ムーラン・ルージュ(2001)の解説・評価・レビュー

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『ムーラン・ルージュ』(原題:Moulin Rouge!)は、2001年に公開されたバズ・ラーマン監督によるミュージカル映画で、19世紀末のパリを舞台に、情熱的な愛と悲劇を描いた華やかな作品である。主演はユアン・マクレガーとニコール・キッドマン。貧しい作家クリスチャン(マクレガー)が、キャバレー「ムーラン・ルージュ」の花形ダンサーであり、美しいカンカン・ダンサーのサティーン(キッドマン)と恋に落ちる物語を軸に、ショービジネスの世界や愛の障害がドラマティックに展開される。

本作は、現代のポップソングを巧みにアレンジして挿入するという斬新な手法が話題を呼び、アカデミー賞では美術賞と衣装デザイン賞を受賞。また、作品賞を含む8部門でノミネートされる快挙を成し遂げた。豪華絢爛なセットや衣装、独特の映像表現が観客を魅了し、興行収入は世界で1億7,900万ドル(当時のレートで約215億円)を記録。ラーマン監督の「レッド・カーテン・トリロジー」の一部として、ミュージカル映画の新たな可能性を示した傑作である。

『ムーラン・ルージュ』のあらすじ紹介(ネタバレなし)

1899年、パリのモンマルトル。貧しい若き作家クリスチャン(ユアン・マクレガー)は、愛とインスピレーションを求めてこの街にやってきた。ある日、友人となった風変わりな劇団員たちに誘われ、彼は華やかなキャバレー「ムーラン・ルージュ」を訪れる。そこでは、美しきダンサーでありムーラン・ルージュのスター、サティーン(ニコール・キッドマン)が観客の注目を一身に集めていた。クリスチャンはサティーンに一目で恋に落ちるが、彼女にはムーラン・ルージュを支援する裕福な後援者、デューク(リチャード・ロクスバーグ)がいた。

サティーンとクリスチャンはひそかに愛を育むものの、デュークはサティーンを独占しようと画策し、二人の関係を引き裂こうとする。さらに、サティーン自身がある秘密を抱えており、それが二人の未来に影を落とすこととなる。
ムーラン・ルージュという華やかな舞台で繰り広げられる恋愛と葛藤、そして愛のために戦う二人の運命は、悲劇的な結末へと向かっていく。絢爛豪華なショーとともに、愛の儚さと美しさを描く物語が展開する。

『ムーラン・ルージュ』の監督・主要キャスト

  • バズ・ラーマン(39)監督
  • ユアン・マクレガー(30)クリスチャン
  • ニコール・キッドマン(33)サティーン
  • ジム・ブロードベント(52)ハロルド・ジドラー
  • リチャード・ロクスバーグ(39)デューク
  • ジョン・レグイザモ(37)ロートレック
  • ギャリー・マクドナルド(52)ドクター・ウォーナー
  • ジェイス・マルシェル(36)アルチュール

(年齢は映画公開当時のもの)

『ムーラン・ルージュ』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 5.0 ★★★★★
・ひとりでじっくり 2.0 ★★☆☆☆
・ミュージカルとロックの融合 5.0 ★★★★★
・独自の世界観に注目 4.0 ★★★★☆

ミュージカル映画の挑戦的な試み

『ムーラン・ルージュ』は、豪華絢爛なビジュアルと斬新な音楽の融合が際立つミュージカル映画として高く評価された作品。バズ・ラーマン監督は、19世紀末のパリという古典的な舞台を現代のポップカルチャーと結びつけ、独自の世界観を作り上げた。特に、エルトン・ジョンの「Your Song」やマドンナの「Like a Virgin」など、現代の名曲を大胆にアレンジした楽曲は、物語の感情を強調し、キャラクターの心情をより印象深く表現した。
キッドマンは華麗で儚いサティーンを美しく演じ、マクレガーは純粋な愛に生きるクリスチャンの情熱と繊細さをリアルに描き、視聴者の心を掴む。ふたりの甘い歌声にも注目。

衣装デザインも映画の大きな見どころだ。絢爛豪華なセットや艶やかな舞台衣装が物語に溶け込み、アカデミー賞で美術賞と衣装デザイン賞をそれぞれ受賞した。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

現代のポップソングを用いるという音楽のアプローチについて、ミュージカル映画としては型破りであるが故に、物語の時代設定とのギャップを感じる人がいる。1899年のパリ、という舞台と曲がマッチしていたかどうか。

ニコール・キッドマンの意外な(?)美声が軒並み高評価な一方、ロック×ミュージカルの斬新な試みについては、伝統的なミュージカルファンにとって好みが分かれるところか。

こぼれ話

音楽面では、バズ・ラーマン監督が現代のポップソングを物語に組み込むため、複数のアーティストやレコード会社と交渉を重ねた。特に、エルトン・ジョンの「Your Song」の使用許可を得る際、監督の情熱的な説明がジョン本人に直接伝わり、許可が下りたというエピソードは有名だ。この斬新な音楽アプローチは、ミュージカル映画の新たな可能性を示すものとなった。
本作はその後のミュージカル映画や舞台作品にも大きな影響を与え、2020年にはブロードウェイでの舞台化も実現した。

衣装デザイナーのキャサリン・マーティンはバズ・ラーマン監督の妻。サティーンを象徴する煌びやかな衣装を多数手掛け、美術賞と衣装デザイン賞のアカデミー賞受賞につなげた。

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