スプラッター：血と肉片が飛び散る限界の映像体験
スプラッターは、極端な暴力描写や流血シーンを前面に押し出したホラー映画の一派である。人体破壊や残酷描写を通じて、視聴者の生理的な恐怖や不快感を喚起する点に特徴がある。
ジャンルを象徴する作品としては、サム・ライミ監督の『死霊のはらわた』が外せない。血まみれの小屋で繰り広げられる悪霊との攻防は、低予算ながらもスプラッター映画の代名詞となった。続いて、『ソウ』シリーズは、複雑な殺人ゲームと拷問器具の数々によって、サディスティックな恐怖とサスペンスを融合させた。さらに『ホステル』では、拷問ツーリズムという異常な題材を通じて、観光と暴力の境界を破壊しながら、極限状況での人間性を問う作風が展開された。
スプラッター映画は、その過激さゆえに賛否を呼びやすいが、視覚的インパクトとジャンル的独自性において常に強い存在感を放ってきた。近年では、過激描写にユーモアや風刺を加える傾向も強まり、スプラッターとブラックコメディ、あるいは社会派ホラーとの融合といった新たな潮流も生まれている。
