SF映画(近未来):目前に迫る“未来”のリアル
SF映画(近未来)は、現代と地続きの未来を描き、発展した科学技術や社会の変容がもたらす影響をテーマにしたジャンルである。人工知能、サイバネティクス、監視社会、環境問題など、現在の延長線上にある世界をリアルに映し出し、観る者に未来の可能性を提示する。
このジャンルを代表する作品のひとつが『ブレードランナー 2049』(2017年)。人工知能と人間の境界が曖昧になった未来社会を哲学的なテーマで描き、前作『ブレードランナー』(1982年)の精神を受け継ぎながら深化させた。次に、『her/世界でひとつの彼女』(2013年)は、感情を持つAIとの恋愛を通じて、人間の孤独やテクノロジーとの関係を繊細に表現した。また、『エリジウム』(2013年)は、富裕層と貧困層の分断が極端に進んだ未来社会を舞台に、格差問題をテーマとしたアクションSFとして話題を呼んだ。
近年のSF映画(近未来)は、ディストピア的な視点だけでなく、テクノロジーとの共存や倫理観を問い直す作品が増えている。『アップグレード』(2018年)は、人間の肉体とAIが融合することで生まれる新たな能力とその危険性を描き、進化の先にある未来像を示した。目の前に迫る“未来”をリアルに体感させるこのジャンルは、今後も社会の変化とともに進化し続けるだろう。