『スクール・オブ・ロック』(原題:School of Rock)は、2003年に公開されたリチャード・リンクレイター監督によるコメディ映画。主演のジャック・ブラックが演じるデューイ・フィンは、ロックに情熱を注ぐものの、売れないミュージシャンとして日々を過ごしていた。しかし、ひょんなことから名門小学校の臨時教師として働くことになり、生徒たちと共にバンドを結成して音楽コンテストに挑むというストーリーが展開する。
本作は、ジャック・ブラックのコミカルで人間味あふれる演技が絶賛され、興行収入は1億3,100万ドル(当時のレートで約150億ドル)以上を記録するヒット作となった。劇中の音楽はロックの名曲が多数使用され、幅広い世代に楽しめる内容に仕上がっている。また、後にブロードウェイミュージカル化も果たし、映画と音楽の融合による新たなエンターテインメントの形を提示した作品でもある。
『スクール・オブ・ロック』あらすじ紹介(ネタバレなし)
売れないロックミュージシャンのデューイ・フィンは、ルームメイトのネッドになりすまして名門小学校の臨時教師として採用される。教育の経験も資格もない彼は、真面目な授業をするどころか、教室を勝手にバンドの練習場として使い始める。
しかし、生徒たちが高い音楽の才能を持っていることに気づいたデューイは、彼らと共にバンドを結成し、地元のバンドコンテスト「バトル・オブ・ザ・バンド」への出場を目指す。最初はデューイのやり方に反発していた生徒たちも、次第に音楽を通じて自分たちの新しい可能性に目覚めていく。一方で、学校や保護者たちには彼の正体がバレそうになり、計画は危機に陥る。果たしてデューイと生徒たちはコンテストで成功を収め、彼らの音楽で観客を魅了することができるのか――。
『スクール・オブ・ロック』の監督・主要キャスト
- リチャード・リンクレイター(43)監督
- ジャック・ブラック(34)デューイ・フィン
- ジョアン・キューザック(41)ロザリー・マリンズ校長
- マイク・ホワイト(33)ネッド・シュニーブリー
- サラ・シルバーマン(32)パティ・ディ・マルコ
- ミランダ・コスグローブ(10)サマー・ハサウェイ
- ジョーイ・ゲイドス・Jr.(12)ザック・ムーニーハム
- ケヴィン・アレハンドロ・クラーク(14)フレディ・ジョーンズ
(年齢は映画公開当時のもの)
『スクール・オブ・ロック』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 5.0 ★★★★★ |
・大切な人と観たい | 4.0 ★★★★☆ |
・ひとりでじっくり | 3.0 ★★★☆☆ |
・楽しい映画 | 5.0 ★★★★★ |
・ロック最高! | 5.0 ★★★★★ |
夢を諦めない大人の姿
『スクール・オブ・ロック』は、ジャック・ブラックの持ち前のエネルギー全開な演技が際立つコメディ映画であり、視聴者に純粋な楽しさを提供している。
ブラックのキャラクター、デューイ・フィンは夢を諦めない大人の姿を全身で表現し、また感化された子どもたちに音楽を通じて自信と新たな可能性を見出させる。
劇中で披露される子どもたちの演奏は、実際に彼らが楽器を演奏しており、作品に一層の魅力を加えている。
リチャード・リンクレイター監督は子どもたちの個性を巧みに引き出し、全員が視聴者に印象を残すキャラクターとして描かれている。また、ロックの名曲が多数使用され、音楽好きにはたまらない選曲が光る。映画のテンポも良く、笑いと感動のバランスが絶妙で、家族で楽しめる作品に仕上がっている。
(あえての)ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
細かいことを気にしたら負けな作品だが、「こんな教師、実際にいたら困る」と思う真面目な視聴者にとっては低評価。
舞台が教育現場とあって、金八先生をイメージするかもしれないが、ここにおいてのデューイは「音楽の素晴らしさを教える」と言いつつ、動機としては自分のバンドを結成することのみ。教師としての情熱ではなく単に「自分がライブに出たい」という私利私欲が100%なのである(そこが清々しい)。そして、ロックの素晴らしさを子どもたちに伝えると言いながら、その選曲は60〜70年代のクラシックロック一色。最新音楽には一切目もくれず、「ロックは昔が最高!」という頑固オヤジ感が漂う。
そこが本質的なこの映画の面白さであり、真剣な大人を見て何をか感じながら育つ子供たちのリアルを表現しているとも言える。
こぼれ話
主演のジャック・ブラックは、本作の脚本を手掛けたマイク・ホワイトの推薦でキャスティングされ、デューイ・フィン役はブラックを念頭に書かれたキャラクターである。そのため、彼の特有のユーモアやロックへの情熱が自然に役に溶け込んでいる。また、劇中で演奏を披露する子どもたちは、オーディションで実際に楽器を演奏できる子どもたちを厳選してキャスティングされており、全てリアルなパフォーマンスが収録されている。
劇中で使われた音楽の選曲には、ジャック・ブラック自身も意見を出し、ザ・フーやレッド・ツェッペリンなど、ロックの名曲が多数取り入れられている。特に、レッド・ツェッペリンの楽曲「移民の歌」を使用するシーンでは、ブラックが直接バンドにビデオレターを送り、使用許可を得たというエピソードもあるほどだ。
この映画の成功は、後にブロードウェイでのミュージカル化にもつながり、2015年にアンドリュー・ロイド=ウェバーがプロデュースしたミュージカル版『スクール・オブ・ロック』が初演された。映画と音楽が生み出す特別なマジックは、スクリーンだけでなく舞台でも広がり続けている。
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