プレデター (1987)の解説・評価・レビュー

Predator SF(地球破壊、パニック)
SF(地球破壊、パニック)ミリタリーアクション

生き残れるか?密林に潜む最凶エイリアンとの死闘アクション! ---

『プレデター』(原題:Predator)は、1987年に公開されたアメリカのSFアクション映画である。監督はジョン・マクティアナン、主演はアーノルド・シュワルツェネッガーが務めた。物語は、南米のジャングルで政府要人救出任務に就いた特殊部隊が、透明化能力や高い戦闘力を持つ未知の地球外生命体「プレデター」と遭遇し、次々と仲間を失っていく中で、生き残りをかけた死闘を繰り広げるというものである。
本作は、アメリカでは1987年6月12日に公開され、世界的に約9,800万ドル(当時のレートで約1,400億円)の興行収入を記録した。公開当初の批評は賛否が分かれたものの、後にSFアクション映画の名作として再評価され、続編やスピンオフ作品が多数製作される人気シリーズとなった。
さらに、本作はジョン・マクティアナンがメジャー監督として認知されるきっかけとなった作品でもある。彼はこの後『ダイ・ハード』(1988)を手掛け、アクション映画の巨匠としての地位を確立した。『プレデター』は単なるモンスター映画にとどまらず、軍事アクション、SFホラー、サバイバルスリラーといった複数のジャンルを融合させた作品として、現在も多くの映画ファンに支持されている。

『プレデター』のあらすじ紹介(ネタバレなし)


アメリカ特殊部隊の隊長ダッチ・シェイファー少佐(アーノルド・シュワルツェネッガー)は、政府高官の要請を受け、南米のジャングルで消息を絶った要人救出の極秘任務を引き受ける。彼は旧友であるCIA工作員ディロン(カール・ウェザース)とともに、屈強な兵士たちを率いて作戦を開始する。部隊はゲリラ基地を急襲し、敵を殲滅するが、要人の姿はなく、現場には異常な形で殺害された米軍兵士の遺体が残されていた。何者かがすでに彼らを狩っていたのだった。

任務を終え、撤収を始めたダッチたちだったが、密林の奥深くで不可解な出来事が続発する。仲間の一人が突然姿を消し、奇妙な足跡や熱を感知する不明な存在が彼らを監視していることが判明する。そして、次々と仲間が何者かに襲われ、無残な姿で発見されていく。
見えざる脅威の正体は、透明化能力を持ち、高度な武器を駆使する地球外生命体「プレデター」だった。異星のハンターであるプレデターは、圧倒的な戦闘能力でダッチの部隊を追い詰め、完璧な狩りを遂行しようとする。ダッチは生き残るためにジャングルの中で孤立し、知恵と肉体を駆使して、この究極の捕食者との死闘に挑むことになる。

『プレデター』の監督・主要キャスト

  • ジョン・マクティアナン(36)監督
  • アーノルド・シュワルツェネッガー(39)アラン・”ダッチ”・シェイファー少佐
  • カール・ウェザース(39)ジョージ・ディロン
  • エルピディア・カリーロ(26)アンナ・ゴンザルベス
  • ビル・デューク(44)マック・エリオット軍曹
  • ジェシー・ベンチュラ(35)ブレイン・クーパー
  • ソニー・ランダム(36)ビリー・ソール
  • リチャード・チェイヴス(36)ホルヘ・”ポンチョ”・ラミレス

(年齢は映画公開当時のもの)

『プレデター』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 5.0 ★★★★★
・大切な人と観たい 2.0 ★★☆☆☆
・ひとりでじっくり 2.0 ★★☆☆☆
・マッチョイムズ 5.0 ★★★★★
・緊張の軍事アクション 5.0 ★★★★★

ポジティブ評価

『プレデター』は、SF、アクション、ホラーの要素が組み合わさった作品。1980年代の映画界を代表するヒット作となった。
南米のジャングルという閉ざされた環境の中で、正体不明の脅威に追い詰められる特殊部隊の恐怖を、スリリングな演出で描いている。監督のジョン・マクティアナンは、本作を単なるモンスター映画ではなく、藪の中に何があるか分からない極限の緊張状態に置かれた兵士たちのサバイバル劇として構築した。

