南アフリカの農場からハリウッドの頂点へ、変貌自在の演技派女優
シャーリーズ・セロン(本名:シャーリーズ・セロン)は1975年8月7日、南アフリカ共和国トランスヴァール州ベノニに生まれた。父親は建設会社を営み、母親はドイツ系移民の家庭で育った女性である。セロンはアフリカーンス語を母語とし、農場の中でのびのびとした幼少期を送った。
6歳からバレエを始め、芸術に強い関心を示す一方、15歳のときに家庭内で父親が暴れた際、母親が正当防衛で父親を射殺するという事件を経験する。この出来事はセロンの人生観と表現力に大きな影響を与えたとされる。16歳でモデルコンテストに優勝してイタリアに渡り、その後ニューヨークへ移住。ジョフリー・バレエ団でバレエを学ぶが、膝の故障によりダンサーとしての道を断念する。20歳でロサンゼルスに移り、銀行での口座開設時に激しく抗議した様子をきっかけにスカウトされ、俳優としての道を歩み始めた。
シャーリーズ・セロンの経歴
俳優としてのキャリア
1995年、20歳のシャーリーズ・セロンは映画『2 days トゥー・デイズ』でスクリーンデビューを果たし、ハリウッドでのキャリアをスタートさせた。1996年には『ザ・デビルズ・チェイス』、1997年にはキアヌ・リーヴスと共演した『ディアボロス/悪魔の扉』に出演し、知名度を高めた。1998年、23歳で『セレブリティ』に出演し、同年には『ジョー・ブラックをよろしく』でブラッド・ピットと共演、ハリウッドでの存在感を確立していく。
2000年、25歳のときに『ザ・ヤード』や『バガー・ヴァンスの伝説』などに出演し、ドラマ作品への出演が続く中で演技の幅を広げた。2001年には『スウィート・ノベンバー』で再びリーヴスと共演。私生活では、1997年から俳優のスチュアート・タウンゼントと交際を開始し、同棲生活を送りながら長期間にわたる関係を築いた。
2003年、28歳で主演した『モンスター』では実在の連続殺人犯アイリーン・ウォーノス役を演じ、体重を増やし、外見を変えて挑んだこの演技でアカデミー賞主演女優賞を受賞。2005年には『イーオン・フラックス』でアクション映画に挑戦し、肉体派俳優としても注目を集めた。2007年には『告発のとき』、2008年には『ハンコック』に出演し、幅広いジャンルで活躍を見せる。
2010年、35歳のセロンはスチュアート・タウンゼントと破局し、長年のパートナーシップに終止符を打った。2012年には『スノーホワイト』で女王役を演じ、強烈な存在感を放つ。2014年からは俳優ショーン・ペンとの交際が報じられるが、2015年に破局している。
2015年、40歳で『マッドマックス 怒りのデス・ロード』に出演し、フュリオサ役で世界的な高評価を得る。2016年には南アフリカからの養子ジャクソンに続き、もう一人の養子オーガストの養育を始め、シングルマザーとしての生活を公にした。
2019年、43歳で主演した『スキャンダル』では、実在のニュースキャスター、メーガン・ケリーを演じて話題を呼び、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。2020年代に入っても『オールド・ガード』(2020年)や『ファスト&フューリアス』シリーズなどアクション路線を継続しながら、製作にも関わるなどキャリアの幅をさらに広げている。
製作者としてのキャリア
シャーリーズ・セロンは、俳優業に加えて製作者としても活躍しており、2000年代から映画やテレビシリーズのプロデュースに積極的に関与している。2003年に制作会社「デンバー・アンド・デリラ・プロダクションズ(Denver and Delilah Productions)」を設立し、自身が主演する作品を中心に制作を手掛けている。
2005年には、製作総指揮を務めた『スタンドアップ』でセクシュアルハラスメントをテーマにした社会派ドラマに挑戦。その後、『ヤング≒アダルト』(2011年)、『タリーと私の秘密の時間』(2018年)などの作品でもプロデューサーを務め、独立系映画の制作にも力を入れている。
また、Netflixと提携し、『オールド・ガード』(2020年)を製作・主演。女性主導のアクション映画として話題を集め、続編の制作にも関わっている。さらに、2023年には『アトミック・ブロンド』の続編や、新たなドラマシリーズのプロジェクトも進行中で、映画業界における女性映画人の活躍を支援する活動にも積極的に取り組んでいる。
受賞歴・代表作
2003年の『モンスター』で実在の連続殺人犯を演じ、アカデミー賞主演女優賞を受賞。2019年の『スキャンダル』では再び同賞にノミネートされ、実在の人物を演じる力量を見せた。
代表作には『モンスター』『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『スキャンダル』『スノーホワイト』『オールド・ガード』などがある。