『インサイド・ヘッド』(原題:Inside Out)は、2015年に公開されたピクサー・アニメーション・スタジオ制作、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ配給のファンタジー映画。監督はピート・ドクター。
人間の感情をキャラクターとして擬人化し、11歳の少女ライリーの心の中で繰り広げられる感情たちの冒険を描く。主な感情キャラクターには、喜び(ジョイ)、悲しみ(サッドネス)、怒り(アンガー)、恐れ(フィアー)、嫌悪(ディスガスト)が登場し、それぞれがライリーの行動や記憶を形成する役割を担う。
本作はアカデミー賞長編アニメ映画賞を含む数々の賞を受賞し、批評家と観客から広く絶賛された。全世界の興行収入は8億5,800万ドル(当時のレートで約1,000億円)を超え、ピクサー作品の中でもトップクラスの成功を収めた。感情のメカニズムをユニークに描きながら、成長やアイデンティティの変化という普遍的なテーマを扱い、子どもから大人まで幅広い観客層に共感を呼んだ。
『インサイド・ヘッド』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
11歳の少女ライリーは、家族と共に故郷ミネソタからサンフランシスコへ引っ越すことに。新しい生活に戸惑いを感じる彼女の心の中では、5つの感情「喜び(ジョイ)」「悲しみ(サッドネス)」「怒り(アンガー)」「恐れ(フィアー)」「嫌悪(ディスガスト)」が、日々の行動や記憶を通して彼女の感情をコントロールしていた。しかし、ある日、ライリーの大切な記憶を収めた「コアメモリー」が誤って流出し、それをきっかけにジョイとサッドネスが心の中心部「司令部」から放り出されてしまう。
ジョイとサッドネスは、ライリーを元の幸せな状態に戻すため、司令部へ戻ろうと奮闘するが、記憶の迷路のような心の世界で数々の試練に直面する。その間、司令部に残されたアンガー、フィアー、ディスガストはライリーを制御しようとするが、彼女の行動はどんどん暴走していく。ジョイとサッドネスがそれぞれの役割を見つめ直し、成長する中で、ライリーの心に重要な変化が訪れる。
『インサイド・ヘッド』の監督・主要キャスト
- ピート・ドクター(47)監督
- 竹内結子(35)ヨロコビ
- 大竹しのぶ(58)カナシミ
- 浦山迅(51)イカリ
- 小松由佳(34)ムカムカ
- 落合弘治(40)ビビリ
- 伊集院茉衣(12)ライリー
- 佐藤二朗(46)ビンボン
(年齢は映画公開時点のもの)
『インサイド・ヘッド』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 5.0 ★★★★★ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 2.0 ★★☆☆☆ |
・子供と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・心の擬人化 | 5.0 ★★★★★ |
ポジティブ評価
『インサイド・ヘッド』(直訳すると”頭の中”)は、感情をキャラクター化するというアイデアを見事に形にした作品であり、視聴者から幅広い支持を集めた。心の中の複雑な仕組みをユーモアと温かみで描きつつ、成長の中で生まれる葛藤や変化を深く掘り下げている。
コントロールセンターがライリーの感情を連携し、彼女の成長を手助けする。特に、ジョイ(喜び)とサッドネス(悲しみ)がライリーの感情におけるバランスの大切さを理解していく過程が多くの観客の共感を呼んだ。
ピクサー特有のヴィジュアル表現と脚本、感動的なラストが見事に調和し、大人も子どもも楽しめるエンターテインメントに仕上がっている。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
挑戦的な試みではあるものの、心を分類することに意味があるのかという議論もある。複雑な概念を扱っているため、子どもにはテーマがやや難解であると感じられることも指摘された。特に、感情のメカニズムや記憶の概念など、抽象的な設定に戸惑う観客も一部に見られた。また、家族向け映画としてはシリアスすぎる部分があるという評価も存在する。
こぼれ話
ピート・ドクター監督が本作を構想したのは、自身の娘が思春期を迎えた際に見せた感情の変化がきっかけだったという。
感情キャラクターのデザインは、喜びは星型、悲しみは涙のしずく型など、それぞれの性格を視覚的に表現することを意図している。
制作に際しては、感情や記憶に関する心理学の専門家と協力し、科学的な視点を取り入れた設定が緻密に構築された。
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