キル・ビル Vol.1(2003)の解説・評価・レビュー

キルビル クライムサスペンス
クライムサスペンススパイアクション

『キル・ビル Vol.1』(原題:Kill Bill: Vol. 1)は、2003年に公開されたクエンティン・タランティーノ監督によるアクション映画である。主演はユマ・サーマンで、彼女が演じる「ザ・ブライド(花嫁)」は、かつての暗殺チームのメンバーに裏切られ、復讐を誓う女性を描く。物語は彼女が自らを襲った者たちに一人ずつ復讐していく過程を追い、斬新な語り口や視覚表現で展開する。映画は日本映画やアニメ、カンフー映画など、さまざまなジャンルに影響を受けたスタイリッシュなアクションシーンが特徴的である。興行成績では世界中で成功を収め、1億8,000万ドル(当時のレートで約216億円)以上の収益を記録した。また、劇中の刀を使った戦闘シーンや和風の美術演出は、特に日本の視聴さにも強い印象を与えた。第2部として『キル・ビル Vol.2』が2004年に公開され、物語は完結する。

『キル・ビル Vol.1』あらすじ紹介(ネタバレなし)

元暗殺者の「ザ・ブライド(花嫁)」は、自身の結婚式でかつての仲間である暗殺集団「デッドリー・バイパー・アサシネーション・スクワッド」に襲撃され、瀕死の重傷を負う。さらに、彼女のお腹の中にいた子どもも失ったと知らされる。それから4年後、昏睡状態から目覚めた彼女は、自分を裏切り命を奪おうとした集団のメンバーたちと、その首謀者ビルへの復讐を開始する。

最初の標的となるのは、家庭を築いて普通の生活を送るヴェルニータ・グリーンと、日本の裏社会を牛耳るオーレン・イシイ。日本へ渡ったザ・ブライドは、伝説の刀鍛冶・服部半蔵から特注の刀を手に入れ、オーレンが率いる暴走族「クレイジー88」との壮絶な戦いに挑む。

『キル・ビル Vol.1』の監督・主要キャスト

  • クエンティン・タランティーノ(40)監督
  • ユマ・サーマン(33)ザ・ブライド(花嫁)
  • ルーシー・リュー(35)オーレン・イシイ
  • ヴィヴィカ・A・フォックス(39)ヴェルニータ・グリーン
  • ダリル・ハンナ(43)エル・ドライバー
  • マイケル・マドセン(45)バド
  • デヴィッド・キャラダイン(67)ビル
  • 千葉真一(64)服部半蔵

(年齢は映画公開当時のもの)

『キル・ビル Vol.1』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 5.0 ★★★★★
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 2.0 ★★☆☆☆
・日本オマージュ 5.0 ★★★★★
・戦う女性 5.0 ★★★★★

ポジティブ評価

『キル・ビル Vol.1』は、ジャンル映画への深い愛情が感じられるクエンティン・タランティーノの代表作。カンフー映画や日本のチャンバラ映画へのオマージュに満ちたアクションシーンが世界中のアクションファンに受けた(80年代~映画公開の2000年前後にかけて、世界で忍者ブームが起こっていた)。ユマ・サーマン演じるザ・ブライドの復讐劇は、キャラクターの強い意思と緊張感を表現した。海外では”サニー・チバ”名義で活躍する千葉真一(服部半蔵役)の存在感も抜群。

ビビッドな色彩やスローモーションの演出、アニメーションを取り入れた斬新な語り口が映画のリズムをつくり、タランティーノの特徴的な脚本とユーモアも随所に散りばめられている。視覚効果と音楽が完璧に調和し、軽快なアクションとして視聴者の心を掴む。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

カタコト日本語と、海外の人が考える日本文化イメージを許容できるかどうか。それを楽しむことに慣れた視聴者にとっては楽しい映画。機知に富んだタランティーノらしい映画で、文化ごちゃまぜながら映画全体としての世界観は一体化している。

こぼれ話

千葉真一を起用した服部半蔵役は、タランティーノが『柳生一族の陰謀』などでの彼の演技に深い感銘を受けたことがきっかけだった。また、ザ・ブライドが使用する黄色いジャージは、ブルース・リー主演の『死亡遊戯』へのリスペクトであり、映画ファンにとって象徴的なアイテムとなっている。
オーレン・イシイの過去を描くアニメーションシーンは、スタジオ「Production I.G」(君に届け、黒子のバスケ、ハイキュー!!などを制作したプロダクション)が手掛けており、これもタランティーノの日本文化への敬意の表れといえる。

劇中に使用された布袋寅泰の楽曲「Battle Without Honor or Humanity(邦題:新・仁義なき戦いのテーマ)」は、当初この映画用に作られたわけではないが、シーンと絶妙にマッチした選曲が印象をさらに強くした。いろいろと日本とゆかりの深い映画なのである。

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