心理サスペンス映画:深まる謎と揺さぶられる心理
心理サスペンス映画は、人間の深層心理や精神の揺らぎをテーマに、観る者の予測を覆す展開を描くジャンルである。現実と幻想の境界が曖昧になったり、登場人物の心理が巧みに操作されることで、物語の緊張感が高まる作品が多い。
代表作のひとつが『ファイト・クラブ』(1999年)である。退屈な日常を送る男が謎の男と出会い、過激な地下組織にのめり込んでいく様子を描き、心理的な仕掛けが張り巡らされた作品となった。『ブラック・スワン』(2010年)は、バレエダンサーの主人公が完璧を求めるあまり次第に精神を追い詰められていく姿を描き、幻想と現実が交錯する演出が観る者の感覚を狂わせた。また、『シャッター アイランド』(2010年)は、孤島の精神病院での捜査を巡る物語で、主人公の視点が揺さぶられることで観客の認識も次第に変化していく巧妙な構成が話題となった。