キャスト・アウェイ(2000)の解説・評価・レビュー

Cast Away ヒューマンドラマ
ヒューマンドラマ

トムハンクスが演じる無人島サバイバル ---

2000年公開の『キャスト・アウェイ』(原題:Cast Away)は、ロバート・ゼメキス監督が手掛けたサバイバルドラマである。主演はトム・ハンクスで、彼が演じるのは無人島に漂着した男チャック・ノーランド。物語は、貨物便の墜落事故により南太平洋の孤島に漂着した主人公が、絶望的な状況下で4年間生き延びる様子を描く。人間の生命力と孤独をテーマに、社会から切り離された生活を通じて自身を見つめ直す物語となっている。

トム・ハンクスは本作で、第73回アカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど高い評価を受ける。また、劇中に登場するバレーボール「ウィルソン」は、視聴者に強い印象を残し、映画の象徴的なアイテムとして話題を集めた。興行的にも成功を収め、全世界で4億2,900万ドル(当時のレートで約460億円)以上の興行収入を記録。特にトム・ハンクスの役作りとして、役に合わせて減量や肉体改造を行ったことが注目されている。映画は極限状態でのサバイバルと人間性の探求を描いた珠玉の一作である。

『キャスト・アウェイ』のあらすじ紹介(ネタバレなし)

チャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、世界的な物流企業フェデックスに勤務するシステムエンジニア。忙しい日々を送りながらも恋人ケリー(ヘレン・ハント)との幸せな生活を築いていた。ある日、仕事で飛行機に搭乗していたチャックは、突如起こった墜落事故に巻き込まれ、南太平洋の孤島に漂着する。

助けを待ちながらも誰も訪れない島で、彼は食料や水を確保し、生き延びる術を一から学んでいく。孤独に苛まれる中、貨物から見つけたバレーボールに「ウィルソン」と名付け、友人のように接しながら精神の均衡を保とうとする。やがて4年が経過し、チャックは救助を諦め、自力で島を脱出する計画を実行することを決意する。果たして彼は、過酷な試練を乗り越え再び文明社会へと帰還できるのか――。

『キャスト・アウェイ』の監督・主要キャスト

  • ロバート・ゼメキス(49)監督
  • トム・ハンクス(44)チャック・ノーランド
  • ヘレン・ハント(37)ケリー・フリアーズ
  • ニック・サーシー(41)スタン
  • クリス・ノース(46)ジェリー・ロヴェル

(年齢は映画公開当時のもの)

『キャスト・アウェイ』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 5.0 ★★★★★
・ひとりでじっくり 3.0 ★★★☆☆
・無人島サバイバル 5.0 ★★★★★
・ウィルソン 5.0 ★★★★★

ポジティブ評価

『キャスト・アウェイ』は、極限状態における人間の強靭な精神力とサバイバルのリアリティを描いた作品。登場人物が極めて少ない物語の中、トム・ハンクスは圧巻のひとり演技で、無人島での孤独と葛藤を体現した。彼が役作りのために行った減量や身体改造もリアリティを高めており、作品に説得力をもたらしている。劇中でほとんど台詞がないにもかかわらず、トム・ハンクスの表情や動作だけで感情が雄弁に伝わる点は特筆すべきだ。

劇中に登場するバレーボールの「ウィルソン」は物語の象徴的な存在として多くの視聴者の心に残り、友情や孤独の象徴として効果的に機能している。
ウィルソンの人気は相当なもので、映画公開から25年が過ぎた今でもウィルソンが描かれたバレーボールが”キャストアウェイモデル”として世界中で販売されている(参考価格:4,000~9,000円/Amazon、編集部確認)。ちなみにこれの発売元のウィルソン(紛らわしいが、スポーツブランドのほう)は、映画と公式にタイアップしている。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

『キャスト・アウェイ』のネガティブ評価について無理やりひねり出すならば、前半のサバイバルがやや冗長で、ネットのレビューを見渡すと途中で離脱する人がちらほら。過酷なサバイバルとその孤独を描くのに必要なパートであるから、気が短い視聴者の方はラストの感動を期待して待ってみて欲しい。

こぼれ話

『キャスト・アウェイ』の制作にあたって、トム・ハンクスの徹底した役作りが大きな話題を呼んだ。無人島での生活をリアルに描くため、ハンクスは体重を20キロ以上減量し、撮影の合間には現地のサバイバル技術を学ぶなど、極限の環境に没入する努力を惜しまなかった。また、映画の撮影は約1年間中断され、ハンクスが減量を行う間にロバート・ゼメキス監督は別作品『ホワット・ライズ・ビニース』を撮影するというユニークなスケジュールが組まれていた。

前述のように、劇中の象徴的なアイテムであるバレーボール「ウィルソン」は、映画公開後に関連グッズとして実際に販売された。また、ウィルソンに名前をつけるシーンは脚本に記載されておらず、撮影中にトム・ハンクスが即興で加えた演技によるものだという。

映画の撮影はフィジーのモヌリキ島で行われ、現在では観光名所となっている。訪れるファンが絶えず、現地のガイドツアーでは映画の名シーンを再現するアクティビティも提供されているという。

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