トレインスポッティング(1996)の解説・評価・レビュー

Trainspotting ブラックコメディ
ブラックコメディ社会派ドラマ青春・学校ドラマ

1990年代のファッションアイコン的な作品 ---

『トレインスポッティング』(原題:Trainspotting)は、1996年に公開されたイギリス映画で、ダニー・ボイルが監督を務めた。アーヴィン・ウェルシュの同名小説を原作とし、ユアン・マクレガーが主演を務める。物語は、スコットランド・エディンバラを舞台に、ヘロイン中毒の若者たちの生活と葛藤を描く。スタイリッシュな映像とアップテンポな音楽を駆使し、1990年代の英国映画を代表する作品となった。

製作費は約3億円と低予算ながら、全世界で70憶円以上の興行収入を記録し(当時のレートで換算)、カルト的な人気を獲得した。アカデミー賞では脚色賞にノミネートされ、社会現象を巻き起こした。公開当時はドラッグ描写の是非を巡る論争もあったが、青春映画としての側面や、独特のユーモアが評価され、現在も高い支持を得ている。

『トレインスポッティング』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


スコットランド・エディンバラで暮らすマーク・レントン(ユアン・マクレガー)は、ヘロイン中毒の日々を送る若者だ。友人のスパッド(ユエン・ブレムナー)やシック・ボーイ(ジョニー・リー・ミラー)とともにドラッグに溺れ、まともな生活からは遠ざかっていた。

一方、暴力的な性格のベグビー(ロバート・カーライル)はドラッグを嫌悪しながらも、彼らとつるんでいた。ある日、レントンはドラッグを断ち切ろうと決意し、家族の支援を受けて禁断症状と闘う。しかし、誘惑に負けて再び転落し、ついにはロンドンへ逃れる。そこで新たな人生を歩み始めるが、過去の仲間たちが訪ねてきたことで再びトラブルに巻き込まれる。
レントンの運命やいかに?ーーー。

『トレインスポッティング』の監督・主要キャスト

  • ダニー・ボイル(39)監督
  • ユアン・マクレガー(25)マーク・レントン
  • ユエン・ブレムナー(24)スパッド(ダニエル・マーフィー)
  • ジョニー・リー・ミラー(23)シック・ボーイ(サイモン・ウィリアムソン)
  • ロバート・カーライル(34)ベグビー(フランク)
  • ケヴィン・マクキッド(22)トミー・マッケンジー
  • ケリー・マクドナルド(20)ダイアン・コールストン

(年齢は映画公開当時のもの)

『トレインスポッティング』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★☆☆
・大切な人と観たい 2.0 ★★☆☆☆
・ひとりでじっくり 4.0 ★★★★☆
・90年代ファッション 5.0 ★★★★★
・続編も一緒に見てほしい! 4.0 ★★★★☆

ポジティブ評価

『トレインスポッティング』は、1990年代のポップカルチャーを象徴する映画のひとつとして社会に影響を与えた作品。当時のイギリスはブリットポップやレイヴ・カルチャーが台頭し、音楽・ファッション・映画のすべてが独自のスタイルを生み出していた。
本作は、ユアン・マクレガー演じる主人公レントンをはじめとする若者たちの無軌道な生活を、疾走感のある映像で描き、その世界観はファッションや音楽シーンにも波及した。映画に登場するスポーツウェアやルーズなジーンズ、スリムなTシャツといったアイテムは、日本の若者のストリートスタイルにも影響を与え、レントンのスキンヘッド姿はファッションアイコンとなった。

また、本作のサウンドトラックは、時代を代表する楽曲を網羅しており、イギー・ポップの「Lust for Life」やアンダーワールドの「Born Slippy .NUXX」などは、映画の印象を方向づけた。特にアンダーワールドの楽曲は、クラブカルチャーと深く結びつき、映画を通じて広く知られるようになった。1990年代のロンドンやエディンバラにおける若者文化の一面を切り取った作品として、本作は映画の枠を超え、当時の空気感を象徴していた。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

『トレインスポッティング』は観る人を選ぶ作品。ヘロイン中毒という重いテーマを扱っており、登場人物たちの堕落した生活や過激な行動が赤裸々に描かれる。そのため、ドラッグに関する描写に嫌悪感を抱く人や、倫理的な観点から受け入れがたいと感じる視聴者も少なくない。

ちなみに本作は、R18にレーティングされている。

こぼれ話

『トレインスポッティング』は低予算ながらも、独創的な演出とキャストの熱演によって世界的ヒットを記録した作品だ。

主人公レントンを演じたユアン・マクレガーは、役作りのために実際のヘロイン中毒者と交流し、依存症について深く理解しようとした。さらに、役のために体重を大幅に落とし、独特のやつれた雰囲気を作り上げている。ちなみに、彼は役に入り込みすぎたせいか、撮影終了後もしばらくの間、スーパーのトイレに入ると「やめておこう」と無意識に思ってしまったという逸話も。
ユアン・マグレガーは本作の出演をきっかけに世界的なスターダムにのし上がった。

アメリカの視聴者は、意外にも?この映画が苦手という視聴者が多いらしい。理由は薬物のテーマ性ではなく、スコットランド訛りが激しく聞き取りづらいためなのだとか。その為、アメリカ公開時には英語の字幕が付けられることになった。それでも「最初の数分間で挫折する人がいる」と言われている。

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