ビーン(1997)の解説・評価・レビュー

bean コメディ(全般)
コメディ(全般)

NHKでおなじみMr.ビーンの待望の映画化! ---

『ビーン』(原題: Bean)は、1997年に公開されたコメディ映画であり、イギリスの人気テレビシリーズ『ミスター・ビーン』を映画化した物。監督はメル・スミス、主演はテレビ版に引き続き、ローワン・アトキンソンが務める。本作では、ロンドンのナショナル・ギャラリーで働く迷惑ばかりかける美術館職員のミスター・ビーンが、アメリカへと派遣され、アート界の名作「ホイッスラーの母」を巡るドタバタ劇を繰り広げる。アメリカとイギリスの文化的ギャップをコミカルに描きつつ、ビーンの奇想天外な行動が巻き起こす笑いが見どころ。

本作は、制作費わずか1800万ドル(約21億円)に対して世界興行収入2億5100万ドル(約300億円)を記録し、大きな成功を収めた。また、1998年のブリティッシュ・コメディ賞を受賞するなど、批評家と視聴者双方から支持を得た。ビーンの独特な身体コメディと無言劇の要素が国境を越え、日本を含む多くの国で愛された作品となっている。

『ビーン』のあらすじ紹介(ネタバレなし)

ロンドンのナショナル・ギャラリーで働くミスター・ビーンは、職場で迷惑ばかりかける困った職員として疎まれていた。ある日、上司たちはビーンを厄介払いするため、アメリカの美術館に派遣することを決定。彼の任務は、名画「ホイッスラーの母」の展示を祝うセレモニーに参加することだった。

ビーンはロサンゼルスに到着すると、世話を任されたキュレーター一家を困惑させる珍行動を連発。さらに、「ホイッスラーの母」をめぐるとんでもない大事件を引き起こしてしまう。混乱の中、彼なりの機転で問題を解決しようと奮闘するが、事態は予測不能な方向へ。果たして、ビーンはこの大騒動を無事収めることができるのか?

持ち前の奇想天外な発想と行動で周囲を巻き込みながら、ビーンが繰り広げる笑いと感動のストーリー。

『ビーン』の監督・主要キャスト

  • メル・スミス(44)監督
  • ローワン・アトキンソン(42)ミスター・ビーン
  • ピーター・マクニコル(43)デヴィッド・ラングレー
  • パメラ・リード(48)アリソン・ラングレー
  • トリシア・ヴェッセイ(25)ジェニファー・ラングレー
  • アンドリュー・ローレンス(9)ケヴィン・ラングレー
  • ハリス・ユーリン(60)ジョージ・グリアソン
  • バート・レイノルズ(61)ニュートン将軍

※年齢は映画公開当時のもの。

『ビーン』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 5.0 ★★★★★
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 2.0 ★★☆☆☆
・日曜日の夜に観たい 5.0 ★★★★★
・老若男女が楽しめる 5.0 ★★★★★

ポジティブ評価

『ビーン』は、テレビシリーズ『ミスター・ビーン』で培われたローワン・アトキンソンの卓越した身体コメディが存分に発揮された作品。台詞に頼らないユーモアが特徴のビーンは、文化や言語の壁を越え、世界中で広く愛された。
映画では、アメリカとイギリスの文化的ギャップをテーマにしたストーリーが、単なるドタバタ劇に留まらず、国際的な視点で楽しめるコメディに仕上がっている点も評価が高い。美術館を舞台にしたエピソードや名画「ホイッスラーの母」への介入といった展開は、彼のトラブルメーカーぶりを最大限に活かしつつ、映画ならではのスケール感を生み出している。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

テレビ版のファンにとってはおなじみのドタバタ劇がそのまま楽しめるが、映画というフォーマットになったことでストーリー性が求められる中、単なるギャグの羅列に見えてしまうという意見もある。一方で、テレビシリーズの短編形式を長編映画に拡張する過程で、冗長に感じられる部分があり、「しゃべり過ぎ」という指摘も。特に、感動的な場面を取り入れたストーリー展開は、ビーンらしいコメディのテンポを損なっていると感じた視聴者もいた。また、一部のユーモアが過剰に誇張され、テレビシリーズの持つ洗練された笑いが薄れたという意見もある。

こぼれ話

本作は、アメリカとイギリスの合作映画として製作され、ロンドンとロサンゼルスでロケが行われた。また、ローワン・アトキンソンが演じるビーンのキャラクターは、1960年代のサイレント映画の名優バスター・キートンやチャールズ・チャップリンから大きな影響を受けていると言われる。

劇中で登場する「ホイッスラーの母」は、正式名称を『画家の母の肖像』といい、ジェームズ・ホイッスラーによる実在する絵画である。1934年にはアメリカの切手にも採用され、「母の日」の象徴として親しまれるようになった。現在はフランスのパリのオルセー美術館に所蔵されている。

テレビ版Mr.ビーンは、日本では1991年から1998年までNHK総合テレビで放送され、一世を風靡した。その後、WOWOWで定期的に放送されている。

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