『トレーニング デイ』(原題:Training Day)は、2001年に公開されたアントワン・フークア監督によるクライムサスペンス映画である。ロサンゼルスを舞台に、新人警官ジェイク・ホイトが、1日の研修でベテラン麻薬捜査官アロンゾ・ハリスの指導を受ける中で、彼の腐敗した実態を目の当たりにする物語が展開される。主演はデンゼル・ワシントンとイーサン・ホーク。特にワシントンは、冷酷で狡猾なアロンゾを圧倒的な存在感で演じ、第74回アカデミー賞で主演男優賞を受賞した。
本作は、道徳的に曖昧なキャラクターや、緊張感あふれる展開で観客を引き込み、リアルなロサンゼルスの裏社会を描写した点が高く評価された。興行収入は全世界で1億ドルを超え、批評家からも称賛を受けた作品である。デンゼル・ワシントンのキャリアを象徴する作品の一つであり、犯罪映画としても傑出した存在感を放っている。
『トレーニング デイ』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
ロサンゼルスの麻薬取締班に配属を希望する新人警官ジェイク・ホイトは、ある日、ベテラン捜査官アロンゾ・ハリスとともに現場研修に出ることになる。カリスマ的で経験豊富なアロンゾは、ロサンゼルスの裏社会に精通しており、ジェイクに警察のルールや正義感を超えた「現実の仕事」を教えると豪語する。しかし、アロンゾの捜査方法は過激で倫理的な境界を大きく踏み越えたものであり、ジェイクは次第に彼の本性と不正を目の当たりにする。
アロンゾは街の犯罪者と密接な関係を持ち、捜査を口実に賄賂や恐喝を繰り返していた。ジェイクは彼のやり方に疑問を抱きつつも、命令に従うしかない状況に追い込まれる。一方で、アロンゾには裏社会で作り上げた権力を守るための計画があり、ジェイクはその計画に巻き込まれていく。
緊迫した24時間の中で、正義と悪が入り混じるロサンゼルスの裏社会を舞台にした壮絶な物語が描かれる。
『トレーニング デイ』の監督・主要キャスト
- アントワン・フークア(35)監督
- デンゼル・ワシントン(46)アロンゾ・ハリス
- イーサン・ホーク(31)ジェイク・ホイト
- スコット・グレン(60)ロジャー
- トム・ベレンジャー(52)スタン警部補
- ハリス・ユーリン(73)ダグラス判事
- クリフ・カーティス(33)スマイリー
- エヴァ・メンデス(27)サラ
(年齢は映画公開当時のもの)
『トレーニング デイ』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 2.0 ★★☆☆☆ |
・大切な人と観たい | 2.0 ★★☆☆☆ |
・ひとりでじっくり | 5.0 ★★★★★ |
・揺らぐ心理表現 | 5.0 ★★★★★ |
・デンゼル・ワシントン | 5.0 ★★★★★ |
ポジティブ評価
『トレーニング デイ』は、道徳や正義の概念が揺らぐ極限状況を描いた緊張感あふれるサスペンス映画。アロンゾ・ハリスは、冷酷で狡猾ながらもカリスマ性を持つキャラクターとして存在感を放ち、視聴者に倫理的な問いを投げかける。演じたデンゼル・ワシントンはこれによりアカデミー賞主演男優賞を獲得した。一方、イーサン・ホークは、理想と現実の間で揺れる新人警官ジェイク・ホイトを繊細に演じた。
本作の魅力の一つは、ロサンゼルスの裏社会。住宅街からスラム街、高級住宅地に至るまで、多様なロケーションを巧みに活用し、街の生々しさとリアルな危険を視聴者に体感させる。アントワン・フークア監督は、物語の舞台が単なる背景ではなく、重要な登場人物の一部のように演出した。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
登場人物の行いに対する批判は、おそらく監督が意図したものではないか。
デンゼル・ワシントンの演技が絶賛される一方で、一部のが海外レビューでは、黒人社会の”正義”のアイコン的な存在だった彼が悪役を演じたことに不満の声がちらほら見られる。
こぼれ話
当初、アロンゾ役には他の俳優が検討されていたが、ワシントンが脚本に惚れ込み、悪役を演じることを強く希望したことで実現した。この役柄は彼にとってキャリア初の本格的な悪役であり、結果的にアカデミー賞主演男優賞を獲得するという大きな成功を収めた。
ロサンゼルスの裏社会をリアルに描写するため、撮影は実際に犯罪率の高い地域で行われた。地元住民の協力を得ながら、危険な場所でも撮影を続けるという挑戦的な制作姿勢が、作品にリアリティをもたらした。一部ではマフィアの許可取りを行ったという報道も。現地の雰囲気を活かすため、台詞や演出には即興的な要素が取り入れられることも多かったという。
アントワン・フークア監督はドキュメンタリーのようなアプローチを意識し、街の現実的な側面を強調した。監督はこの作品の成功によりハリウッドでの地位を確立する。
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