『ソーシャル・ネットワーク』は、2010年に公開されたデヴィッド・フィンチャー監督による伝記ドラマ映画である。原作はベン・メズリックのノンフィクション小説『Facebook 世界最大のSNSでビル・ゲイツに挑んだ男』。主演はジェシー・アイゼンバーグが務め、アンドリュー・ガーフィールドやジャスティン・ティンバーレイクなど実力派キャストが脇を固めた。
物語は、2004年に設立されたFacebook(現メタ社)の誕生と、それを巡る友情、裏切り、訴訟劇を描く。ハーバード大学の学生だったマーク・ザッカーバーグが、SNS「Facebook」を立ち上げ、その過程で天才的な才能を発揮しながらも、多くのトラブルに直面する姿を描く。脚本はアーロン・ソーキンが手掛け、鋭い会話劇とテンポの良い物語展開が話題となった。
現代社会におけるSNSの影響力を鋭く描き出したこの作品は、第83回アカデミー賞で脚色賞、編集賞、作曲賞を受賞。全世界で2億2400万ドル(290億円:当時のレート)を超える興行収入を記録した。
『ソーシャル・ネットワーク』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
2003年、ハーバード大学の学生マーク・ザッカーバーグは、恋人に振られたショックから、大学内の女性の容姿を比較するウェブサイトを作成し、学生たちの注目を集める。この騒動をきっかけに、マークはSNSの可能性に気付き、親友のエドゥアルド・サベリンの資金提供を受けて「The Facebook」を立ち上げる。やがて、Facebookは爆発的に成長し、全米に広がっていく。
しかし成功の裏で、マークは多くの問題に直面する。ウィンクルヴォス兄弟から「アイデアを盗まれた」と訴えられ、さらにエドゥアルドとの友情も破綻していく。事業拡大の過程で登場したナップスター創業者ショーン・パーカーは、Facebookの可能性をさらに広げるが、その影響はマークの周囲にさらなる緊張をもたらす。
世界を変える発明が引き起こした友情の破綻、欲望、裏切り。『ソーシャル・ネットワーク』は、SNSの誕生とその背後にある人間関係のドラマを鋭く描き出す物語である。
『ソーシャル・ネットワーク』の監督・主要キャスト
※人名の後の()カッコは公開当時の年齢を反映したもの
- デヴィッド・フィンチャー(48)監督
- ジェシー・アイゼンバーグ(27)マーク・ザッカーバーグ
- アンドリュー・ガーフィールド(27)エドゥアルド・サベリン
- ジャスティン・ティンバーレイク(29)ショーン・パーカー
- アーミー・ハマー(24)キャメロン&タイラー・ウィンクルボス
- マックス・ミンゲラ(25)ディヴィヤ・ナレンドラ
- ブレンダ・ソング(22)クリスティ・リン
- ルーニー・マーラ(25)エリカ・オルブライト
『ソーシャル・ネットワーク』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 3.0 ★★☆☆☆ |
・大切な人と観たい | 3.0 ★★★☆☆ |
・ひとりでじっくり | 4.0 ★★★★☆ |
・ビジネス話が好き! | 5.0 ★★★★★ |
・考えさせられる | 4.0 ★★★★☆ |
美化しない伝記映画(ポジティブ)
マーク・ザッカーバーグという成功者を英雄視せず、人間的な弱さや欠点を描き出した作品。友情や信頼を軽視しているように見える側面や、自身の置かれた状況を巧みに利用する計算高い姿勢など、存命中の人物を描いた伝記映画としてはかなり踏み込んだ内容になっており、これらが物語に深みを与えている。単なる成功譚ではなく、現代のベンチャービジネスのリアルを鋭く映し出している点に価値があるといえるかもしれない。
アカデミー作曲賞を受賞したトレント・レズナーとアッティカス・ロスの手がける音楽が全編を通して緊張感を高め、物語の展開を一層ドラマチックにしており注目に値する。
ネガティブ評価、または賛否が分かれる要素
特にFacebookの創設過程がドラマチックに脚色されている点については、ザッカーバーグ本人や関係者から異議が唱えられた。また、登場人物がほぼ全員野心的で自己中心的に描かれているため、感情移入しにくいという批判もあった。
映画としては非常に洗練されているが、専門用語が多用されるため、ITや法律に詳しくない観客にはややハードルが高いかもしれない。
こぼれ話
『ソーシャル・ネットワーク』の撮影では、アーミー・ハマーがウィンクルヴォス兄弟を1人2役で演じた。撮影中はハマーの顔を使用し、ボディダブルとしてジョシュ・ペンスが体の演技を担当。その後、ハマーの顔がCGでペンスの体に合成され、双子をリアルに表現するという高度な技術が用いられた。
脚本のアーロン・ソーキンは、冒頭のマークとエリカの会話シーンを完璧に仕上げるために、100以上のリハーサルを繰り返したという。これにより、テンポ感と緊張感のある印象的なオープニングが完成した。
学生時代のシーンでは、ハーバード大学での撮影許可が下りなかったため、マサチューセッツ州内の複数の大学でロケが行われたのだとか。アメリカのさまざまな大学キャンバスを垣間見るだけでも日本の視聴者からすると面白く、注目ポイントだ。
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