オデッセイ(2015)の解説・評価・レビュー

the-martian SF(宇宙)
SF(宇宙)ヒューマンドラマ

火星に残された宇宙飛行士の救出劇ーー

『オデッセイ(The Martian)』は、2015年に公開されたSF映画で、アンディ・ウィアーのベストセラー小説を原作としている。マット・デイモン主演、リドリー・スコットが監督を務めた。物語は、火星探査中に嵐に巻き込まれ、1人火星に取り残された宇宙飛行士マーク・ワトニーが、科学知識と工夫を駆使して生存を試みる姿を描く。一方、地球ではNASAと彼の仲間たちが救出計画を立て、国際的な協力の中で壮大なミッションが展開される。

本作は、科学的考証に基づいたストーリーやユーモアを交えた脚本が高く評価され、第88回アカデミー賞で作品賞を含む7部門にノミネートされ、ゴールデングローブ賞ではミュージカル・コメディ部門の作品賞と主演男優賞を受賞した。興行収入は世界で6億ドル(700億円)を超え、リドリー・スコット監督のキャリアにおける代表作の一つとなった。

『オデッセイ』のあらすじ紹介


人類による火星探査計画「アレス3」のミッション中、大規模な砂嵐が発生し、NASAのクルーはやむなくミッションを中断して火星を離れる。しかし、その際に宇宙飛行士マーク・ワトニーは嵐に巻き込まれ、死亡したと判断される。しかし、彼は奇跡的に生き延びていた。

火星に1人取り残されたマークは、限られた資源と自身の科学的知識を駆使し、食料の栽培や酸素の確保に挑む。一方、地球では彼の生存が判明し、NASAや国際的な科学者たちがマークを救うための困難なミッションを計画。仲間たちも彼を助けるために危険を冒して再び火星へ向かう。絶望的な状況の中、マークの機知と希望が描かれる壮大なサバイバルと救出の物語。

『オデッセイ』の監督・主要キャスト

  • リドリー・スコット(77)監督
  • マット・デイモン(45)マーク・ワトニー
  • ジェシカ・チャステイン(38)メリッサ・ルイス船長
  • クリステン・ウィグ(42)アニー・モントローズ
  • ジェフ・ダニエルズ(60)テディ・サンダース
  • マイケル・ペーニャ(39)リック・マルティネス
  • ケイト・マーラ(32)ベス・ヨハンセン
  • セバスチャン・スタン(33)クリス・ベック
  • キウェテル・イジョフォー(38)ヴィンセント・カプーア

(役者の年齢は公開時点のもの)

『オデッセイ』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 4.0 ★★★★☆
・ひとりでじっくり 4.0 ★★★★☆
・ハラハラドキドキ 5.0 ★★★★★
・サイエンスが好き 4.0 ★★★★☆

科学に裏打ちされた救出劇

『オデッセイ』は、火星に取り残された宇宙飛行士の生還を描く、科学と人間の知恵の融合をテーマにした作品である。リドリー・スコット監督は、膨大な科学的要素を緻密に描写しつつ、スリリングかつユーモラスな物語を作り上げた。特に、主人公マーク・ワトニーを演じたマット・デイモンの演技が光る。彼は、過酷な状況下でも希望を失わず、自らの知識と機転を活かして生き抜こうとするワトニーのユーモアと感情を巧みに表現し、観客を引き込んだ。

製作にあたりNASAの協力を得たことで、映画は宇宙探査の現実的な課題を正確に描きつつ、同時に視覚的な魅力を存分に発揮した。火星の美しくも孤独な風景や宇宙船のディテールに至るまで、映像表現が息をのむようなリアリティを生み出している。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

あえて意地の悪い見方をすると、途中から結末が見えてしまう。それでも手に汗握る演出が続くため、視聴者が飽きるということは無い。

こぼれ話

前述のように、『オデッセイ』の製作にあたって、NASAは科学的考証の面で全面的に協力しており、映画に登場する技術やプロセスの多くは現実に基づいている。
たとえば、マークが火星でジャガイモを育てるシーンは、土壌の改良や水の供給など現実的な方法が描かれている。また、劇中の火星探査車や宇宙船「ヘルメス」の設計は、NASAの実際の研究にインスパイアされたものだという。

公開後、映画の影響で火星探査に対する関心が高まり、科学教育や宇宙開発への関心を呼び起こした。

作品ジャンルの捉え方は人それぞれ。ゴールデングローブ賞のミュージカル・コメディ部門に分類されたことは一部で話題となり、ジャンルの曖昧さが議論を呼んだ。

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