『アポロ13』(原題:Apollo13)は、1995年に公開されたロン・ハワード監督による実話を基にした歴史ドラマ映画である。主演はトム・ハンクスで、ケヴィン・ベーコン、ビル・パクストン、ゲイリー・シニーズ、エド・ハリスらが共演。アポロ計画の中で最も困難なミッションの一つとされる「アポロ13号の事故」を描いている。1970年、月面着陸を目指したアポロ13号は打ち上げからわずか数日後に酸素タンクの爆発により深刻な危機に陥る。限られた資源と設備の中、宇宙飛行士たちは地上の管制センターと協力して帰還を目指し、究極のチームワークが試される状況を乗り越えていく。
映画はアカデミー賞で9部門にノミネートされ、編集賞と音響賞を受賞するなど高い評価を受けた。興行的にも成功を収め、全世界で約3億5,500万ドル(当時のレートで330億円)の興行収入を記録している。NASAの全面的な協力を得たことで、宇宙船内や地上管制の描写に高いリアリティが感じられる点が評価された。本作は、「Houston, we have a problem.(ヒューストン、問題が発生した)」というセリフとともに長く語り継がれ、宇宙映画の傑作として現在も評価されている。
『アポロ13』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
1970年、アメリカのアポロ計画の一環として、宇宙飛行士ジム・ラヴェル(トム・ハンクス)、フレッド・ヘイズ(ビル・パクストン)、ジャック・スワイガート(ケヴィン・ベーコン)を乗せたアポロ13号が月面着陸を目指して打ち上げられる。彼らは期待と使命感を胸に宇宙へと旅立つが、打ち上げからわずか数日後、酸素タンクが爆発し、宇宙船の生命維持装置と電力供給システムが致命的な損傷を受ける。これにより、月面着陸の計画は中止され、乗組員たちの新たな目標は地球への無事の帰還となる。
宇宙船内では酸素や電力の不足が深刻化し、寒さや体調不良など過酷な状況に耐えながら、乗組員たちは冷静さを保って生き残るための努力を続ける。一方、地上の管制センターではジーン・クランツ(エド・ハリス)を中心にエンジニアやスタッフたちが集結し、次々と迫り来る問題を解決するための手段を模索する。極度の緊張の中、限られた資源を駆使し、地球と宇宙の間で緊密な連携を取りながら、乗組員たちは数々の危機を乗り越えていくーーーーー。
『アポロ13』の監督・主要キャスト
- ロン・ハワード(41)監督
- トム・ハンクス(39)ジム・ラヴェル
- ケヴィン・ベーコン(37)ジャック・スワイガート
- ビル・パクストン(40)フレッド・ヘイズ
- エド・ハリス(44)ジーン・クランツ
- ゲイリー・シニーズ(40)ケン・マッティングリー
- キャスリーン・クインラン(41)マリリン・ラヴェル
※年齢は映画公開当時のもの。
『アポロ13』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 2.0 ★★☆☆☆ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 5.0 ★★★★★ |
・極度の緊張 | 5.0 ★★★★★ |
・感動 | 5.0 ★★★★★ |
ポジティブ
『アポロ13』は、実際の宇宙事故を基にした映画として、その高い再現性と緊張感のある演出が多くの視聴者から称賛された。NASAの全面協力による宇宙船や地上管制センターの細部にわたるリアルな描写が物語への没入感を高める。ロン・ハワード監督は観客にわかりやすく状況を伝える演出を施し、複雑な宇宙飛行のプロセスや技術的な課題を巧みに描き出した。
俳優陣のパフォーマンスも評価が高い。トム・ハンクスはリーダーシップと人間的な不安の両面を見事に表現し、エド・ハリス演じるジーン・クランツの緊迫した姿は、地上チームの奮闘を象徴するものとなっている。また、限られたセットと道具を使い、宇宙船内での息詰まるような閉塞感や緊張感を見事に演出した点も評価された。
アカデミー音響賞を受賞したジェームズ・ホーナーによる音楽は、危機的な状況における緊張感と人間の希望を見事に表現し作品の成功に大きく寄与している。結果的に、本作は単なる宇宙映画を超え、困難に立ち向かう人間の勇気とチームワークを描いた普遍的な物語として評価されている。
こぼれ話
宇宙船内のシーンのリアリティを追求するために、映画では実際に無重力状態が再現された。これはNASAの「無重力訓練機」として知られるKC-135航空機を使用しており、「落下飛行」と呼ばれる特殊な飛行方法で約25秒間の無重力状態を撮影している。こうした取り組みは『アポロ13』が公開された時代では珍しい試みであり、この方法で600回以上の無重力シーンを撮影したという。
撮影では実際の元宇宙飛行士やエンジニアがアドバイザーとして参加している。
象徴的なセリフ「Houston, we have a problem.(ヒューストン、問題が発生した)」は、実際のジム・ラヴェル船長が発した言葉を元にしている(実際の通信記録では「Houston, we’ve had a problem.」という過去形)。
結末が分かっても、何度見ても緊張感する歴史ドラマの名作である。
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