スリーピー・ホロウ(1999)の解説・評価・レビュー

sleepyhollow ゴシックホラー
ゴシックホラーホラー

『スリーピー・ホロウ』は、1999年に公開されたティム・バートン監督によるゴシックホラー映画である。原作はワシントン・アーヴィングの短編小説「スリーピー・ホロウの伝説」。主演はジョニー・デップ、共演にクリスティーナ・リッチやクリストファー・ウォーケンを迎えた。19世紀のニューヨーク州を舞台に、頭のない騎士が引き起こす連続殺人事件を描く。科学的な捜査を信条とする主人公イカボッド・クレーンが事件解決のためスリーピー・ホロウ村に派遣され、神秘的な事件に巻き込まれていく。

公開当時、ダークで幻想的な映像美や緻密なセットデザインが絶賛され、第72回アカデミー賞では美術賞を受賞した。日本では2000年に公開され、興行的には19憶円の興行収入を記録。19世紀の雰囲気を忠実に再現したビジュアルと、不気味さの中にユーモアを忍ばせたストーリーテリングで、ティム・バートン作品の中でも高い評価を得ている。

スリーピー・ホロウのあらすじ紹介(ネタバレなし)

1799年、ニューヨークの若き警察官イカボッド・クレーンは、科学的な捜査方法を提唱するも理解を得られず、頭のない騎士による連続殺人事件を調査するためスリーピー・ホロウ村へ派遣される。村に到着した彼は、村民たちが騎士の正体を「復讐に燃える亡霊」と信じ、恐怖に震えていることを知る。冷静さを保ち、科学で事件を解明しようとするイカボッドだが、次第に超自然的な現象に直面し、現実と幻想の境界が曖昧になっていく。

やがて彼は、美しい若い女性カトリーナ・ヴァン・タッセルと出会い、事件の背後に隠された複雑な因縁と陰謀を探る中で、彼自身の過去とも向き合うことになる。謎が次々と解き明かされる中、騎士との最終的な対峙が迫り、村の運命と自身の信念が試されるスリリングな展開が描かれる。

監督・主要キャスト

※人名の後の()カッコは公開当時の年齢

  • ティム・バートン(41)監督
  • ジョニー・デップ(36)イカボッド・クレーン
  • クリスティーナ・リッチ(19)カトリーナ・ヴァン・タッセル
  • ミランダ・リチャードソン(41)ヴァン・タッセル夫人
  • マイケル・ガンボン(59)バルタス・ヴァン・タッセル
  • キャスパー・ヴァン・ディーン(21)ブロム・ヴァン・ブラント
  • ジェフリー・ジョーンズ(53)スティーンウィック牧師
  • マイケル・ガフ(82)ジェームズ・ハーデンブルック書記

スリーピー・ホロウの作品レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 3.0 ★★★☆☆
・若いジョニーデップが観たい! 5.0 ★★★★★
・恐怖 3.0 ★★★☆☆

ゴシックホラーの映像美

ゴシックホラー(ゴシック風の古城や寺院などを舞台に、超自然的な怪奇を描く映画ジャンル)の傑作。闇と光を巧みに使った撮影技法や、19世紀の雰囲気を忠実に再現した美術セットは、その時代の空気感を完璧に表現。ジョニー・デップのコミカルでありながら繊細な演技は、イカボッド・クレーンというキャラクターに奥行きを与えた。
カトリーナ役のクリスティーナ・リッチの妖艶かつ無垢な魅力も物語に深みを加えている。特に、第72回アカデミー賞で美術賞を受賞した点は、この映画のビジュアル面での完成度の高さを象徴している。また、ホラー要素とブラックユーモアのバランスが絶妙で、多くの観客を引き込むことに成功した。

ホラー映画としての評価は‥

ホラー映画としての恐怖感よりも、ティム・バートンの制作手腕とジョニーデップの演技に注目が集まったため、「恐怖」を目当ての視聴者からは評価が分かれる。マイルドに楽しむことが出来るという点で◎。不気味な世界観は高評価。

こぼれ話

『スリーピー・ホロウ』は、撮影のほとんどがロンドン近郊のスタジオとセットで行われた。映画の舞台であるスリーピー・ホロウ村は完全にセットで再現され、霧や雨の多い暗い雰囲気を作り出すため、特殊な照明と機械が使われた。また、頭のない騎士を演じたのは元プロレスラーのレイ・パークであり、彼は後に『スター・ウォーズ エピソード1』のダース・モール役でも知られることになる。
ティム・バートンが愛用するダニー・エルフマンによる音楽も、この映画の雰囲気作りに大きく貢献。映画の原作であるワシントン・アーヴィングの短編小説とは異なり、オリジナル要素を多く取り入れて物語を構築している点も興味深い。

またこの映画には、バートンが尊敬する往年のホラー映画へのオマージュが随所に散りばめられている。たとえば、村の不気味な雰囲気や騎士の登場シーンは、ハマー・フィルム製作のクラシックホラー作品を彷彿とさせる。また、キャストの中には、かつてバートンが手掛けた『バットマン』シリーズに出演した俳優(マイケル・ガフ、クリストファー・ウォーケン)が含まれており、彼の映画作りにおける「ファミリー感」も感じられる逸話だ。

みんなのレビュー