マレフィセント(2014)の解説・評価・レビュー

maleficent ディズニー
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『マレフィセント』(原題:Maleficent)は、2014年に公開されたディズニー制作のダークファンタジー映画。ロバート・ストロンバーグが監督を務め、アンジェリーナ・ジョリーが主演を務めた。ディズニーの名作『眠れる森の美女』(1959年)をベースに、邪悪な妖精マレフィセントの視点から語られる新たな物語を描く。美しい妖精界を治めていたマレフィセントは、裏切りによって純粋な心を失い、やがて人間の王国に復讐するため、王女オーロラに呪いをかける。しかし、オーロラの成長を見守る中で、彼女の中にかつての自分を見出し、物語は予想外の方向へと展開していく。

本作は、アンジェリーナ・ジョリーの圧倒的な存在感と美しいビジュアルで注目を集め、全世界で7億5,800万ドル(当時のレートで約800億円)を超える興行収入を記録。ディズニーのクラシック作品を新たな視点で再構築する試みが高く評価され、続編『マレフィセント2』も制作された。視覚効果や衣装デザインも秀逸。

『マレフィセント』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


妖精界の美しい領地「ムーア」を守る若き妖精マレフィセント(アンジェリーナ・ジョリー)は、翼を持つ強大な力で平和を保っていた。しかし、人間界からやってきた青年ステファンと友情を育むうちに恋心を抱く。しかし、野心に駆られたステファンはマレフィセントを裏切り、彼女の翼を奪って王国の王となる。この裏切りによって心を閉ざし、復讐心に囚われたマレフィセントは、ステファンの娘オーロラ王女が誕生した際に城に現れ、「16歳の誕生日に永遠の眠りにつく」という呪いをかける。

オーロラは森の奥深くで妖精たちに育てられるが、成長する中でマレフィセントは彼女を遠くから見守り続ける。そして次第に、無邪気で純真なオーロラに惹かれ、自らかけた呪いを悔やむようになる。一方で、ステファン王は娘を守るために狂気じみた行動を取り始める。果たして、マレフィセントはオーロラを呪いから救い出し、自身の傷ついた心を癒すことができるのか――愛と赦しの物語が壮大に展開していく。

『マレフィセント』の監督・主要キャスト

  • ロバート・ストロンバーグ(49)監督
  • アンジェリーナ・ジョリー(39)マレフィセント
  • エル・ファニング(16)オーロラ
  • シャールト・コプリー(40)ステファン王
  • サム・ライリー(34)ディアヴァル
  • イメルダ・スタウントン(58)ノットグラス(妖精)
  • ジュノー・テンプル(24)シスルウィット(妖精)
  • レスリー・マンヴィル(58)フリットル(妖精)

(年齢は映画公開時点のもの)

『マレフィセント』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 4.0 ★★★★☆
・ひとりでじっくり 2.0 ★★☆☆☆
・アンジェリーナの演技力 5.0 ★★★★★
・ユニークな衣装に注目 4.0 ★★★★☆

アンジーが魅せるダークヒロイン像

『マレフィセント』は、ディズニーの名作『眠れる森の美女』を大胆に再解釈し、ヴィランであるマレフィセントの視点から語られる物語が新鮮。特にアンジェリーナ・ジョリーはそのカリスマ性と繊細な演技により、単なる悪役ではない複雑なキャラクターを見事に体現している。復讐から赦しへと至る感情の変化を軸にしたストーリーは、多くの観客に感動を与えた。
また、妖精界「ムーア」を美しく描いたビジュアルや、マレフィセントの独特な衣装とメイクは高いデザイン性が評価され、映画全体の世界観を印象づけた。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

オリジナル版の『眠れる森の美女』の物語やキャラクターに愛着を持つファンの中には、本作の大胆なアプローチに対する賛否も見られた。特に、ステファン王が冷酷なキャラクターとして描かれている点に違和感を覚える声があった。

こぼれ話

本作の撮影に際し、アンジェリーナ・ジョリーの角付きヘッドピースや頬骨を強調した特殊メイクは、彼女自身の提案も取り入れられたデザインとなっている。また、アンジーの実の娘ヴィヴィアン・ジョリー=ピットが、幼少期のオーロラ役を演じたエピソードは有名。これは、他の子役がマレフィセントの衣装を怖がったため、娘がキャスティングされたという事情があった。母娘で思い入れのあるキャラクターなのだ。

本作は『アバター』や『アリス・イン・ワンダーランド』の美術監督を務めたロバート・ストロンバーグが初めて監督を務めた作品であり、その経験が映画の豪華なビジュアル表現に大きく影響を与えている。

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