ダ・ヴィンチ・コード(2006)の解説・評価・レビュー

ダ・ヴィンチ・コード ミステリーサスペンス
ミステリーサスペンス歴史ファンタジー

『ダ・ヴィンチ・コード』(原題: The Da Vinci Code)は、2006年公開のアメリカ映画。ダン・ブラウンの同名ベストセラー小説を原作とし、ロン・ハワード(52)が監督、トム・ハンクス(49)が主演を務めたミステリーサスペンス作品である。ルーブル美術館で発生した殺人事件をきっかけに、宗教と歴史の謎を解き明かしていく物語が展開される。

製作費は約1億2,500万ドル(当時のレートで約150億円)で、全世界で約7億6,000万ドル(約900億円)の興行収入を記録し、大ヒットを収めた。キリスト教にまつわる大胆な解釈や、宗教的なテーマを扱った内容が議論を呼び、公開時には大きな注目を集めた。美術館や教会などを舞台にした壮大なロケーションや、トム・ハンクスをはじめとする豪華キャストの演技も話題の作品。
本作は後に続編『天使と悪魔』(2009年)、『インフェルノ』(2016年)へと続くシリーズの第1作目である。

『ダ・ヴィンチ・コード』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


ルーブル美術館の館長が深夜に殺害され、遺体には謎めいた暗号が残されていた。事件の捜査に協力を求められたハーバード大学の宗教象徴学者ロバート・ラングドンは、被害者の孫で暗号解読の専門家ソフィー・ヌヴーと共に、事件の謎を追い始める。現場に隠された手掛かりをたどるうちに、二人はキリスト教の根幹に関わる秘密を明らかにする鍵が、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品に隠されていることを知る。

謎を解明しようとするラングドンとソフィーは、秘密結社やカトリック教会の陰謀に巻き込まれながらも、フランスやイギリスを舞台に緊迫の逃走劇を繰り広げる。やがて二人は、キリストの血筋に関わる重大な真実に近づいていくが、それは人類の歴史を覆すほどの衝撃的な内容であった。彼らはこの真実を守るべきか、それとも公にするべきか――その選択が物語のクライマックスを迎える。

『ダ・ヴィンチ・コード』の監督・主要キャスト

・ロン・ハワード(52)監督
・トム・ハンクス(49)ロバート・ラングドン
・オドレイ・トトゥ(29)ソフィー・ヌヴー
・イアン・マッケラン(67)リー・ティービング
・ポール・ベタニー(34)シラス
・アルフレッド・モリーナ(53)アリンガローサ司教
・ジャン・レノ(57)ベズ・ファーシュ警部
・ユルゲン・プロホノフ(64)レミー
(年齢は映画公開当時のもの)

『ダ・ヴィンチ・コード』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 3.0 ★★★☆☆
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 4.0 ★★★★☆
・アートミステリー 5.0 ★★★★★
・大胆な歴史解釈 4.0 ★★★★☆

大胆な歴史ミステリー

『ダ・ヴィンチ・コード』はルーブル美術館やウェストミンスター寺院など、歴史的なロケーションを舞台に展開される。

本作は宗教、歴史にまつわる謎解きが世界を大胆に解釈する。最大の見どころは、レオナルド・ダ・ヴィンチの名画や象徴に秘められた謎を解き明かしていくプロセスであり、美術や歴史に関心が高い視聴者を楽しませる。
宗教的テーマを扱いつつも、エンターテインメント映画としてのバランスも高評価。緊張感のある展開と豪華な俳優陣が華を添える。

ネガティブ評価

歴史の裏話(あるいは陰謀論)は人を楽しませ、反面、この映画のように興行としての成功が大きいほど社会的な影響が広がり、さまざまな議論を呼ぶ。カトリック教会を中心とした宗教的なテーマが議論を呼び、一部では「過剰に挑発的」や「歴史的事実を歪曲している」といった批判が欧州メディアを中心に取り沙汰された。信仰に対する侮辱と捉える視聴者も。
逆に西洋史やキリスト教文化に馴染みが薄い視聴者にとっては内容がやや難解でもある。

こぼれ話

製作にあたり、ルーブル美術館で映画撮影が許可されたことが初期の大きな話題。長い交渉の末、館内の撮影は夜間に行われ、モナ・リザの展示室や大階段など、普段は観光客で賑わう名所が映画の重要なシーンで使われている。
イアン・マッケラン演じるリー・ティービングの屋敷で使用された豪邸は、ロケ地として注目を集め、観光地としての人気も高まった。

映画のプロモーションでは、原作小説のファンを対象としたリアル脱出ゲーム形式のイベントが開催されるなど、映画のテーマに即したユニークな企画が展開された。また、カトリック教会を扱う物語の内容に対しては、宗教団体や教会からの批判も集まり、公開当時は世界的に議論を呼ぶ一作となった。

主演のトム・ハンクスは、ハーバード大学の宗教象徴学者というラングドン役を演じるため、宗教や美術史に関するリサーチを入念に行った。劇中で解読する数々の謎や暗号についても、実際の学問や歴史を元にした設定が盛り込まれており、視聴者の好奇心を刺激する要素。

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