ロードムービー：旅路が映し出す人生のドラマ
ロードムービーは、登場人物が旅をする過程で自己発見や成長を遂げる映画ジャンルである。移動そのものが物語の核となり、風景の変化とともにキャラクターの内面も変化していく点が特徴的だ。
代表作のひとつが『イージー・ライダー』（1969年）である。アメリカの広大な風景を舞台に、自由を求めるバイカーたちの旅を描いた本作は、ロードムービーの金字塔とされている。『リトル・ミス・サンシャイン』（2006年）は、美少女コンテストに出場する娘を支えるため、クセの強い家族がワゴン車で旅をする物語で、ユーモアと感動が融合した作品となった。また、『ノマドランド』（2020年）は、現代アメリカのノマド（遊牧民）として生きる女性の旅を描き、ロードムービーならではの静かで力強い映像美が高く評価された。
近年のロードムービーは、単なる旅の物語にとどまらず、社会問題や人間の本質に迫るテーマが増えている。デジタル時代においても「旅」という行為が持つ意味は色あせず、多様な視点から描かれ続けている。
