ラスト サムライ(2003)の解説・評価・レビュー

ラスト サムライ 歴史ドラマ
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『ラスト サムライ』(原題:The Last Samurai)は、2003年に公開されたエドワード・ズウィック監督による歴史アクション映画。主演のトム・クルーズは、アメリカ陸軍の元大尉ネイサン・オールグレンを演じ、明治維新期の日本を舞台に、サムライと武士道をテーマとした物語が展開する。

オールグレンは、日本政府に雇われて反乱を鎮圧する任務を受けるが、敵方のサムライ集団に捕えられる。次第に彼はサムライの文化に感銘を受け、その生き方に共鳴していく。渡辺謙演じる勝元盛次は、サムライのリーダーとして高い評価を受け、第76回アカデミー賞で助演男優賞にノミネートされた。興行成績は世界で約4億5,600万ドル(約550億円)を記録し、日本国内でも大ヒットした。本作は、日本文化への敬意を込めつつも、アメリカ的なヒーロー像が描かれている点が議論を呼び、多くの批評を集めた。

『ラスト サムライ』あらすじ紹介(ネタバレなし)

1876年、南北戦争の英雄だったアメリカ陸軍大尉ネイサン・オールグレン(トム・クルーズ)は、日本政府の依頼を受け、近代化を進める明治政府軍の軍事顧問として来日する。彼の任務は、旧来の武士道を重んじる侍たちを討伐することだった。しかし、未熟な政府軍は侍たちの戦闘力に圧倒され、オールグレン自身も捕虜となってしまう。

侍の指導者である勝元盛次の村で過ごすうちに、オールグレンは彼らの生き方に魅了され、次第に武士道の精神を理解していく。やがて勝元と深い信頼関係を築いた彼は、日本の変革の波の中で侍が失われていくことに疑問を抱くようになる。一方、日本政府は勝元率いる侍勢力を完全に排除することを決意し、近代兵器を備えた軍隊を組織して圧倒的な戦力で討伐に乗り出す。

『ラスト サムライ』の監督・主要キャスト

  • エドワード・ズウィック(51)監督
  • トム・クルーズ(41)ネイサン・オールグレン
  • 渡辺謙(44)勝元盛次
  • 真田広之(43)氏尾
  • 小雪(27)たか
  • トニー・ゴールドウィン(43)ベンジャミン・バグリー
  • ティモシー・スポール(46)サイモン・グレアム
  • ビリー・コノリー(61)ゼブロン・ガント

(年齢は映画公開当時のもの)

『ラスト サムライ』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 2.0 ★★☆☆☆
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 4.0 ★★★★☆
・美しい四季表現 5.0 ★★★★★
・海外から見た明治維新 5.0 ★★★★★

ポジティブ評価

『ラスト サムライ』は、西洋人の視点から描かれた日本文化の描写に対し、細やかなリサーチと敬意が込められている点で高く評価されている。特に、渡辺謙、真田広之をはじめとする日本人キャストの力強い演技が作品に深みを与え、物語の中心であるサムライの誇りと武士道の精神を体現した。

撮影はニュージーランドや日本の美しい風景を活かして行われており、四季折々の自然や日本独特の建築物が映像美を際立たせる。戦闘シーンの演出は迫力に満ちており、特にサムライと政府軍が激突するクライマックスは、西洋人好み。映画音楽を担当したハンス・ジマーによる楽曲も評価が高く、その後の世界における”日本ブーム”のきっかけのひとつになったと評することが出来る。

ネガティブ評価

『ラスト サムライ』は、日本文化への敬意を示しつつも、異国の文化を「救う」西洋人主人公という典型的なプロットが一部の視聴者や批評家から「白人救世主」的な視点だと指摘される。また、戊辰戦争を描いたとされる歴史の時系列や詳細についても、日本人視聴者からするとやや混乱する部分はある。

こぼれ話

『ラスト サムライ』の制作における日本文化への深いリスペクトとして特に注目されるのは、渡辺謙のキャスティング。彼は勝元盛次役で国際的な注目を浴び、第76回アカデミー賞で助演男優賞にノミネートされた。この出演をきっかけに、渡辺謙はハリウッドでの活躍の場を広げ、国際的な俳優としての地位を確立している。また、トム・クルーズはこの映画のために剣術や日本語の訓練を受け、キャラクターへの深い理解を目指した。実際に、撮影現場で日本語の台詞を流暢にこなしたエピソードが残っている。

撮影はニュージーランドで行われたが、劇中に登場する村のセットや衣装などは、日本の明治時代の風景を忠実に再現するため、専門家が監修した。さらに、音楽を手掛けたハンス・ジマーは、邦楽器の音色を取り入れることで日本の情緒を表現した。

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