『タイムトラベラー きのうから来た恋人』(原題: Blast from the Past)は、1999年に公開されたアメリカのロマンティック・コメディ映画である。監督はヒュー・ウィルソンが務め、主演はブレンダン・フレイザー(アダム・ウェバー役)とアリシア・シルヴァーストーン(イヴ・ヴァスティコフ役)が務めた。
物語は、1962年のキューバ危機の最中、天才発明家のカルヴィン(クリストファー・ウォーケン)と臨月の妻ヘレン(シシー・スペイセク)が、誤解から自宅地下の核シェルターで生活を始めるところから始まる。シェルター内で生まれ育った息子アダムは、35年後の1997年に初めて地上の世界に出ることになる。外の世界でアダムは、現代的な女性イヴと出会い、時代錯誤的な価値観を持つ彼と現代社会とのギャップから生じるユーモラスな展開が繰り広げられる。
本作は、核シェルターで育った純粋無垢な青年が初めて現代社会に触れ、恋愛を通じて成長していく姿を描いており、公開当時はそのユニークな設定と心温まるストーリーで注目を集めた。
『タイムトラベラー きのうから来た恋人』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
1962年、ロサンゼルス。天才発明家のカルヴィン(クリストファー・ウォーケン)は、キューバ危機が核戦争に発展することを恐れ、臨月の妻ヘレン(シシー・スペイセク)とともに地下の豪華な核シェルターに引きこもることに。そんな中で誕生した息子アダム(ブレンダン・フレイザー)は、35年間シェルターで平和(?)に暮らしながら、1950年代流の完璧な紳士に育つ。時が流れ、1997年。自動ロックが解除され、現代の地上に初めて出たアダムを待っていたのは、全く別世界に変貌したロサンゼルス。文化のギャップに翻弄されつつ、アダムは両親のための物資調達と、ついでに理想の伴侶探しに挑むことに。
そんな中、アダムは野球カードを売ろうとして詐欺に遭いそうになるが、気の強い店員のイヴ(アリシア・シルヴァーストーン)に助けられる。時代錯誤なアダムの行動に戸惑いを隠せないイヴだったが、どこか抜けた彼の純粋さに惹かれ始める。一方のアダムは、現代の奇妙なルールを学びながらイヴとの距離を縮めようと奮闘する。次々と巻き起こるハプニングに大忙しのアダムがたどり着く未来は、果たして夢のロマンスか、ただの大混乱か?
『タイムトラベラー きのうから来た恋人』の監督・主要キャスト
- ヒュー・ウィルソン(55)監督
- ブレンダン・フレイザー(31)アダム・ウェバー
- アリシア・シルヴァーストーン(23)イヴ・ヴァスティコフ
- クリストファー・ウォーケン(56)カルヴィン・ウェバー
- シシー・スペイセク(49)ヘレン・ウェバー
- デイヴ・フォーリー(36)トロイ
- ネイサン・フィリオン(28)クリフ
- ジェニファー・ルイス(42)ニーナ
※年齢は映画公開当時のもの。
『タイムトラベラー きのうから来た恋人』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 4.0 ★★★★☆ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 2.0 ★★☆☆☆ |
・オスカー俳優のキャリア初期 | 5.0 ★★★★★ |
・ぬくもり | 4.0 ★★★★☆ |
ぬくもりの笑いが高評価
核シェルターで育った青年が初めて地上世界に触れるというユニークな設定が魅力。主人公アダムの純粋さと、1960年代と1990年代の文化的ギャップをコミカルに表現した脚本が秀逸で、アダムの時代錯誤な行動や反応が笑いを誘う。文化ギャップを付いた笑いの感じは、エディ・マーフィ―主演の名作「星の王子 ニューヨークへ行く」に似ているか。アリシア・シルヴァーストーン演じるイヴが視聴者視点の”軸”になって、物語に深みを与え、観客を引き込む要素となっている。
こぼれ話(ブレンダン・フレイザー)
1991年にスクリーンデビューした主演のブレンダン・フレイザーは、本作と同じ年(1999)に公開された『ハムナプトラ』シリーズで国際的な人気を確立した。
2000年代後半からは、体調の悪化や結婚生活の破綻など、私生活での困難が重なりハリウッドの表舞台から遠ざかることとなったが、後のインタビューで、2003年にはハリウッド外国人映画記者協会の元会長からセクシャルハラスメントを受け、その心身的ショックから鬱状態に陥ったことを告白。心的外傷がキャリアに影響を及ぼしたことに言及した。
その後、フレイザーは徐々に復帰し、2022年にはダーレン・アロノフスキー監督の『ザ・ホエール』で272キロの巨体を持つ主人公を演じ、第95回アカデミー賞で主演男優賞を受賞。、フレイザーの俳優としての再起を象徴する作品となった。
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