DUNE デューン 砂の惑星(2021)の解説・評価・レビュー

DUNE デューン 砂の惑星 SF(宇宙)
SF(宇宙)冒険ファンタジー

ティモシー・シャラメ主演のSF超大作 ---

『DUNE/デューン 砂の惑星』(2021年)は、フランク・ハーバートによる同名小説を原作とした壮大なSF映画。1984年公開の『デューン 砂の惑星』のリメイク作品でもある。
監督はドゥニ・ヴィルヌーヴ、主演はティモシー・シャラメが務めた。物語は、砂漠の惑星アラキスを舞台に、家族の運命と銀河系全体を揺るがす陰謀に巻き込まれた若者ポール・アトレイデスの成長と戦いを描く。

公開時には、現代美術による映像美と壮大な世界観が高く評価され、アカデミー賞では6部門を受賞した。興行収入は世界中で約4億ドル(約520億円)を記録し、即時に続編製作が決定するほどの成功を収めた。IMAXを活用した撮影技術やハンス・ジマーによるスコアも注目を集め、SF映画史に残る傑作としての地位を確立している。

『DUNE/デューン 砂の惑星』あらすじ(ネタバレなし)


遠い未来、人類は砂漠の惑星アラキスを巡り、貴重な資源「スパイス」の支配権を争っていた。
アラキスの統治を命じられたアトレイデス家の若き後継者ポール・アトレイデス(ティモシー・シャラメ)は、父レト公爵と共にこの過酷な地へ向かう。しかし、強大な宿敵ハルコンネン家による裏切りと襲撃によって、アトレイデス家は壊滅的な打撃を受ける。すべてを失ったポールは、母ジェシカとともに砂漠の民フレメンのもとに身を寄せ、自身の運命と予言に向き合いながら、アラキスの未来を変えるための戦いに立ち上がる。

果たして彼は、銀河を揺るがす英雄となるのか、それとも破滅を迎えるのか。

『DUNE/デューン 砂の惑星』の監督・主要キャスト

  • ドゥニ・ヴィルヌーヴ(54)監督
  • ティモシー・シャラメ(25)ポール・アトレイデス
  • レベッカ・ファーガソン(38)レディ・ジェシカ
  • オスカー・アイザック(42)レト・アトレイデス公爵
  • ジョシュ・ブローリン(53)ガーニイ・ハレック
  • ステラン・スカルスガルド(70)ウラディミール・ハルコンネン男爵
  • ゼンデイヤ(25)チャニ
  • ジェイソン・モモア(42)ダンカン・アイダホ
  • ハビエル・バルデム(52)スティルガー

(役者の年齢は公開時点のもの)

『DUNE/デューン 砂の惑星』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 3.0 ★★★☆☆
・大切な人と観たい 2.0 ★★☆☆☆
・ひとりでじっくり 3.0 ★★★☆☆
・映像美!! 5.0 ★★★★★
・世界観にはまる! 4.0 ★★★★☆

ポジティブ評価

『DUNE/デューン 砂の惑星』は、SF映画史に新たな金字塔を打ち立てた作品といえる。ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は、砂漠を舞台とする壮麗な景観や、IMAXカメラによる臨場感あふれる撮影技術が、アラキスという過酷な惑星のリアリティを鮮明に映し出している。これにより同作品は第95回アカデミー撮影賞、美術賞、視覚効果賞を受賞。

ティモシー・シャラメが演じるポールの複雑な内面は、繊細な演技で見事に表現され、観客を物語に引き込む。ハンス・ジマーのスコアは、未知の世界に没入させる異世界感を高め、劇中の緊張感や叙事詩的な広がりを音楽で補完している。さらに、多国籍かつ多様性を意識したキャスト陣が未来世界を描く物語に奥行きを与え、観客に新しい視点を提供する物として評価されている。

ネガティブ評価

原作小説の壮大な物語を描くため、シリーズ第1作目となる本作では、設定説明や世界観の構築に多くの時間が割かれ、アクションや物語の展開がやや抑えられている印象を受ける。また、続編を前提とした構成のため、結末がやや唐突であるとの意見もある。これにより、人によっては消化不良感が残るかもしれない。

こぼれ話

『DUNE/デューン 砂の惑星』の製作には、ヴィルヌーヴ監督の強いこだわりが随所に見られる。特に、アラキスのリアリティを追求するため、主要な砂漠シーンは実際にヨルダンやアブダビの砂漠で撮影された。
また、ハンス・ジマーは砂漠の民フレメンの文化や宇宙の壮大さを音楽で表現するために、独自の楽器や音響効果を取り入れたスコアを作曲している。ジマーが『デューン』の音楽制作に集中するため、かつての盟友クリストファー・ノーラン『TENET テネット』への参加を断ったというエピソードも興味深い。

また、ゼンデイヤ演じるチャニの登場時間は限られていたが、その存在感とポールとのロマンスの予兆が強く印象付けられており、続編での展開に期待が高まる。

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