ロビン・ウィリアムズが贈る、笑って泣ける感動変身コメディ! ---
1993年公開の『ミセス・ダウト』(原題:Mrs. Doubtfire)は、ロビン・ウィリアムズ主演のコメディ映画で、家族愛をテーマにした感動作である。監督はクリス・コロンバス。アン・ファインの小説『Madame Doubtfire』を原作とし、脚本はレスリー・ディクソンとランディ・メイム・シンガーが手がけた。
物語は、子どもたちと離れ離れになった父親が、家政婦に変装して家族のもとに戻ろうとする姿をユーモアたっぷりに描く。特殊メイクを駆使したロビン・ウィリアムズの演技が高く評価され、同年のゴールデングローブ賞で主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。興行的にも成功し、全世界で4億4,100万ドル(当時のレートで約480億円)以上の興行収入を記録した。
『ミセス・ダウト』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
サンフランシスコに住むダニエル・ヒラード(ロビン・ウィリアムズ)は、明るくユーモアにあふれる声優だが、仕事よりも遊びを優先しがちな性格が災いし、妻ミランダ(サリー・フィールド)と離婚することになる。3人の子どもたちの親権はミランダに渡り、ダニエルは週に1度しか子どもたちと会えなくなってしまう。
子どもと過ごす時間を増やしたいダニエルは、ミランダが家政婦を募集していることを知り、特殊メイクアーティストの友人の協力を得て、高齢のイギリス人女性「ユーフィジア・ダウトファイア」として変装し、家政婦の面接に応募する。見事採用され、「ミセス・ダウトファイア」として家族のもとで働き始めたダニエルは、子どもたちの生活を見守りながら、父親としての自分を見つめ直していく。しかし、ミランダの新しい恋人スチュアート(ピアース・ブロスナン)の登場や、変装がバレる危機に直面し、ダニエルは次第に追い詰められていく。
『ミセス・ダウト』の監督・主要キャスト
- クリス・コロンバス(35)監督
- ロビン・ウィリアムズ(42)ダニエル・ヒラード / ミセス・ダウトファイア
- サリー・フィールド(47)ミランダ・ヒラード
- ピアース・ブロスナン(40)スチュアート・ダンメイヤー
- リサ・ジャクブ(15)リディア・ヒラード
- マシュー・ローレンス(13)クリストファー・ヒラード
- マーラ・ウィルソン(6)ナタリー・ヒラード
- ハーヴェイ・ファイアスタイン(39)フランク・ヒラード
(年齢は映画公開当時のもの)
『ミセス・ダウト』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 5.0 ★★★★★ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 2.0 ★★☆☆☆ |
・ロビン・ウィリアムズ名演 | 5.0 ★★★★★ |
・特殊メイク | 4.0 ★★★★☆ |
ポジティブ評価
『ミセス・ダウト』は、ロビン・ウィリアムズの名演技が光るコメディ作品でありながら、家族の在り方について考えさせられる温かいストーリーが魅力。特殊メイクを施したウィリアムズが、高齢の英国人女性「ミセス・ダウトファイア」に変身する姿は、見た目だけでなく、声や仕草まで徹底されており、まさに別人レベルの完成度。
このドラマは、離婚後の家族の関係や、父親としての役割を見直すストーリーが軸となっている。ドタバタ劇の裏には、子どもたちとの時間を取り戻そうと奮闘するダニエルの切実な想いがあり、織り交ざるユーモアと絶妙に絡み合っている。「笑って泣ける映画」とはよく言われるが、それをまさに体現した作品である。
子ども向けのファミリー映画としても、大人が観ても楽しめる作品としてもバランスが取れている。コメディシーンではロビン・ウィリアムズの即興演技が炸裂しつつも、感動的な場面ではしっかりと心を打つ演出がなされている。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
作風の明るさでカバーされているが、物語の前提が「失業して家族から見放された男」という、なかなかのシリアスな話。コメディに分類されるドラマだが、人によっては胸が締め付けられる家族ドラマと感じるかもしれない。
ツッコミ要素としては、「いやいや、普通こんな変装すぐバレるでしょ?」というリアリティの問題。長年暮らしてきたはずの妻や子どもたちがそれに気づかないのは流石に‥。裁判で接近禁止が取り決められている元夫が変装して元妻の家に潜り込む設定が映画として許容されるのは、1990年代のおおらかさか。あまり深く考えすぎずに観るのが正解かもしれない。
こぼれ話
『ミセス・ダウト』の撮影現場はロビン・ウィリアムズの独壇場だったという。彼は脚本のセリフを忠実に演じる一方で、即興アドリブを次々と繰り出し、何パターンものバージョンを撮影。あまりにも自由すぎて、監督のクリス・コロンバスは「編集室で毎回どのテイクを使うか悩んだ」と語っている。実際に、映画のDVDには未使用のアドリブシーンが数多く収録されており、「もし別のテイクが使われていたら、全く違う映画になっていたかもしれない」と言われるほどだ。
ロビン・ウィリアムズは、撮影の合間にミセス・ダウトファイアの姿のまま街を歩き、実際に一般人に話しかけていたという。ある時、彼は撮影の休憩中に近くの書店を訪れ、本を購入しようとしたが、レジの店員に「身分証を見せてください」と言われた。ウィリアムズはそのままダウトファイアのキャラクターを貫き、「私はただの年老いた家政婦なのに、身分証がいるの?」とジョークを飛ばしたそうだ。こうした遊び心あふれる姿勢が、映画のユーモアにも反映されているのかもしれない。
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