マッドマックス 怒りのデス・ロード(2015)の解説・評価・レビュー

マッドマックス 怒りのデス・ロード SF(近未来)
SF(近未来)カーアクションロードムービー

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(原題:Mad Max: Fury Road)は、2015年に公開されたジョージ・ミラー監督によるアクション映画。1979年に始まる『マッドマックス』シリーズの4作目で、前作から30年ぶりの新作として制作された。主演はトム・ハーディ、共演にシャーリーズ・セロン。核戦争後の荒廃した世界を舞台に、自由を求めて砂漠を駆け抜ける人々の壮絶な戦いを描く。劇中のストーリーは、独裁者イモータン・ジョーの支配下から逃れるため、フュリオサ大隊長が反逆を決意し、囚われの女性たちとともに砂漠を突き進む様子を追う。上映時間120分に及ぶノンストップのアクションが特徴で、スタントワークと撮影技術の融合が絶賛された。

本作はアカデミー賞で10部門にノミネートされ、編集、衣装デザイン、音響編集など6部門で受賞。全世界の興行収入は約3.75億ドル(当時のレートで約450億円)に達し、商業的にも批評的にも成功を収めた。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


核戦争により文明が崩壊し、荒廃した砂漠が広がる世界。生き残った人々は水や燃料を巡り争い、暴力が支配する無法地帯と化していた。元警官のマックス(トム・ハーディ)は、孤独な旅の途中で独裁者イモータル・ジョーの配下に囚われ、「血袋」として利用される。ある日、ジョーの忠実な部下であるフュリオサ大隊長(シャーリーズ・セロン)が反逆を決意し、ジョーが所有する「妻たち」と呼ばれる女性たちを連れて脱出。怒り狂うジョーは、軍勢を率いて彼女たちを追撃する。

砂漠を舞台に繰り広げられる激しいカーチェイスの中で、マックスはフュリオサたちと行動を共にすることを余儀なくされる。彼らは希望の地「緑の地」を目指すが、過酷な砂漠や襲撃者たちに立ち向かわなければならない。生存と自由をかけた彼らの逃走劇は、砂漠の果てに予想外の運命を迎えることとなる。

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の監督・主要キャスト

  • ジョージ・ミラー(70)監督
  • トム・ハーディ(37)マックス・ロカタンスキー
  • シャーリーズ・セロン(39)インペラトル・フュリオサ
  • ニコラス・ホルト(25)ニュークス
  • ヒュー・キース=バーン(68)イモータル・ジョー
  • ロージー・ハンティントン=ホワイトリー(27)スプレンダー
  • ライリー・キーオ(25)キャパブル
  • ゾーイ・クラヴィッツ(26)トースト

(年齢は映画公開時点のもの)

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 4.0 ★★★★☆
・大切な人と観たい 2.0 ★★☆☆☆
・ひとりでじっくり 3.0 ★★★☆☆
・荒廃した世界 5.0 ★★★★★
・カーアクション! 4.0 ★★★★☆

現代技術で進化を遂げたマッドマックス

『マッドマックス 怒りのデス・ロード』は、ジョージ・ミラー監督が1979年の『マッドマックス』で築き上げたポストアポカリプス(終末世界)映画の続編として、観客と批評家から好評を得た。
オリジナル版が描いた荒廃した未来社会やバイクと車を使った迫力のアクションは、当時の映画界に大きな衝撃を与え、後続の作品やゲーム、ポップカルチャーに多大な影響を及ぼした(日本では北斗の拳などが有名)。それから30年以上の時を経て生まれた本作は、オリジナルのスピリットを継承しつつ、現代的な映像表現とテーマ性を融合させた形だ。

まず、アクションのスケールが大幅に拡大されている点が目を引く。前作ではセットやロケーションの制約もあり、アクションが局所的に展開される場面も多かったが、本作では広大な砂漠を舞台にした途切れのないカーチェイスが、冒頭からラストまで繰り広げられる。この連続性は、視覚的な壮大さだけでなく、物語の緊張感を一貫して保つ効果を生んでいる。

まず、本作ではキャラクター性が格段に強化された。旧作のマックス(メル・ギブソン)がほぼ孤高の存在であったのに対し、新作のマックス(トム・ハーディ)はフュリオサ(シャーリーズ・セロン)という強力な相棒を得たことで、よりドラマ性が深まった。フュリオサは、シリーズを通じても極めて重要なキャラクターであり、その背景や動機がしっかりと描かれることで、前作では見られなかったヒューマニズムが映画全体に浸透している。
映像面では、CGを控えめに使用しつつも、膨大なスタントシーンを高品質なカメラワークと編集で仕上げている。これにより、旧作の荒々しい魅力を保ちながら、視覚的な完成度を飛躍的に向上させている。

こぼれ話

本作の制作には膨大な準備期間が費やされ、1987年にはすでに構想が練られていたが、資金や天候、さらに2001年のアメリカ同時多発テロの影響で撮影は何度も延期された。

車両や衣装、小道具はすべてハンドメイドで作られ、独特のポストアポカリプス世界を緻密に再現している。シャーリーズ・セロンとトム・ハーディの間では撮影中に意見の衝突があったが、完成後には互いのプロ意識を称賛し合うコメントを発表している。

イモータル・ジョーを演じたヒュー・キース=バーンは、1979年の『マッドマックス』で敵役トーカッターを演じた俳優。シリーズファンにはたまらないキャスティングとなった。

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