マフィア映画:裏社会に生きる者たちの栄光と悲劇
マフィア映画は、犯罪組織に属する者たちの権力闘争、忠誠、裏切り、暴力の世界を描くジャンルである。実在のギャングの逸話やフィクションを基に、組織の内部構造や道徳観の崩壊を浮き彫りにする作品が多い。
代表作のひとつが『ゴッドファーザー』(1972年)である。フランシス・フォード・コッポラ監督がマフィアの家族を中心に、組織の権力継承と暴力の連鎖を壮大に描き、映画史に残る傑作となった。続く『グッドフェローズ』(1990年)は、実在のギャングを題材に、若者がマフィアの世界へ足を踏み入れ、上り詰めていく過程とその崩壊をリアルに描いた作品である。また、『スカーフェイス』(1983年)は、アル・パチーノ演じるキューバ移民の主人公が、麻薬ビジネスでのし上がっていく姿を描き、過激なバイオレンスと強烈なキャラクター描写でカルト的な人気を誇る。
近年のマフィア映画は、従来の栄光と没落の物語だけでなく、組織犯罪の現代的な形や、裏社会と社会全体の関係を掘り下げる傾向が強まっている。実話を基にした作品や、リアリズムを重視した新たな視点のマフィア映画が生まれ続けている。