『LOGAN/ローガン』(原題:Logan)は、2017年に公開されたアメコミ映画(マーベル)で、『X-MEN』シリーズのスピンオフ作品。監督はジェームズ・マンゴールド。主演のヒュー・ジャックマンがウルヴァリン役を17年間演じ続けた最後の物語として話題を呼んだ。近未来の荒廃した世界を舞台に、老いたローガンが治癒能力を失いながらも、ミュータントの少女ローラを守り抜こうとする姿を描く。チャールズ・エグゼビア役で出演したパトリック・スチュワートが老翁の複雑な心情を見事に演じ、物語に深みを与えた。
本作は、アカデミー賞脚色賞にノミネートされるなど、アメコミ映画としては異例の高評価を受け、深いドラマ性とバイオレンスを融合させた作品として評価された。リアルな演出とキャラクター描写により、ウルヴァリンの壮絶なラストを感動的に描き出した作品である。
『LOGAN/ローガン』のあらすじ
2029年、ミュータントの大半が絶滅し、孤独な生活を送るローガン(ウルヴァリン)は、リムジン運転手として日銭を稼ぎながら、メキシコの国境付近で隠れ住んでいた。かつての仲間であり、老いと病に苦しむチャールズ・エグゼビアと共にひっそりと暮らしていた彼の前に、謎の少女ローラが現れる。
ローラはローガンと同じ治癒能力を持ち、逃亡中の実験体ミュータントだった。彼女を追う武装集団「リーヴァーズ」に追い詰められながらも、ローガンはローラを北の安全地帯「エデン」へ送り届けるために立ち上がる。過酷な戦いの中で、ローガンは自身の過去と向き合い、最後の力を振り絞って彼女を守り抜くことを誓う。壮絶な旅路の果てに、ローガンが見出した希望と犠牲が描かれる。
『LOGAN/ローガン』の監督・主要キャスト
- ジェームズ・マンゴールド(53)監督
- ヒュー・ジャックマン(48)ローガン / ウルヴァリン
- パトリック・スチュワート(76)チャールズ・エグゼビア
- ダフネ・キーン(12)ローラ / X-23
- ボイド・ホルブルック(35)ドナルド・ピアース
- スティーヴン・マーチャント(42)キャリバン
- エリク・ラ・サル(54)ウィル・マンソン
- エリザベス・ロドリゲス(36)ガブリエラ
(役者の年齢は公開時点のもの)
『LOGAN/ローガン』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 3.0 ★★★☆☆ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 4.0 ★★★★☆ |
・ヒーローものとは思えない人間ドラマ | 5.0 ★★★★★ |
・ヒュー・ジャックマンがかっこいい | 5.0 ★★★★★ |
アメコミの枠を超えた重厚なドラマ
『LOGAN/ローガン』は、アメコミ映画の枠を超えた重厚なドラマとして絶賛された。ジェームズ・マンゴールド監督は、リアルでハードなトーンを採用し、老いと苦悩を抱えたヒーローの姿を新たに描き出した。
ヒュー・ジャックマンは、17年間演じ続けたウルヴァリン役に対し、集大成とも言える演技を披露し、観客の心を深く揺さぶった。特にローラ役のダフネ・キーンの鋭い存在感と、ヒュー・ジャックマンとの父娘のような関係性が心を打つ。バイオレンスを伴う戦闘シーンのリアルさも印象的で、R指定映画としての大胆さと、深い人間ドラマを両立させた点が高く評価された。
こぼれ話
本作は、『X-MEN』シリーズとしては初めてアカデミー脚色賞にノミネートされた作品であり、スーパーヒーロー映画の新たな地平を切り開いたとされる。ヒュー・ジャックマンは本作をもってウルヴァリン役を引退すると発表し、その引退作としての特別な位置づけが視聴者の感動を倍増させた。
劇中に登場するローラのキャラクターは、コミック「X-23」からの登場であり、ファンにとっては待望のスクリーンデビューとなった。
撮影にはアメリカ南部の広大な風景を活用し、クラシックなロードムービーの趣を取り入れることで、アメコミ映画らしからぬドラマチックな雰囲気を醸し出している。
尚、X-MENシリーズの公開順は以下のとおりである。
- X-MEN (2000)
- X-MEN2 (2003)
- X-MEN: ファイナル ディシジョン (2006)
- X-MEN: ファースト・ジェネレーション (2011)
- ウルヴァリン: SAMURAI (2013)
- X-MEN: フューチャー&パスト (2014)
- デッドプール (2016)
- X-MEN: アポカリプス (2016)
- ローガン (2017) ★本稿紹介
- デッドプール2 (2018)
- X-MEN: ダーク・フェニックス (2019)
- ニュー・ミュータンツ (2020)
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