人生を静かに問いかける、トム・ハンクス主演の傑作ヒューマンドラマ ---
『フォレスト・ガンプ/一期一会』(原題:Forrest Gump)は、1994年に公開されたアメリカのドラマ映画で、ロバート・ゼメキスが監督を務めた。ウィンストン・グルームの小説を原作とし、トム・ハンクスが主演を務める。物語は、知的障害を持ちながらも純粋で誠実な心を持つフォレスト・ガンプが、偶然の巡り合わせと持ち前の行動力で歴史的な出来事に関わりながら、愛と人生を歩んでいく様子を描く。
公開されるや否や感動的なストーリーが話題となり、1994年のアカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞(トム・ハンクス)を含む6部門を受賞。製作費5,500万ドルに対し、全世界で6億7,800万ドル以上の興行収入を記録し、大ヒットを収めた。フォレストの名言「人生はチョコレートの箱のようなもの」は、今でも映画史に残るフレーズとして親しまれている。
『フォレスト・ガンプ/一期一会』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
アラバマ州の小さな町に生まれたフォレスト・ガンプは、知的障害を持ちながらも純粋でまっすぐな心を持つ青年だった。幼少期は足の矯正器具をつけていたが、ある日、いじめっ子から逃げるために走り出し、驚異的な脚力を発揮。その才能を見出され、大学ではアメリカンフットボールの選手として活躍する。
卒業後は軍に入隊し、ベトナム戦争に従軍。戦地で親友ババや上官ダン中尉と出会い、戦後はエビ漁や卓球で思わぬ成功を収める。やがて投資した会社が大成功を収め、彼は知らぬ間に大富豪となるが、名声や金銭には無頓着だった。
一方、幼馴染であり生涯の愛であるジェニーは、フォレストとは対照的に波乱に満ちた人生を歩んでいた。何度もすれ違いながらも、フォレストは彼女を一途に想い続ける。そしてある日、ジェニーからの手紙を受け取った彼は、新たな人生の一歩を踏み出すことになるのだった。
『フォレスト・ガンプ/一期一会』の監督・主要キャスト
- ロバート・ゼメキス(42)監督
- トム・ハンクス(38)フォレスト・ガンプ
- ロビン・ライト(28)ジェニー・カラン
- ゲイリー・シニーズ(39)ダン・テイラー中尉
- サリー・フィールド(47)ガンプ夫人
- ミケルティ・ウィリアムソン(37)ベンジャミン・“ババ”・ブルー
- マイケル・T・ウィリアムソン(37)ベンジャミン・“ババ”・ブルー
- ハンナ・R・ホール(10)幼少期のジェニー
- ハーレイ・ジョエル・オスメント(6)フォレスト・ジュニア
(年齢は映画公開当時のもの)
『フォレスト・ガンプ/一期一会』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 4.0 ★★★★☆ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 5.0 ★★★★★ |
・アメリカ現代史を追体験 | 5.0 ★★★★★ |
・サントラにも注目 | 4.0 ★★★★☆ |
ポジティブ評価
『フォレスト・ガンプ/一期一会』は感動的なヒューマンドラマで、今なお語り継がれる名作のひとつとされる。
まず注目すべきは、フォレスト・ガンプというキャラクターの魅力。決して賢くはないが、純粋な心とまっすぐな行動力によって数々の歴史的な出来事に関わっていく。アカデミー主演男優賞を獲得したトム・ハンクスによる自然体の演技が、フォレストの純粋さを際立たせている。
本作はアメリカ現代史を背景にしながら、フォレストの物語を巧みに絡めている点も秀逸だ。彼が歴史上の著名人と交流したり、テレビのニュース映像に映り込んだりするシーンは、VFX技術によって驚くほど自然に再現されている。ケネディ大統領やジョン・レノンとの架空の対話など、当時としては画期的な映像技術が駆使されており、今見てもその完成度の高さに驚かされる。
音楽の選曲も大きな魅力。エルヴィス・プレスリー、ボブ・ディラン、ザ・ドアーズといったアーティストの楽曲が、フォレストの人生の節目で流れ、時代の雰囲気をより鮮やかに演出している。特に、フォレストが走るシーンで流れる「Running on Empty」は、映像と見事にマッチし、忘れがたい名場面となっている。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
『フォレスト・ガンプ/一期一会』は、ひとりの人間の半生を隣で見つめるような映画。映画的な紆余曲折のエピソードはあれど、それがメインではなく、フォレストのまっすぐな目線を通じて視聴者に「人生において本当に大切なものは何か?」を静かに問いかける。観る人の気分によってはやや退屈に映るかもしれない。
とはいえ多くの人が絶賛する映画、一見の価値はある。
フォレストがアメリカの歴史的瞬間にことごとく関わり、著名人と次々に出会い、成功を収める展開はリアリティよりも寓話性を重視したものだが、「さすがにご都合主義すぎるのでは?」というツッコミもまあまあある。描かれるのは「人生は偶然の連続」というテーマ。
こぼれ話
フォレスト・ガンプ役には当初ジョン・トラボルタにオファーがされていたが、彼はこの役を断り、『パルプ・フィクション』を選んだ。結果としてトム・ハンクスが起用され、彼のキャリアを代表する役となったが、トラボルタも後に「この選択は間違いだった」と認めている。
フォレストがアメリカ横断をしながらひたすら走るシーンは、本作の象徴的な場面のひとつだが、実はこの長距離走シーンの撮影で走っていたのはトム・ハンクスではなく、彼の弟であるジム・ハンクス。ジムは兄に似た体型と走り方をしていたため、代役として起用されたという。これにはトム・ハンクスも「さすがにずっと走るのは無理だった」と笑っていたとか。
『フォレスト・ガンプ/一期一会』は、公開から30年近く経った今でも愛され続けている作品だ。もし鑑賞後に「とりあえず走ろう」という気持ちになったなら、フォレストの精神がしっかり伝わっている証拠かもしれない。
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