主演のアーノルド・シュワルツェネッガーは、本作でも圧倒的な肉体を誇示し、タフな戦士ダッチを説得力を持って演じている。彼のリーダーシップと機転を活かした戦術は、単なる力任せのアクションではなく、知略を巡らせた戦いへと発展していく。終盤に向けて、シュワルツェネッガーの魅力が最大限に発揮される点も見どころの一つだ。

また、本作の最大の特徴は、やはり「プレデター」のデザインと設定にある。特殊メイクの第一人者であるスタン・ウィンストンが生み出したクリーチャーは、昆虫と爬虫類を融合させたような異様な姿を持ち、デザインが当時のアメリカで大絶賛された。透明化機能や熱探知センサーといった先進的な装備を備えたプレデターの狩猟スタイルは従来のモンスター映画とは一線を画す。

『プレデター』は、単なるエイリアンVS人間の戦いにとどまらず、未知の敵に立ち向かう兵士たちの心理戦とサバイバルの要素を兼ね備えた作品である。アクション映画としての爽快感、ホラー映画としての恐怖、そしてSF映画としての想像力が見事に融合した一作として視聴者の記憶に残った。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

プレデターのキャラデザが、そう見ても日本の戦隊モノの悪役‥であるから、これについて世界的評価と日本の視聴者の感じ方に乖離があるかもしれない。

ストーリーのシンプルさは、本作の長所でもあり短所。物語の展開は「特殊部隊がジャングルで未知の敵に襲われる」という直線的な構成であり、キャラクターの背景やドラマ性を深く掘り下げることなく、ひたすら戦闘とサバイバルが続く。深みのあるストーリーやキャラクターのバックグラウンドを求める視聴者にはやや物足りないかもしれない。異星人としての詳細なバックストーリーも特に無い。逆にいうと、全編で緊張感に満ちた軍事アクションを楽しめる。細かいリアリティよりもエンターテインメント性を楽しむべき映画といえる。今となってはクラシックな名作と評価され、どこにも悪意が無い作品として日曜日の夜にお勧めしたい一作である。

こぼれ話

『プレデター』は、1980年代のアクション映画の中でも特にユニークな経緯で誕生した作品である。本作の着想は、ロッキー・バルボアが「今度は宇宙人と戦うべきだ」というハリウッドのジョークから生まれたと言われている。脚本家のジム・トーマスとジョン・トーマス兄弟は、これを逆手に取り、「最強の兵士たちが未知の敵に狩られる」というコンセプトを打ち出し、現在の『プレデター』へとつながった。

本作の最大の特徴である「プレデター」のデザインは、当初まったく異なるものだった。最初のデザインでは、プレデターは細長い体型に昆虫のような顔を持つクリーチャーであり、ジャン=クロード・ヴァン・ダムがスーツアクターとして起用されていた。しかし、ヴァン・ダムはスーツの動きに不満を持ち、撮影を途中で降板。そこで、特殊メイクの巨匠スタン・ウィンストンがデザインを一新し、現在の「マスクを外すと恐ろしい顔が現れる」プレデターが誕生した。シュワルツェネッガーも、この変更によって映画が大幅に良くなったと後に語っている。

撮影はメキシコのジャングルで行われたが、現場の環境は非常に過酷だった。キャスト全員が激しいトレーニングを受け、撮影の合間にも筋トレを続けるという異例の現場となった。特にシュワルツェネッガー、カール・ウェザース、ジェシー・ベンチュラの3人は筋肉自慢であり、撮影のたびに「誰が一番太い腕をしているか」を競い合っていたという逸話がある。なお、ジェシー・ベンチュラは衣装担当に「君の腕が一番太い」と言われたが、実際にシュワルツェネッガーと測り比べたところ、見事に敗北したという話も残っている。

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