心霊ホラー:見えざる恐怖が忍び寄る
心霊ホラーは、幽霊や悪霊、呪いといった超自然的な存在がもたらす恐怖を描くジャンルである。物理的な脅威ではなく、得体の知れない“何か”が視聴者の想像力を刺激し、不安や戦慄を生み出すことが特徴だ。
このジャンルを代表する作品のひとつが『エクソシスト』(1973年)。悪魔に憑依された少女と、それに立ち向かう神父の戦いを描き、リアルな演出と宗教的テーマが世界的な衝撃を与えた。80年代の名作『ポルターガイスト』(1982年)は、平凡な家庭に突然襲いかかる超常現象を描き、家族という日常的な空間に潜む恐怖を際立たせた。また、『死霊館』(2013年)は、実在の心霊研究家ウォーレン夫妻の記録を基にしたクラシックなオカルトホラーで、現代ホラー映画の新たな潮流を生み出した。
近年の心霊ホラーは、心理的な恐怖を深く掘り下げる傾向が強い。『ヘレディタリー/継承』(2018年)は、家族の間に受け継がれる呪いと精神崩壊を描き、心霊的要素とヒューマンドラマを融合させた。見えない恐怖がもたらす緊張感と、人間の心の奥底に潜む不安を巧みに表現する心霊ホラーは、これからも新たな恐怖の形を模索し続けるだろう。