『グラディエーター』(原題:Gladiator)は、2000年に公開されたリドリー・スコット監督による歴史アクション映画で、ローマ帝国を舞台に復讐と名誉を巡る壮大な物語を描いた作品である。主演のラッセル・クロウが将軍から奴隷、そして剣闘士へと転落しながらも正義を貫く主人公マキシマスを熱演し、第73回アカデミー賞で主演男優賞を受賞。また、本作は作品賞を含む計5部門を受賞し、歴史映画の金字塔として広く評価された。
物語は、ローマ皇帝マルクス・アウレリウスの死をきっかけに、その息子コモドゥスが帝位を簒奪し、マキシマスの家族を殺害。復讐を誓うマキシマスが剣闘士として名声を得ながら、権力者コモドゥスへの対決に挑む姿を描く。壮大な戦闘シーン、美術の緻密さ、ハンス・ジマーによる音楽が、古代ローマの世界を臨場感たっぷりに再現。興行収入は世界で4億6,000万ドル(当時のレートで約500億円)を超えた。エピック映画としての壮大なスケールと感動的なドラマが融合した名作である。
『グラディエーター』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
ローマ帝国の将軍マキシマス(ラッセル・クロウ)は、皇帝マルクス・アウレリウスの信任を受け、帝国の平和と繁栄のため尽力していた。しかし、皇帝の死後、その息子で野心的なコモドゥス(ホアキン・フェニックス)が権力を掌握し、マキシマスを裏切り者として追放する。
家族を殺され、奴隷として売られた彼は、やがて剣闘士(グラディエーター)として闘技場に立つことを強いられる。絶望の中で生き延びたマキシマスは、その戦いぶりで観衆の支持を集め、復讐の機会を伺う。
彼は家族の仇と帝国の腐敗を正すため、命を賭けた戦いに身を投じる。雄大な歴史の中で繰り広げられる愛と忠誠、復讐の物語は、壮絶なクライマックスを迎えることになる。
『グラディエーター』の監督・主要キャスト
- リドリー・スコット(62)監督
- ラッセル・クロウ(36)マキシマス・デシムス・メリディウス
- ホアキン・フェニックス(25)コモドゥス
- コニー・ニールセン(35)ルッシラ
- オリヴァー・リード(61)プロキシモ
- デレク・ジャコビ(61)グラックス
- リチャード・ハリス(69)マルクス・アウレリウス
- ジャイモン・フンスー(36)ジュバ
(年齢は映画公開当時のもの)
『グラディエーター』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 4.0 ★★★★☆ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 4.0 ★★★★☆ |
・壮大なコロッセオ | 5.0 ★★★★★ |
・ラッセル・クロウの絶頂期 | 5.0 ★★★★★ |
ポジティブ評価
『グラディエーター』は、古代ローマを壮大なスケールで描いた大河ドラマ。復讐と救済というシンプルなストーリーながら、映像のリアルさと俳優陣の熱演によって、世界的に高く評価されている大作である。この作品を好きな映画上位に上げる人は多い。
ラッセル・クロウは正義感と復讐心を内に秘めた主人公マキシマスを力強く演じ、第73回アカデミー賞の主演男優賞を受賞。後のオスカー俳優となるホアキン・フェニックスも、冷酷さと脆弱さを併せ持つ複雑な悪役を演じて存在感を示した。
美術面でも、砂塵が舞う闘技場の戦闘シーンや壮麗なコロッセオの再現など、視覚的な迫力が作品全体に一貫している。CGと実際のセットを融合させた技術は、当時としては最先端であり、視聴者に息をのむような臨場感を提供した。
こぼれ話
映画の中で象徴的なコロッセオは、撮影のためにモロッコでセットの一部を実物大で建設し、残りはCGで補完された。この融合により、壮大さとリアリティを両立させることに成功している。なお、リドリー・スコット監督は、コロッセオの破壊の痕跡からその完全な姿を推測し、独自のデザインを作り上げたという。
撮影中にオリヴァー・リード(プロキシモ役)が急逝したことが話題になった。リードの出演シーンはまだ完全に撮影されていなかったが、CG技術とスタントダブルを組み合わせることで彼の登場場面を完成させた。この試みは当時の映画技術として画期的であり、後のデジタル技術の進化にも影響を与えたと言われる。
ハンス・ジマーが手掛けたサウンドトラックは、リサ・ジェラルドの独特なボーカルをフィーチャーしており、これが映画の壮大かつ感動的な雰囲気を作り出した。ジマーは音楽制作中、マキシマスのキャラクターが持つ哀愁と強さを表現するため、古典的な楽器と現代的なサウンドを融合させるという挑戦を行った。そのあたりに注目しても面白い作品だ。
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