コンスタンティン(2005)の解説・評価・レビュー

コンスタンティン DCコミック
DCコミックアクション(その他)心霊ホラー

2005年公開の『コンスタンティン』(原題:Constantine)は、DCコミックスの「ヘルブレイザー」を原作とするダークファンタジー映画である。監督はフランシス・ローレンスで、キアヌ・リーブスが主人公ジョン・コンスタンティンを演じる。天国と地獄の狭間で悪魔と戦うエクソシストであるコンスタンティンが、世界の均衡を守るため、壮絶な戦いに挑む姿を描く。
物語は、超常的な能力を持つコンスタンティンが、自殺した女性刑事アンジェラの双子の姉妹の死の真相を追う中で、地獄の勢力と対峙する様子を中心に進む。アンジェラ役にはレイチェル・ワイズが出演し、さらにティルダ・スウィントンやピーター・ストーメアといった実力派キャストが脇を固める。

本作は、スタイリッシュな映像美と独特の世界観が特徴であり、天使や悪魔、神話的な要素を現代社会に落とし込んだ設定が視聴者の関心を集めた。興行収入は世界で約2億3,000万ドル(当時のレートで270億円)を記録し、キアヌ・リーブスの新たな代表作の一つとして知られる作品となった。また、原作コミックからの改変点が議論を呼びつつも、ダークで魅力的な雰囲気がカルト的な人気を獲得している。

『コンスタンティン』のあらすじ紹介(ネタバレなし)

ジョン・コンスタンティン(キアヌ・リーブス)は、天国と地獄の狭間で人間界の均衡を守るエクソシスト。超常的な力を持つ彼は、幼少期から悪魔や天使の存在を目撃しており、その能力の重荷に耐えきれず一度は自殺を図った過去を持つ。結果として地獄に送られたものの、蘇生後はその罪を贖うため、悪魔を人間界から追放する仕事を続けている。

ある日、女性刑事アンジェラ・ドッドソン(レイチェル・ワイズ)が、双子の姉イザベルが自殺した件について調査を依頼してくる。敬虔なカトリックであったイザベルが自ら命を絶つはずがないというアンジェラの訴えを受け、コンスタンティンは調査を開始。やがて、それが人間界を巻き込む天国と地獄の壮大な陰謀に結びついていることを知る。

コンスタンティンは、悪魔や天使が絡む事件の背後にある真実を暴こうとする中で、アンジェラと協力し、悪魔と対峙することに。彼の行く手には、サタン(ピーター・ストーメア)や大天使ガブリエル(ティルダ・スウィントン)といった強大な存在が立ちはだかり、事態は人間界の存亡を揺るがす壮絶な戦いへと発展していく。
果たして彼は、贖罪と救済を手に入れることができるのか。

『コンスタンティン』の監督・主要キャスト

  • フランシス・ローレンス(34)監督
  • キアヌ・リーブス(40)ジョン・コンスタンティン
  • レイチェル・ワイズ(34)アンジェラ・ドッドソン/イザベル・ドッドソン
  • シャイア・ラブーフ(18)チャズ・クレイマー
  • ティルダ・スウィントン(44)ガブリエル
  • ジャイモン・フンスー(40)ミッドナイト
  • ピーター・ストーメア(51)ルシファー
  • プルイット・テイラー・ヴィンス(44)ハーラン神父

(年齢は映画公開当時のもの)

『コンスタンティン』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 3.0 ★★★☆☆
・厨二病を呼び起こす 5.0 ★★★★★
・秀逸な地獄表現 5.0 ★★★★★

ポジティブ評価

『コンスタンティン』が描くのは、ダークな世界観と、天国と地獄の壮絶な戦い。主人公ジョン・コンスタンティンを演じたキアヌ・リーブスは、シニカルで孤独を抱えたキャラクターを体現し、原作と異なる解釈ながらも、多くの観客に支持される存在感を示した。
現実世界と地獄を行き来する場面は、圧倒的なビジュアルエフェクトと緊迫感。特に、地獄の荒廃した景色や悪魔のおぞましい造形が印象的で、本作のダークな雰囲気を際立たせる。

本作のストーリーは、宗教的テーマや善悪の曖昧さを取り入れており、単なるアクション映画にとどまらない奥行きを生み出している。信仰や贖罪といった普遍的なテーマを背景にした物語が、観客にさまざまな解釈を促す知的な魅力を持っている点も特筆すべきだろう。

『コンスタンティン』は、ビジュアル、キャスト、ストーリーの三拍子が揃った作品として、ダークファンタジー映画の傑作として高く評価されている。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

賛否が分かれる評価としては、原作コミック「ヘルブレイザー」との違いが挙げられる。ジョン・コンスタンティンのキャラクターは、原作ではイギリス人で金髪という設定だが、映画ではアメリカ人の黒髪という描写に変更されており、これに違和感を覚えた原作ファンから批判が寄せられた。また、原作特有の皮肉なユーモアやダークな哲学的要素が十分に掘り下げられていないという声もある。

宗教的なモチーフについては、予備知識がない(とくに日本の)視聴者にとっては理解しづらい部分も。一部のシーンでは説明不足のまま物語が進むため、背景設定を把握するのがやや難解な部分もある。

こぼれ話

ティルダ・スウィントンが演じたガブリエルは、本作において特に注目されたキャラクターの一人。中性的で冷徹な天使という設定は、彼女の独特な存在感と演技によってさらに強調され、映画の象徴的な役柄となった。実際に、ガブリエルが登場するシーンは撮影時にも特別な注意が払われ、衣装やセットの細部に至るまで徹底的に作り込まれたという。
ピーター・ストーメアが演じるサタンが身につけた白いスーツは、一般的な悪魔像とは一線を画し、サタンというキャラクターに皮肉とユーモアを持たせる演出がなされている。このスタイルはストーメア自身が提案したもので、彼の演技がサタン像に新たな解釈を吹き込んだ。

地獄の風景は、核爆発後の荒廃した都市をイメージしてデザインされ、視覚効果チームは砂嵐のような質感を出すために最新の技術を駆使したという。これにより、従来の「燃え盛る地獄」のイメージとは異なる、逆にリアリティのある恐ろしさを生み出している。

監督のフランシス・ローレンスにとって本作は長編映画デビュー作であった。ミュージックビデオ出身の彼が、本作を通じて独特のビジュアルセンスを発揮し、映画業界でのキャリアを大きく飛躍させるきっかけとなった。

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