2000年公開の『エリン・ブロコビッチ』(原題:Erin Brockovich)は、スティーヴン・ソダーバーグ監督による実話を基にした社会派ドラマである。ジュリア・ロバーツが主演を務め、実在の人物エリン・ブロコビッチを演じた本作は、企業の環境汚染を告発した女性の闘いを描いている。物語は、カリフォルニア州の小さな法律事務所で働くシングルマザーのエリンが、水質汚染による住民の健康被害を調査し、大手電力会社PG&Eを相手に集団訴訟を起こすまでを追う。
ジュリア・ロバーツはこの作品で第73回アカデミー賞主演女優賞を受賞し、視聴者と批評家の双方から高い評価を得た。また、本作は興行的にも成功を収め、全世界で2億5,700万ドル(当時のレートで約280億円)以上の興行収入を記録した。エリンが実際に行った綿密な調査や、粘り強い交渉力がリアルに描かれており、社会問題をエンターテインメント性を保ちながら訴えかける作品として、現代でも多くの共感を呼んでいる。
『エリン・ブロコビッチ』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
エリン・ブロコビッチ(ジュリア・ロバーツ)は、3人の子どもを育てるシングルマザー。無職で苦境に立たされていた彼女は、交通事故の賠償訴訟で敗訴するが、その際に訪れた法律事務所での熱意が認められ、事務員として採用される。仕事に不慣れながらも、地道な作業を続けるエリンは、偶然手に取った書類からカリフォルニア州ヒンクリーの水質汚染問題を発見する。
地元住民の健康被害が企業による汚染が原因であることを確信したエリンは、詳細な調査を開始。独自のアプローチで住民たちの信頼を得る一方、大手電力会社PG&Eを相手に集団訴訟を起こすべく奔走する。圧倒的な資金力と権力を持つ企業に立ち向かう中、彼女は弁護士のエド・マスリー(アルバート・フィニー)とともに、膨大な証拠を集め、ついに和解金3億3,300万ドル(350億円)という画期的な勝利を収める。現代社会における正義と個人の力を描いた感動の実話である。
『エリン・ブロコビッチ』の監督・主要キャスト
- スティーヴン・ソダーバーグ(37)監督
- ジュリア・ロバーツ(32)エリン・ブロコビッチ
- アルバート・フィニー(64)エド・マスリー
- アーロン・エッカート(32)ジョージ
- マーゴ・マーティンデイル(49)トビー
- チェリー・ジョーンズ(43)パメラ・ダンカン
- ピーター・コヨーテ(58)カート・ポッター
- トレイシー・ウォルター(53)チャールズ・エンブリー
(年齢は映画公開当時のもの)
『エリン・ブロコビッチ』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 5.0 ★★★★★ |
・大切な人と観たい | 3.0 ★★★☆☆ |
・ひとりでじっくり | 4.0 ★★★★☆ |
・モチベを上げたい時におススメ! | 5.0 ★★★★★ |
・ジュリア・ロバーツの笑顔 | 5.0 ★★★★★ |
戦うヒロイン
『エリン・ブロコビッチ』は、社会派ドラマとしてのメッセージ性とエンターテインメント性を高次元で融合させた作品。ジュリア・ロバーツは、3人の子を持つシングルマザーのエリンという女性を演じ、仕事人としての大胆さや粘り強さ、感情的な弱さまでもを全身で体現した。エリンは単なる「正義のヒロイン」ではなく、複雑で人間的な魅力を持つ。これが実話であることで、勇気を貰う視聴者が多いのではないだろうか。PG&E社も、カリフォルニアに実在する会社であるから、本作のリアルさがさらに際立つ。
ジュリア・ロバーツは本作でアカデミー賞主演女優賞を受賞し、その評価は多くの批評家にも支持された。
田舎町の住民たちとの触れ合いを温かく描きながらも、企業との対立シーンでは緊張感を失わないバランス感覚が秀逸。裁判劇ではなく調査と交渉を中心に据えた物語展開も新鮮で、結果に至るまでの過程が視聴者に強い説得力を与える。
こぼれ話
『エリン・ブロコビッチ』の制作には、実際のエリン・ブロコビッチ本人が積極的に協力しており、映画のリアリティを高める重要な役割を果たした。エリン本人は映画の中にもカメオ出演しており、ダイナーのウェイトレス役としてスクリーンに登場している。この遊び心あふれる演出は、実際のエリンを知る視聴者に嬉しいサプライズとなっただろう。
ジュリア・ロバーツが本作で着用した派手な衣装はエリン本人のスタイルを再現したもので、その選択には徹底したこだわりがあったという。衣装を通じてキャラクターの個性を強調することで、エリンの人間味がさらに引き立った。
公開当時、PG&Eの汚染事件に関心を寄せるきっかけを提供し、環境問題への意識を高める社会的影響を与えた。この映画がきっかけとなり、ヒンクリー地域への注目が集まり、エリンの活動が再び評価されるようになったことは、実話を基にした映画としての成功の一つといえる。また、映画の脚本を手掛けたスザンナ・グラントは、このテーマに敬意を払いつつも、視聴者にとってわかりやすいエンターテインメント作品に仕上げることを目指したと語っている。
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