『ボヘミアン・ラプソディ』は、2018年に公開された伝記映画で、伝説的なロックバンド「クイーン」とそのボーカリストであるフレディ・マーキュリーの生涯を描いた作品である。監督はブライアン・シンガー(製作途中でデクスター・フレッチャーに交代)。物語は、フレディがクイーンに加入してスターへの階段を駆け上がる姿から、彼の孤独と葛藤、そして1985年の「ライヴエイド」での伝説的なパフォーマンスまでを描く。
フレディを演じたのラミ・マレックは、彼の圧倒的な再現で第91回アカデミー賞主演男優賞を受賞。映画自体も編集賞を含む4部門を受賞した。クイーンの楽曲を再現した圧巻の音楽シーンが多くの観客を魅了し、世界興行収入9億ドル(約1,000億円)を記録する大ヒット作となった。これは音楽伝記映画としての史上最高金額でもある。フレディ・マーキュリーのカリスマ性とクイーンの偉大さを改めて世に知らしめることとなった。
『ボヘミアン・ラプソディ』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
1970年代初頭、ロンドンで空港の荷物係として働いていたフレディ・バルサラ(ラミ・マレック)は、ある日、ライブで偶然観たバンド「スマイル」のボーカルが脱退したことを知る。フレディは独特の歌声とカリスマ性でメンバーに認められ、新たに「クイーン」として活動を開始。ギタリストのブライアン・メイ、ドラマーのロジャー・テイラー、ベーシストのジョン・ディーコンと共に、独創的な楽曲と派手なステージで人気を博す。
やがてフレディは「ボヘミアン・ラプソディ」などの名曲を生み出し、一躍スターダムに駆け上がるが、成功の影には孤独と葛藤があった。自らのセクシュアリティに向き合い、音楽業界の圧力やバンド内の対立、さらにはエイズの診断を受けるなど試練が続く。音楽史に残る伝説を築く。フレディの情熱と愛、そして音楽に対する揺るぎない信念が輝く感動の物語。
『ボヘミアン・ラプソディ』の監督と主要キャスト
- ブライアン・シンガー(53)監督
- ラミ・マレック(37)フレディ・マーキュリー
- ルーシー・ボイントン(24)メアリー・オースティン
- グウィリム・リー(34)ブライアン・メイ
- ベン・ハーディ(27)ロジャー・テイラー
- ジョゼフ・マゼロ(35)ジョン・ディーコン
- アレン・リーチ(37)ポール・プレンター
- トム・ホランダー(51)ジム・ビーチ
(役者の年齢は公開時点のもの)
『ボヘミアン・ラプソディ』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 4.0 ★★★★☆ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 4.0 ★★★★☆ |
・音楽映画 | 5.0 ★★★★★ |
・フレディ・マーキュリー | 5.0 ★★★★★ |
主演の高評価と圧巻のライブシーン
『ボヘミアン・ラプソディ』は、フレディ・マーキュリーとクイーンの音楽を再び世界に響かせた。主演のラミ・マレックについては、外見の再現もさることながら、フレディの複雑な内面やパフォーマンスを見事に演じ切り、第91回アカデミー賞主演男優賞を受賞。
映画のクライマックスで描かれる1985年の「ライヴエイド」パフォーマンスは、その再現度と臨場感が観客を魅了し、映画史に残る名シーンとして評価された。これを劇場で観た人は後々まで語れるのではないだろうか。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
往年のクイーンを愛する一部ファンからの低評価は、製作上の都合で時系列が一部変更されている点や、フレディ・マーキュリーの音楽への情熱や死への向き合いに関する描写が十分ではないと感じた点にあるようだ。彼らの言葉を借りると、「フレディの風刺画のようで深みが無い」。映画への期待値の高さの反動か。
また、フレディを演じたラミ・マレックについて、音楽シーンがすべて口パクであるため、オスカーには値しないという声も。
こぼれ話
『ボヘミアン・ラプソディ』は、製作当初から多くの紆余曲折を経た作品である。当初の監督ブライアン・シンガーが撮影途中で解雇され、デクスター・フレッチャーが代役を務めたものの、シンガーが監督としてクレジットされた。また、フレディ・マーキュリー役は当初サシャ・バロン・コーエンが検討されていたが、方向性の違いから降板。その後、ラミ・マレックが起用された。
映画のクライマックスとなる「ライヴエイド」のシーンは、細部まで忠実に再現されており、バンドの演奏だけでなく、観客の反応やセットも精密に作り上げられた。
映画公開後、クイーンの楽曲のストリーミング再生回数が急増し、Spotifyでは映画のタイトルにもなった「ボヘミアン・ラプソディ」や「ウィ・ウィル・ロック・ユー」などの代表曲が数億回再生を達成。アルバム売上も急上昇し、映画公開時にリリースされたサウンドトラックアルバム『Bohemian Rhapsody: The Original Soundtrack』は、複数の国でチャート1位を獲得した。
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