インターステラー(2014)の解説・評価・レビュー

interstellar SF(宇宙)
SF(宇宙)SF(近未来)ヒューマンドラマ

『インターステラー』(原題:Interstellar)は、2014年に公開されたクリストファー・ノーラン監督によるSF映画。主演はマシュー・マコノヒー、共演にアン・ハサウェイ、ジェシカ・チャステイン。近未来の地球を舞台に、人類の存続を懸けた宇宙探索の旅を描く。地球環境が悪化し、作物が育たなくなった世界で、元パイロットのクーパーは、NASAの極秘ミッションに参加し、人類が移住可能な惑星を探すため宇宙に飛び立つ。劇中ではブラックホールやワームホール、時間の相対性理論などが描かれ、リアルな科学考証と壮大なドラマが融合している。

本作はアカデミー賞で5部門にノミネートされ、視覚効果賞を受賞。物理学者キップ・ソーンが科学監修を担当し、その成果は映画の映像表現にも大きな影響を与えた。全世界の興行収入は約7億ドル(当時のレートで730億円)を記録。親子の絆や人類の未来への希望をテーマにしたストーリーは観客の心をつかみ、21世紀を代表するSF映画として広く評価されている。

『インターステラー』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


地球は環境破壊により荒廃し、農業が崩壊の危機に瀕していた。元パイロットのクーパー(マシュー・マコノヒー)は、家族と共に農業で生計を立てながら、子どもたちにより良い未来を残すことを願っていた。ある日、娘のマーフが部屋で奇妙な現象を目撃し、その謎を追う中で、クーパーは密かに活動を続けていたNASAの施設にたどり着く。そこで彼は、人類が生き延びるために新たな居住地を宇宙に探すミッションへの参加を要請される。

クーパーは愛する家族を残し、科学者のブランド博士(アン・ハサウェイ)らと共に未知の宇宙へと旅立つ。彼らはワームホールを通じて遠く離れた銀河系にたどり着き、移住可能な惑星を探索していく。しかし、過酷な環境や予期せぬトラブルに見舞われる中、時間の流れの違いが家族や仲間たちに深刻な影響を及ぼしていく。果たしてクーパーは、人類の希望を見つけ出し、地球に帰還することができるのか――壮大な冒険の中で、父と娘の絆が試されることになる。

『インターステラー』の監督・主要キャスト

  • クリストファー・ノーラン(44)監督
  • マシュー・マコノヒー(45)ジョセフ・クーパー
  • アン・ハサウェイ(32)アメリア・ブランド博士
  • ジェシカ・チャステイン(37)マーフ・クーパー(成人期)
  • マッケンジー・フォイ(14)マーフ・クーパー(幼少期)
  • マイケル・ケイン(81)ジョン・ブランド教授
  • ケイシー・アフレック(39)トム・クーパー(成人期)
  • マット・デイモン(44)マン博士

(年齢は映画公開時点のもの)

『インターステラー』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 2.0 ★★☆☆☆
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 4.0 ★★★★☆
・家族愛 5.0 ★★★★★
・サイエンスフィクション 5.0 ★★★★★

SF映画の新たな金字塔

『インターステラー』は視聴者に宇宙の神秘と恐怖を同時に体感させてくれる。科学的根拠に基づいたビジュアル表現による宇宙描写が秀逸で、特に天体物理学者キップ・ソーンの監修によるブラックホールの描写が科学界でも注目を集め、これによりアカデミー視覚効果賞を受賞。SF映画の金字塔と称される『2001年宇宙の旅』(1968/スタンリー・キューブリック)と比較されることもあり、映画界にインパクトを残している。
オルガンを基調とした音楽も、宇宙の神秘と孤独を倍増させている。

家族愛という普遍的なテーマを中心に据えることで、作品に感情的な深みが加わった点も特筆すべき点。クリストファー・ノーラン監督は、主人公クーパーと娘マーフの絆を軸に、宇宙の広大さと人間の情感を両立させた。この対比が『インターステラー』をより広い層にアピールする作品へと昇華させた。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

科学に基づいた宇宙描写がリアルな反面、その難解さゆえに一部の観客にとって理解が難しく、ストーリーが複雑すぎるという声も。同様にストーリーについてもやや難解で、人によっては最高の映画と評される一方で、解釈が分かれるクライマックスは曖昧さを残している(監督の狙いであろうが)。

こぼれ話

『インターステラー』の制作にあたって、監督のクリストファー・ノーランは、宇宙のリアルな描写に徹底的にこだわり、CGを可能な限り排除して実物のセットや特殊効果を活用した。ブラックホールのビジュアルは科学データをもとにレンダリングされ、その技術は後に天文学の研究にも寄与したとされる。

脚本は、当初ジョナサン・ノーラン(クリストファー監督の実弟)がスティーヴン・スピルバーグ監督のために執筆していたものを、クリストファーが引き継いで完成させたという経緯がある。

ノーラン監督がハンス・ジマーに音楽を依頼する際、最初は映画の具体的な内容を明かさず、「父と娘の絆を描く物語だ」とだけ伝えたというエピソードも有名だ。

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