ドリームプラン(2021)の解説・評価・レビュー

ドリームプラン スポーツドラマ
スポーツドラマ伝記映画家族ドラマ

テニス女王の父を描く伝記映画 ---

『ドリームプラン』(原題:King Richard)は、2021年に公開されたアメリカのスポーツドラマ映画で、リナルド・マーカス・グリーンが監督を務めた。実在するテニス界のスター、ヴィーナスとセリーナ・ウィリアムズ姉妹を世界的な選手に育て上げた父親リチャード・ウィリアムズの半生を描く。リチャードを演じたウィル・スミスは、第94回アカデミー賞で主演男優賞を受賞するなど高く評価された。

物語は、リチャードが独自のトレーニング方法で娘たちを育て、困難に立ち向かいながら夢を実現していく姿を描く。映画は、家族愛や信念の力をテーマに、スポーツの枠を超えた感動的なヒューマンドラマとして観客に支持された。また、製作総指揮にウィリアムズ姉妹自身も加わり、作品のリアリティを高めている。興行的にも成功を収め、批評家からも賞賛された。

『ドリームプラン』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


物語は、カリフォルニア州コンプトンに暮らすリチャード・ウリアムズ(ウィル・スミス)が、独自に作成した計画書に基づいて、娘ヴィーナスとセリーナをテニスの世界トッププレイヤーに育てると決意するところから始まる。リチャードは、厳しい環境の中でも娘たちを守り、近隣のコートで練習を重ねる。経済的な困難や人種差別、スポーツ界の偏見に直面しながらも、彼は妻ブランディ(アーンジャニュー・エリス)の協力を得て、家族一丸となって夢を追い続ける。

やがて、リチャードは娘たちの才能を見出したコーチたちと協力しながら、彼女たちをプロの舞台に送り出す準備を進める。特にヴィーナスの早熟な才能が開花し、ジュニア大会での活躍が注目を集める一方で、セリーナも影で着実に実力を伸ばしていく。リチャードの独特な教育方針と揺るぎない信念は、家族を試練にさらしながらも、最終的には世界的な成功への道を切り開いていく。家族の絆と父の愛が描かれる感動的なストーリーが展開される。

『ドリームプラン』の監督と主要キャスト

  • レイナルド・マーカス・グリーン(39)監督
  • ウィル・スミス(53)リチャード・ウィリアムズ
  • アーンジャニュー・エリス(52)オラシーン・“ブランディ”・ウィリアムズ
  • サナイヤ・シドニー(15)ビーナス・ウィリアムズ
  • デミ・シングルトン(14)セリーナ・ウィリアムズ
  • トニー・ゴールドウィン(61)ポール・コーエン
  • ジョン・バーンサル(45)リック・メイシー
  • ミカイラ・ラシェル・バーソロミュー(年齢不詳)チューンド・プライス

(役者の年齢は公開時点のもの)

『ドリームプラン』の評価・作品レビュー

・みんなでワイワイ 5.0 ★★★★★
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 3.0 ★★★☆☆
・セリーナ・ウィリアムズ 5.0 ★★★★★
・複雑な親子関係 4.0 ★★★★☆

ポジティブ

世界最高の女性テニスプレイヤーのひとりである、セリーナ・ウィリアムズがいかにして誕生したか。父親の視点から描かれた家族の物語。
ウィル・スミスは、この作品でリチャード・ウィリアムズの複雑な性格と揺るぎない信念をリアルに表現し、第94回アカデミー賞主演男優賞を受賞。授賞式での「ビンタ騒動」が話題になり、演技面での評価が影を潜めてしまったが、3度目のノミネートでオスカーを手にした本作の熱演に注目してもらいたい。
また、アーンジャニュー・エリスが演じる妻ブランディの存在感や、ビーナスとセリーナの子役たちによる無邪気で自然体の演技も、作品全体にリアリティと温かみを与える重要な要素となっている。姉妹の幼少期から始まる成功への道が、スポーツファンだけでなく広い層の観客に感動を与えた。

ネガティブまたは賛否が分かれる要素

『ドリームプラン』の原題は「King Richard」、直訳すると”リチャード王”である。本作はリチャード・ウィリアムズの型破りな教育方針がヴィーナスとセリーナの成功を導いた感動的な物語だが、その王のような振る舞いと”癖つよ”な指導ゆえに近隣住民から「虐待ではないか」と警察に通報されるエピソードが作中に描かれている。果たしてこれらが正当化されるべきなのか。成功に至らなかった多くのケースが存在する可能性も無視できず、観客によって評価が分かれる点である。

こぼれ話

『ドリームプラン』の制作にあたって、ヴィーナスとセリーナ・ウィリアムズ姉妹が製作総指揮に加わり、物語のリアリティを追求した。ウィル・スミスは役作りのため、リチャード・ウィリアムズの話し方や仕草を研究し、役柄に深く入り込んだという。
映画の中で描かれるリチャードの計画書は実在し、長い年月をかけて娘たちを世界トッププレイヤーに育てた彼の信念を象徴する重要なアイテムとなっている。

ヴィーナス役のサナイヤ・シドニーとセリーナ役のデミ・シングルトンは、プロのテニスコーチからトレーニングを受け、リアルなプレイを再現。映画に登場する多くの試合シーンが、実際の試合結果や出来事に基づいているのも注目ポイントである。

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