ブラックコメディ

ブラックコメディ映画:笑いの裏に潜む皮肉と社会風刺

ブラックコメディ映画は、風刺やシニカルなユーモアを交えながら、社会問題や人間の愚かさを描くジャンルである。単なる娯楽ではなく、道徳や権力、死といった重いテーマを扱いながらも、独特の笑いで観る者を引き込む点が特徴的だ。

古典的な代表作のひとつが『博士の異常な愛情』(1964年)である。冷戦下の核戦争をブラックユーモアたっぷりに描き、政治や軍事の狂気を風刺したスタンリー・キューブリック監督の傑作となった。コーエン兄弟による名作『ファーゴ』(1996年)は、金に目がくらんだ人々が巻き起こす犯罪と、その間抜けさを淡々と描き、シュールな笑いと衝撃的な展開が融合した作品である。また、『ジョジョ・ラビット』(2019年)は、ナチス・ドイツ下の少年がヒトラーを空想の友達に持つという異色の設定で、戦争の悲劇をユーモアとともに描いた新たなブラックコメディの形を示した。

近年のブラックコメディ映画は、政治やメディア、社会の矛盾を風刺する作品が増えており、笑いの中に鋭いメッセージを込める傾向が強まっている。観る者を楽しませるだけでなく、考えさせる要素を持つこのジャンルは、時代とともにさらなる進化を遂げている。

ブラックコメディ映画の解説記事一覧

スポンサーリンク
ブラックコメディ

バービー(2023)の解説・評価・レビュー

実写版バービー人形の社会派ドラマ?2023年に公開された映画『バービー』は、グレタ・ガーウィグ監督による実写映画で、マテル社の人気ドール「バービー」(いわゆるバービー人形)を題材にしたコメディ・ファンタジー作品。
SF(超・能力)

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022)の解説・評価・レビュー

主婦が地球を救う!SFのアカデミー作品!『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』(2022年)は、ダニエル・クワンとダニエル・シャイナートの「ダニエルズ」コンビが共同監督・脚本を務めたアメリカのSFアクション映画である。主演はミシェル・ヨー。物語は、異なるマルチバースの中で人生を送る主婦が、家族や世界の運命をかけて戦う姿を描く。
ブラックコメディ

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)の解説・評価・レビュー

かつてハリウッドには、物語があった!『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、2019年に公開されたクエンティン・タランティーノ監督によるコメディドラマ映画で、1969年のハリウッドを舞台に、フィクションと実際の事件が交錯する物語を描く。
クライムサスペンス

パラサイト「半地下の家族」(2019)の解説・評価・レビュー

地上と地下、ひとつ屋根の下で交差する運命!『パラサイト 半地下の家族』(英題:Parasite)は2019年に公開された韓国映画で、貧富の格差をテーマに描かれた社会派ブラックコメディスリラー。監督はポン・ジュノ、主要キャストにはソン・ガンホやチェ・ウシクが名を連ねる。
クライムサスペンス

スリー・ビルボード(2017)の解説・評価・レビュー

問いかけたのは、真実ではなく怒りだった。『スリー・ビルボード』は、2017年に公開されたアメリカとイギリスの共同制作による犯罪ドラマ映画。マーティン・マクドナーが監督・脚本を手掛けた。物語は、娘を殺害された母親が、事件解決のために地元警察を糾弾する内容の看板を立てたことから始まる。
サイコホラー・スリラー

ゲットアウト(2017)の解説・評価・レビュー

この罠からは抜け出せない—戦慄のサスペンススリラー ---『ゲット・アウト』は、2017年に公開されたジョーダン・ピール監督のデビュー作で、恐怖と社会風刺を融合させたサイコスリラー(ホラー)映画である。物語は、白人女性ローズの実家を訪れる黒人青年クリスが、そこで次々と不気味な出来事に巻き込まれていく様子を描く。
ブラックコメディ

