G.I.ジョー(2009)の解説・評価・レビュー

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『G.I.ジョー』(原題: G.I. Joe: The Rise of Cobra)は、2009年公開のアメリカ映画。スティーヴン・ソマーズ(46)が監督を務めた、人気アクションフィギュア「G.I.ジョー」シリーズを原作とするSFアクション作品である。物語は、国際的なエリート特殊部隊「G.I.ジョー」が、世界征服を企む秘密結社「コブラ」と対決する姿を描く。主人公のデュークを中心に、個性的なキャラクターたちが高性能な武器やガジェットを駆使して繰り広げる戦いが見どころ。

製作費は約1億7,500万ドル(当時のレートで166億円)に上り、VFXを多用した迫力あるアクションシーンが特徴。興行収入は全世界で3億ドル(285億円)を超え、商業的成功を収めた。批評家からは賛否が分かれたものの、スピーディーな展開や派手な演出が観客を魅了し、特にアクション映画ファンから支持を得た。続編『G.I.ジョー バック2リベンジ』(2013年)も製作され、シリーズ化が進められている。

『G.I.ジョー』のあらすじ紹介(ネタバレなし)

最先端の軍事技術を開発する大企業マーズ・インダストリーズが生み出した新兵器「ナノマイト」を巡り、世界を揺るがす巨大な陰謀が進行する。これに立ち向かうのは、特殊部隊「G.I.ジョー」の精鋭チーム。リーダーのデュークを中心に、ロードブロックやスカーレットなど、多彩なメンバーがテクノロジーと武術を駆使して、秘密結社「コブラ」の野望を阻止するために戦いを繰り広げる。

一方で、コブラの側にも魅力的かつ恐るべき敵が揃っており、美しき暗殺者バロネスや冷徹な戦士ストームシャドーが立ちはだかる。特にデュークとバロネスの間には過去の因縁が存在し、その関係が物語を複雑にする要素となる。戦いの舞台は砂漠、海底、都市と広がり、ハイテク兵器やガジェットを駆使したダイナミックなアクションシーンが次々と展開。各キャラクターが持つ特技や個性が活かされ、チームとしての連携が試される中、「G.I.ジョー」の面々は地球規模の危機に挑む。果たして、彼らはコブラの野望を打ち砕き、世界を守ることができるのか――。

『G.I.ジョー』の監督・主要キャスト

・スティーヴン・ソマーズ(46)監督
・チャニング・テイタム(29)デューク
・マーロン・ウェイアンズ(37)リップコード
・シエナ・ミラー(27)バロネス
・ジョセフ・ゴードン=レヴィット(28)コブラコマンダー
・レイチェル・ニコルズ(29)スカーレット
・レイ・パーク(35)スネークアイズ
・デニス・クエイド(55)ホーク将軍
(年齢は映画公開当時のもの)

『G.I.ジョー』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 2.0 ★★☆☆☆
・とことんアクション! 5.0 ★★★★★
・ハイテクアイテム 4.0 ★★★★☆

ポジティブ評価

『G.I.ジョー』は、アクション映画として視覚的な魅力にあふれる。特にVFXを駆使したハイテクガジェットや装備品の描写が印象的で、SF的な未来世界を生き生きと描き出している。また、スティーヴン・ソマーズ監督が得意とするスピーディーで派手な演出により、息をつかせぬテンポ感が保たれ、娯楽性が高い作品となっている。ハムナプトラ・シリーズを手掛けるスティーヴン・ソマーズ監督の手腕。

主人公デュークのリーダーシップやリップコードとのユーモアあふれる掛け合いが物語に軽快さを与え、多様な視聴層を楽しませる点も高評価。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

『G.I.ジョー』はそのエンターテインメント性が評価される一方で、重厚な脚本を求める視聴者からは評価がイマイチ。とにかく、爽快感を求める娯楽映画なのである。

G.I.ジョー(おもちゃの方)で遊んだ世代(1960年代後半生まれ)の方々は、思い入れがあるため映画の内容、見た目、演技についても様々な意見が聞こえてくる。

こぼれ話

『G.I.ジョー』の制作背景には、興味深い逸話が数多く存在する。本作でスネークアイズを演じたレイ・パークは、撮影に先立ち、役に合わせた特殊な剣術と体術のトレーニングを受けていた。キャラクターの象徴である黒いスーツは、彼の体にぴったりとフィットするよう特注され、着るたびに40分以上を要したという。また、スーツに隠された顔の表情が観客に伝わるよう、目や動きに細かな演技を込めた点が評価された。

撮影中、パリでのエッフェル塔倒壊シーンは、特に入念に計画されたもので、観光地の混雑を避けるため夜間に撮影が行われた。その結果、リアルで壮大な映像が完成したが、このシーンの大胆な描写は一部のフランスの視聴者の間で議論を呼んだ。さらに、バロネス役のシエナ・ミラーは、役柄に合わせて徹底的なトレーニングを行い、銃器やアクションシーンの動きを短期間で習得したことが話題となった。

本作に登場するナノマイト技術は、監督のスティーヴン・ソマーズが「最先端のSF兵器」をテーマに脚本に取り入れたアイデアであり、未来的な兵器デザインの監修には実際の軍事アドバイザーも参加している。このように細部にこだわった製作陣の努力が、映画のスケール感を支えている。

ちなみに映画の元ネタはG.I.ジョーという玩具だが、その玩具の元ネタは1945年公開のアメリカ映画『G・I・ジョウ』という説もある。また、「G.I.Joe」はアメリカ兵を一般名詞的に指す名前なのだとか。

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