スピルバーグの大ヒット・恐竜SF映画 ---
『ジュラシック・パーク』(原題:Jurassic Park)は、1993年に公開されたアメリカのSFアドベンチャー映画で、スティーヴン・スピルバーグが監督を務めた。原作はマイケル・クライトンの同名小説で、最新の遺伝子技術によって恐竜を復活させたテーマパーク「ジュラシック・パーク」での壮絶なサバイバルを描く。
本作は、当時最先端のCG技術とアニマトロニクスを駆使し、恐竜をリアルに再現したことで映画史に革命をもたらした。公開と同時に大ヒットを記録し、製作費6,300万ドル(当時のレートで約70億円)に対し、全世界で10億ドル(約1,100億円)以上の興行収入を達成。1993年のアカデミー賞では視覚効果賞、音響賞、音響編集賞の3部門を受賞し、後にシリーズ化されるほどの人気を獲得した。革新的な映像技術とスリリングなストーリー展開により、現在もSF映画の金字塔として語り継がれている。
『ジュラシック・パーク』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
実業家ジョン・ハモンドは、遺伝子工学の技術を駆使して絶滅した恐竜を復活させ、コスタリカ沖の孤島に巨大なテーマパーク「ジュラシック・パーク」を建設する。しかし、開園を前に安全性を確認するため、古生物学者のアラン・グラント博士、古植物学者のエリー・サトラー博士、数学者のイアン・マルコム博士ら専門家を招待する。
最初は順調に見えた視察ツアーだったが、ある職員の裏切りによってセキュリティシステムがダウンし、パーク内の恐竜たちが脱走。肉食恐竜のティラノサウルスやヴェロキラプトルが園内を支配し、ハモンドの孫たちを含む訪問者たちは命がけで島からの脱出を図ることになる。人類の科学技術によって蘇った恐竜と、制御不能になった大自然の脅威が交錯する中、果たして彼らは無事に生還できるのか——。
『ジュラシック・パーク』の監督・主要キャスト
- スティーヴン・スピルバーグ(46)監督
- サム・ニール(45)アラン・グラント
- ローラ・ダーン(26)エリー・サトラー
- ジェフ・ゴールドブラム(40)イアン・マルコム
- リチャード・アッテンボロー(69)ジョン・ハモンド
- アリアナ・リチャーズ(13)レックス・マーフィ
- ジョゼフ・マゼロ(9)ティム・マーフィ
- サミュエル・L・ジャクソン(44)レイ・アーノルド
(年齢は映画公開当時のもの)
『ジュラシック・パーク』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 5.0 ★★★★★ |
・大切な人と観たい | 3.0 ★★★☆☆ |
・ひとりでじっくり | 1.0 ★☆☆☆☆ |
・VFXとアニマトロニクス | 5.0 ★★★★★ |
・大ヒット | 5.0 ★★★★★ |
ポジティブ評価
『ジュラシック・パーク』は、映画史に革命をもたらした作品であり、今なお色褪せることのない魅力を持っている。特に、当時最先端のCG技術とアニマトロニクスを組み合わせた恐竜のリアルな描写は、公開から30年以上経った今でも納得の完成度。ティラノサウルスの咆哮やヴェロキラプトルの俊敏な動きが視聴者を圧倒し、スクリーン上で本当に恐竜が蘇ったかのような感覚を生み出した。
また、本作の魅力は単なるパニック映画にとどまらない。恐竜という巨大な力を前にした人間の脆さや、科学技術の進歩がもたらす倫理的問題が巧みに織り込まれている。特に、ジェフ・ゴールドブラム演じるイアン・マルコム博士の「科学者たちはできることばかり考えて、それをやっていいか考えなかった」という言葉は、作中のテーマを象徴する名セリフ。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
『ジュラシック・パーク』のストーリー展開は比較的シンプルで、「テーマパークで恐竜が暴走する」という設定以上の深みを求める物ではない。批判の意味ではなく、そういう映画なのだ。当時の映像技術として完成度に最大限のリスペクトを置きつつ、2020年代の若い世代がこれを初めて視聴したら、「スリル満点の家族向け映画」という評価に落ち着くのかもしれない。それでも、映画史に名を遺した名作として是非お勧めしたい作品である。
こぼれ話
『ジュラシック・パーク』に登場する恐竜の鳴き声は、さまざまな動物の鳴き声を組み合わせて作られている。例えば、ヴェロキラプトルの鳴き声は、実はウミガメの交尾中の鳴き声がベースになっているという衝撃の事実がある。他にも、ティラノサウルスの咆哮には、赤ちゃんゾウの鳴き声やワニの低音がミックスされ、リアルで迫力のあるサウンドが生み出された。
撮影では最新のCG技術が活用されたが、意外にも恐竜の登場シーンの多くは実物のアニマトロニクス(ロボット)によるもの。特に、ティラノサウルスの巨大なモデルは実際に作られ、撮影中にはセット内で暴れすぎてスタッフを本気で怯えさせたこともあったとか。雨のシーンでは、アニマトロニクスが濡れることで誤作動を起こし、突然動かなくなるハプニングも発生したという。
さらに、当時11歳だったアリアナ・リチャーズ(レックス役)は、オーディションで恐怖の演技を披露した際、スティーヴン・スピルバーグから「今まで見た中で一番完璧な悲鳴だ!」と絶賛されたらしい。その結果、彼女はレックス役に抜擢されたが、撮影中も叫び続けるシーンが多かったため、声が枯れることがよくあったという。
『ジュラシック・パーク』は、当時の最新技術と職人技が融合した映画として、多くの映画ファンに愛され続けている。鑑賞後に、ふと「もし恐竜が現代に蘇ったら…」と想像するのもまた楽しい。
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