火星人vs地球!B級映画オマージュのエンタメ作品 ---
『マーズ・アタック!』(原題:Mars Attacks!)は、1996年に公開されたアメリカのSFコメディ映画で、ティム・バートンが監督を務めた。1960年代のトレーディングカードシリーズ「Mars Attacks」を原作とし、ジャック・ニコルソン、グレン・クローズ、アネット・ベニングら豪華キャストが出演している。
物語は、突如として地球に襲来した火星人と人類の対決をブラックユーモアたっぷりに描く。カラフルなビジュアルと意図的にB級映画のテイストを取り入れた演出が特徴で、ティム・バートンらしい風刺的な世界観が貫かれている。興行収入は約1億ドル(当時のレートで約95億円)。ユニークな作風が人気を獲得した。
『マーズ・アタック!』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
ある日、火星人の大群が地球へと接近し、アメリカ大統領ジェームズ・デイル(ジャック・ニコルソン)はこれを歴史的な出会いと捉え、火星人の代表団をホワイトハウスに迎える。しかし、火星人たちは突如攻撃を開始し、人類との和平交渉は失敗に終わる。軍が迎撃するも火星人の高度な技術の前に劣勢に立たされ、世界各地で侵略が進行していく。
。一方、ラスベガスのカジノ経営者やテレビ司会者、白熱する戦場に巻き込まれた一家など、さまざまな人々が生き延びるために奮闘する。混乱が続く中、意外な「最終兵器」が発見され、人類は火星人に反撃のチャンスを得ることになるのだった。
『マーズ・アタック!』の監督・主要キャスト
- ティム・バートン(38)監督
- ジャック・ニコルソン(59)ジェームズ・デール大統領 / アート・ランド
- グレン・クローズ(49)マーシャ・デール
- アネット・ベニング(38)バーバラ・ランド
- ピアース・ブロスナン(43)ドナルド・ケスラー教授
- ダニー・デヴィート(52)ギャンブラー
- サラ・ジェシカ・パーカー(31)ナタリー・レイク
- マイケル・J・フォックス(35)ジェイソン・ストーン
(年齢は映画公開当時のもの)
『マーズ・アタック!』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 5.0 ★★★★★ |
・大切な人と観たい | 2.0 ★★☆☆☆ |
・ひとりでじっくり | 2.0 ★★☆☆☆ |
・B級SFパロディ | 5.0 ★★★★★ |
・豪華キャストのカオス | 5.0 ★★★★★ |
ポジティブ評価
『マーズ・アタック!』は、ティム・バートンらしい独特のセンスが光るSFコメディとして、多くの映画ファンの記憶に残る作品となった。レトロなB級SF映画の要素をあえて前面に押し出した演出で、チープなCGIや明らかに作り物とわかる火星人のデザインは、1960年代のSF映画へのオマージュであり、わざとらしさを楽しむのが本作の醍醐味といえる。火星人たちの甲高い「アッアッアッ」という鳴き声も、一度聞くと妙に耳に残る。
そんな作品に、ジャック・ニコルソンをはじめ実力派俳優がこれでもかと出演しているのも魅力だ。シリアスな作品では考えられないようなキャスティングの豪華さで、グレン・クローズやピアース・ブロスナンが真顔でドタバタ劇を演じる姿は、それだけで面白い。特にジャック・ニコルソンは二役を演じており、それぞれのキャラクターに異なる個性を吹き込んでいるのも見どころだ。
ストーリーはシンプルながら、パニック映画の定番を皮肉たっぷりに描いており、ブラックユーモアが随所に散りばめられている。人類側が圧倒的に不利な状況になっても、どこか間の抜けた展開が続くため、深刻になりすぎることがない楽しい映画だ。
ネガティブ評価
『マーズ・アタック!』はユニークな作風でカルト的な人気を得たが、決して万人向けの映画ではない。意図的にB級SF映画のチープさを再現しており、それを楽しめるかどうかで評価が分かれる。ティム・バートン特有のブラックユーモアが満載だが、この作風が合わない人にとっては「ただの悪ノリ」と映る可能性がある。火星人の侵略にリアリティや深いメッセージを求める人には向かないが、「何も考えずに楽しめる映画」を探しているなら、十分に応えてくれるだろう。
こぼれ話
『マーズ・アタック!』は1960年代のトレーディングカードシリーズ「Mars Attacks」が原作となっている。元々このカードは、子ども向けにしては刺激が強すぎるとして発売当時に一部が回収されるほど問題視されたが、ティム・バートン監督はそこに強く惹かれたという。ある意味、火星人が映画化されたのは運命だったのかもしれない。
当初の企画では、火星人をストップモーション・アニメーションで表現する予定だった。しかし、予算とスケジュールの関係でCGに変更されたという経緯がある。もしストップモーションのままだったら、さらに異様な雰囲気の作品になっていたかもしれない。とはいえ、CGに変更された後も、その動きや表情はどこか人形っぽく、ティム・バートン作品らしい不気味さを保っている。
また、ジャック・ニコルソンは本作で一人二役を演じたが、実は最初にオファーされた際、「どうせならもっとたくさん演じたい」と言っていたという噂もある。もしその願いが叶っていたら、映画の半分くらいはニコルソンの顔だったかもしれない。
みんなのレビュー