『レヴェナント: 蘇えりし者』(原題:The Revenant)は、2015年に公開されたサバイバルドラマ映画で、実在したフロンティア探検家ヒュー・グラスの過酷な生涯を描く。レオナルド・ディカプリオ主演、監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。
物語は、仲間の裏切りにより荒野に取り残されたグラスが、極限の状況下で復讐を胸に生き延びる姿を描く。自然光のみを使用した撮影手法や壮大なロケーションでのリアルな描写が話題を呼び、第88回アカデミー賞ではディカプリオが悲願の主演男優賞を受賞したほか、監督賞、撮影賞を含む3部門を受賞した。サバイバルの過酷さと復讐心を圧倒的なビジュアルで魅了した。
『レヴェナント: 蘇えりし者』のあらすじ紹介
部隊は1820年代のアメリカ西部。毛皮を求める猟師団が、過酷な自然と敵対するネイティブ・アメリカンに囲まれながら、命がけの探索を続けていた。団の一員であるハンター、ヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は、熊に襲われて瀕死の重傷を負う。仲間たちは移動を優先するため、彼を置き去りにすることを決断するが、息子を殺され、最も信頼していた仲間フィッツジェラルド(トム・ハーディ)の裏切りに直面したグラスは、驚異的な生命力と執念で生き延び、復讐の旅に出る。
極寒の荒野で命をつなぎながら、孤独と自然の脅威に立ち向かうグラス。復讐の衝動だけが彼を突き動かし、その行く手にはさらなる苦難が待ち受けている。壮絶なサバイバルと人間の執念を描いた物語が、圧倒的な映像美とともに展開される。
『レヴェナント: 蘇えりし者』の監督・主要キャスト
- アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ(52)監督
- レオナルド・ディカプリオ(41)ヒュー・グラス
- トム・ハーディ(38)ジョン・フィッツジェラルド
- ウィル・ポールター(22)ジム・ブリッジャー
- ドーナル・グリーソン(32)アンドリュー・ヘンリー大尉
- フォレスト・グッドラック(17)ホーク
- ルーカス・ハース(39)ジョーンズ
(役者の年齢は公開時点のもの)
『レヴェナント: 蘇えりし者』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 3.0 ★★★☆☆ |
・大切な人と観たい | 3.0 ★★★☆☆ |
・ひとりでじっくり | 5.0 ★★★★★ |
・ディカプリオの悲願 | 5.0 ★★★★★ |
・厳かな自然の映像美 | 5.0 ★★★★★ |
悲願のオスカーを手にしたディカプリオ
『レヴェナント: 蘇えりし者』は、探検家ヒュー・グラスの半生を描いたサバイバル映画。本作のレオナルド・ディカプリオは、極限状況下での体当たりの演技で批評家と観客を圧倒した。これ以前にも、『ギルバート・グレイプ』(1993年)での繊細な演技や、『アビエイター』(2004年)、『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013年)などで評価され、何度もオスカーノミネートを果たしてきたが受賞に至らかった彼が、ついに悲願のアカデミー主演男優賞を獲得した形だ。実話ベースの物語は大きなドラマ展開が少なく、ときに退屈になりがちだが、これに息をのむようなスリルを与えて芸術に昇華させたのは彼の働きが大きい。
エマニュエル・ルベツキによる撮影は息をのむほど美しく、アカデミー撮影賞を受賞。スタジオ撮影を一切行わず、ロッキー山脈を中心としたロケ地で撮影が行われ、その壮大で厳かな自然美が物語を際立たせている。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
実話を題材にした映画であるが、それにしても誇張されすぎている、という意見。フィクションを加えてドラマ性を持たせるための演出と見なすか、評価が分かれるところ。ただ、200年後にこのように描かれた探検家ヒュー・グラス自信は、嬉しいのではないかと個人的に感じる。
こぼれ話
『レヴェナント』は、過酷な条件下での撮影が大きな話題となった。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督は実際の自然環境での撮影にこだわり、セットや人工光を一切使用しなかったため、キャストとスタッフは寒冷地での長時間の撮影に耐えることを強いられた。
特にレオナルド・ディカプリオは、冷たい川に飛び込むシーンや野生のバイソンの肉を食べるシーンを実際に行い、彼自身も「最も過酷な撮影だった」と語っている。
映画のタイトルにある「レヴェナント」は「蘇る者」という意味を持ち、作品全体のテーマと密接に結びついている。
みんなのレビュー