グランド・ブダペスト・ホテル(2014)の解説・評価・レビュー

このホテルには、秘密と騒動がよく似合う。『グランド・ブダペスト・ホテル』(原題:The Grand Budapest Hotel)は、2014年に公開されたウェス・アンダーソン監督によるコメディ・ドラマ映画。架空の東欧の国ズブロフカを舞台に、名門ホテルのコンシェルジュ、グスタフとロビー係ゼロの冒険を描く。
ビジネスドラマ

ウルフ・オブ・ウォールストリート(2013)の解説・評価・レビュー

欲望にルールはない。金がすべてを支配する。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、2013年に公開されたマーティン・スコセッシ監督による伝記映画。主演はレオナルド・ディカプリオ、株式仲買人ジョーダン・ベルフォートの実話を基に、彼がウォール街で巨万の富を築き、破滅的な転落を遂げるまでの波乱万丈の人生を描く。
SF(超・能力)

キック・アス(2010)の解説・評価・レビュー

能力ゼロ、覚悟マックス!!『キック・アス』は、2010年に公開されたアクションコメディ映画で、マシュー・ヴォーン(39)監督がメガホンを取った作品。原作はマーク・ミラーとジョン・ロミータ・Jrによる同名のアメコミで、スーパーヒーローが現実世界で活躍することを夢見る少年たちをユーモラスかつ暴力的に描いている。
アクション(その他)

イングロリアス・バスターズ(2009)の解説・評価・レビュー

復讐と映画が交差する、クエンティン・タランティーノの挑発!!ーーーー『イングロリアス・バスターズ(Inglourious Basterds)』は、2009年に公開された戦争映画で、クエンティン・タランティーノ監督が手掛けた作品。第二次世界大戦下のヨーロッパを舞台に、ナチス・ドイツに挑む個性豊かなキャラクターたちを描く。
カーアクション

グラインドハウス(2007)の解説・評価・レビュー

名監督が真面目に作ったB級映画!『グラインドハウス』(原題: Grindhouse)は、2007年公開のアメリカ映画。クエンティン・タランティーノとロバート・ロドリゲスが監督を務めた2部構成のオムニバス映画で、1970年代のB級ホラー映画へのオマージュとして製作された。
ブラックコメディ

マリー・アントワネット(2006)の解説・評価・レビュー

自由を夢見た王妃は、世界でいちばん不自由だった。ーーーー『マリー・アントワネット』(原題: Marie Antoinette)は、2006年公開のアメリカ映画。ソフィア・コッポラが監督と脚本を手掛けた歴史ドラマで、フランス王妃マリー・アントワネットの波乱に満ちた生涯を描く。主演はキルスティン・ダンスト
アクション(その他)

Mr.&Mrs. スミス(2005)の解説・評価・レビュー

結婚生活、それは最も危険な任務だった。ーーーー2005年公開の『Mr.&Mrs.スミス』は、ダグ・リーマン監督が手掛けたアクションコメディ映画。主演はブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーで、平凡な夫婦生活を送る一組の夫婦が実は互いに秘密を抱える暗殺者であり、最終的に互いの正体が発覚して衝突するというユニークな設定が描かれる。
ブラックコメディ

シカゴ(2002)の解説・評価・レビュー

罪も踊る、嘘も歌う――舞台はシカゴ、主役は私ーーーー『シカゴ』(原題:Chicago)は、2002年に公開されたロブ・マーシャル監督によるミュージカル映画で、1920年代のシカゴを舞台に、名声とスキャンダルを描いた作品である。原作は1975年初演の同名ブロードウェイミュージカル
クライムサスペンス

オーシャンズ11(2001)の解説・評価・レビュー

大スター競演の犯罪スリラー!『オーシャンズ11』は、2001年に公開されたスティーヴン・ソダーバーグ監督による犯罪スリラー映画、1960年公開の同名映画をリメイクした作品である。主演のジョージ・クルーニーがダニー・オーシャンを演じ、3つのカジノを同時に襲撃するという前代未聞の計画を描く。
スポンサーリンク