ウィル・スミスによるパンデミックアクションの傑作 ---
『アイ・アム・レジェンド』(原題: I Am Legend)は、2007年公開のアメリカ映画。リチャード・マシスンの同名小説を原作とし、フランシス・ローレンスが監督を務めたSFスリラーである。ウィル・スミス(39)が主演を務め、人類の大半が壊滅した世界で唯一の生存者となった科学者ロバート・ネビルの孤独と闘いを描く。
ウイルス感染によるパンデミック後のニューヨークを舞台に、進化した感染者「ダークシーカー」との戦い、そして人間性を失わないための葛藤が物語の主軸となる。製作費は約1億5,000万ドル(当時のレートで約180億円)、興行収入は全世界で5億8,600万ドル(約700億円)を超え、大ヒットを記録。特に、廃墟と化したニューヨークの描写やウィル・スミスの演技が高く評価された。作品は2008年のサターン賞で主演男優賞(ウィル・スミス)を含む4部門にノミネートされるなど、多くの注目を集めた。
『アイ・アム・レジェンド』あらすじ紹介(ネタバレなし)
近未来、治療薬として開発されたウイルスが突如変異し、人類の大半を死滅させるパンデミックが発生。生き残ったわずかな人々も凶暴な感染者「ダークシーカー」へと変貌する。ニューヨーク市にたった一人で生き残った科学者ロバート・ネビルは、感染者に襲われる危険と隣り合わせの日々を送りながら、愛犬サムを唯一の相棒として生き延びていた。
ネビルは、自宅を改造した研究室で、ダークシーカーの治療法を見つけるため実験を続ける。しかし、昼間は物資調達と研究に追われ、夜は感染者から身を隠す生活が続く中、次第に孤独が彼の精神を蝕んでいく。そんな中、ある日感染者以外の生存者アンナとその子どもイーサンと出会い、彼らと行動を共にすることで希望を見出す。
『アイ・アム・レジェンド』の監督・主要キャスト
・フランシス・ローレンス(36)監督
・ウィル・スミス(39)ロバート・ネビル
・アリシー・ブラガ(24)アンナ
・チャーリー・ターハン(10)イーサン
・アビー(3)サム(犬、ジャーマン・シェパード)
(年齢は映画公開当時のもの)
『アイ・アム・レジェンド』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 4.0 ★★★★☆ |
・大切な人と観たい | 3.0 ★★★☆☆ |
・ひとりでじっくり | 5.0 ★★☆☆☆ |
・ウイル・スミス名演技 | 5.0 ★★★★★ |
・ダークシーカーの恐怖 | 4.0 ★★★★☆ |
ポジティブ評価
『アイ・アム・レジェンド』は、廃墟と化したニューヨークのビジュアルと、ウィル・スミスの一人芝居とも言える熱演が高く評価された作品。映画全体を通じて描かれる、荒廃した街のリアルな描写は、製作陣の徹底的なリサーチとCG技術の賜物であり、物語に没入感を与える。また、静寂と恐怖が支配する世界で、感染者「ダークシーカー」との対峙がスリル満点に描かれており、視聴者の緊張感を最後まで保持する。
ウィル・スミスは、孤独と希望の間で揺れ動く科学者ロバート・ネビルを演じ、その感情の振り幅が視聴者の共感を呼び起こした。唯一の相棒である愛犬サムとの交流は、物語に温かさと哀しみを加える。彼はこの役によりサターン賞で主演男優賞にノミネートされ、ウィル・スミスがこれまでに演じてきた役柄の中でも特に評価が高いものとなっている。
※用語:サターン賞(1973年~)は映像作品に贈られる由緒ある賞のひとつで、主にSF、ファンタジー、ホラー映画とドラマを対象としている。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
原作小説が持つ哲学的な問いや、人間と感染者の視点を対比する複雑なテーマが映画で十分に掘り下げられておらず、感染者「ダークシーカー」が単なるモンスターとして描かれている。原作を読んだ視聴者からはこれらの点について物足りなさを感じる声もある。
こぼれ話
映画の重要な舞台である廃墟と化したニューヨークは、実際のロケ地をベースにCGで廃墟化を再現したもので、撮影のために主要な通りが一時的に封鎖された。この作業には多額の費用と時間がかけられ、リアリティの高い映像が生み出された。
相棒の犬=サムを演じたジャーマン・シェパードのアビーは、撮影中にキャストやスタッフから絶大な人気を集めた。スミス自身もアビーに感銘を受け、撮影後に引き取りたいと申し出たが、アビーのトレーナーがその申し出を断るという可愛らしいエピソードも。
終盤の展開については、別の結末も撮影されており、後に「オルタナティブエンディング」としてDVDやBlu-rayに収録された。この結末では原作により近いテーマが反映され、視聴者の間で議論を呼ぶこととなった。監督のフランシス・ローレンスは、このエンディングを採用しなかった理由について「より視聴者に伝わりやすい結末を選んだ」と語っている。
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