ハンガー・ゲーム(2012)の解説・評価・レビュー

ハンガー・ゲーム SF(近未来)
SF(近未来)アクション(その他)冒険ファンタジー青春・学校ドラマ

『ハンガー・ゲーム』(原題:The Hunger Games)は、2012年に公開されたSFアクション映画で、スザンヌ・コリンズの同名ベストセラー小説を原作とする。監督はゲイリー・ロス、主演はジェニファー・ローレンス。ディストピア的な未来社会を舞台に、若者たちが生き残りをかけて戦う「ハンガー・ゲーム」と呼ばれるデスゲームに挑む主人公カットニス・エヴァディーンの姿を描く。貧困地区から選出された少女が仲間や敵と対峙しながら、愛と犠牲の中で自らの力を発揮していく様子がドラマチックに展開される。

本作は、公開直後から若年層を中心に世界的なブームを巻き起こし、全世界で約6億9,400万ドル(当時のレートで約600億円)の興行収入を記録した。ジェニファー・ローレンスの名演技は、カットニス役を象徴的な存在へと押し上げ、若者たちが直面する現代社会の葛藤を寓話的に描いた点が、幅広い視聴者の共感を呼んだ。

『ハンガー・ゲーム』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


近未来の独裁国家パネム。国は豊かなキャピトルと12の貧しい地区に分かれ、反乱への報復として毎年「ハンガー・ゲーム」と呼ばれる残酷なサバイバル競技が開催されていた。このゲームでは各地区から男女1名ずつ計24人の「トリビュート」が選ばれ、最後の1人になるまで殺し合いを強いられる。第12地区に住む16歳の少女カットニス・エヴァディーン(ジェニファー・ローレンス)は、妹の代わりにトリビュートとして名乗りを上げ、少年ピータ・メラーク(ジョシュ・ハッチャーソン)と共にゲームに参加する。

豪華な首都キャピトルでの訓練や宣伝を経て、カットニスは次第に生き延びるための技術や精神力を鍛える。しかし、ゲーム開始後、森を舞台に繰り広げられる壮絶な戦いの中で、彼女は同盟や裏切り、そしてキャピトルの圧政の中で生き延びる道を模索する。次第にゲームの本質を問い直すカットニスの決断は、やがてゲームのルールそのものを揺るがすことになる。自由を求める彼女の戦いが、パネムの運命を変える第一歩となる物語が幕を開ける。

『ハンガー・ゲーム』の監督・主要キャスト

  • ゲイリー・ロス(55)監督
  • ジェニファー・ローレンス(21)カットニス・エヴァディーン
  • ジョシュ・ハッチャーソン(19)ピータ・メラーク
  • ウディ・ハレルソン(50)ヘイミッチ・アバーナシー
  • エリザベス・バンクス(37)エフィー・トリンケット
  • レニー・クラヴィッツ(47)シナ
  • ドナルド・サザーランド(76)スノー大統領
  • ウィロー・シールズ(11)プリムローズ・エヴァディーン

(年齢は映画公開時点のもの)

『ハンガー・ゲーム』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 4.0 ★★★★☆
・ジェニファー・ローレンス 5.0 ★★★★★
・近未来+青春 5.0 ★★★★★

輝いた若手俳優たち

『ハンガー・ゲーム』は、スザンヌ・コリンズの原作を忠実に再現しつつ、人気若手俳優を多数起用したビジュアル表現やキャラクター描写で映画ならではの魅力を発揮している。中でもジェニファー・ローレンスの存在感が異彩を放った。
豪華なキャピトルのデザインや個性的な衣装は、独裁国家パネムの不条理な社会構造を視覚的に表現している。緊張感のあるゲームシーンと人間ドラマがバランスよく配置され、観る者を惹きつけるテンポの良い演出も高評価。若者たちの葛藤を通じて社会問題を反映するテーマ性が、娯楽作品としての枠を超えた深みを与えている。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

同名の原作小説の評価があまりに高いため、比較した視聴者からは今一歩の評価。特にゲームの暴力性が抑えられた演出については、一部の観客から「原作の過酷さが十分に伝わらない」との批判も。7,800万ドル(当時のレートで約70億円)という多額の制作費が投じられたため、上がった期待値に対する反動の影響もある。

こぼれ話

『ハンガー・ゲーム』の撮影は、ノースカロライナ州の山岳地帯で行われ、自然の美しさを活かしたロケーションが、ゲームの舞台である森をリアルに再現している。
衣装デザインは、独裁国家キャピトルの派手で異様な美意識を反映するために緻密に設計された。ジェニファー・ローレンスは役作りの一環として弓術やサバイバル技術を習得し、肉体的にも精神的にも過酷な撮影に挑んだという。

原作者スザンヌ・コリンズが脚本にも協力しており、映画のストーリー展開に一貫性を持たせることに寄与した。興行収入の成功により、本作はその後のYA(ヤングアダルト)向け映画ブームを牽引する存在となった。

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