク作品である一方、1978年版の持つ社会風刺や哲学的なテーマが薄まったという指摘もある。オリジナル版で象徴的だったショッピングモールが消費社会の縮図として機能していたのに対し、本作ではゾンビの来襲を防ぐための身近な要塞として利用されるにとどまる。
また、テンポの速い展開やアクション重視の演出によってキャラクターの感情描写や深みが犠牲になっているとの指摘も。視聴者の好みが分かれるところ。
こぼれ話
『ドーン・オブ・ザ・デッド』は、監督ザック・スナイダーにとって長編デビュー作でありながら、その完成度の高さでホラー映画界に鮮烈な印象を与えた。
スナイダーは、オリジナル版のファンでありながらも「現代観客が求める新しいゾンビ像」を追求し、従来のゆっくりと動くゾンビから、一瞬で襲いかかる俊敏なゾンビ像へと大胆な刷新を行った。
映画のオープニングシーンは、世界が崩壊していく恐怖を描いた圧巻の映像で、観客を一気に物語へと引き込む仕上がりとなっている。このオープニングには、ジョニー・キャッシュの楽曲「The Man Comes Around」が使用され、絶望感と美しさが交錯する演出が話題を呼んだ。
オリジナル版の監督ジョージ・A・ロメロが「古典へのリスペクトを感じる」と公言したことで、本作はリメイク作品としての地位を確立。制作段階では、ロメロ作品の常連俳優であるケン・フォリーがカメオ出演しており、オリジナルファンへのサービスも盛り込まれている。
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