ジャック・ニコルソン

反骨と狂気を内包した、アメリカ映画の異端と巨星

ジャック・ニコルソン(本名:ジョン・ジョセフ・ニコルソン)は1937年4月22日、アメリカ・ニュージャージー州ネプチューンに生まれた。母親はナイトクラブのダンサーで、父親については諸説あるが、幼少期は祖母を母、母を姉と信じて育ち、自身の出自を30代半ばまで知らされなかった。複雑な家庭環境の中で育ちながら、少年時代から映画への関心を抱いていた。

高校卒業後にカリフォルニアへ移り、アニメ制作会社MGMのメッセンジャーとして働き始めるが、やがて演技に惹かれ、俳優養成所で演技を学ぶ。1958年、21歳のときにロジャー・コーマン製作の低予算映画『クライ・ベイビー・キラー』でスクリーンデビューを果たし、以後、B級映画への出演を重ねながらキャリアを築いていった。

ジャック・ニコルソンの経歴

俳優としてのキャリア

1958年、21歳のジャック・ニコルソンはロジャー・コーマン製作の『クライ・ベイビー・キラー』で映画デビューを果たした。その後もコーマン作品への出演を続けながら脚本の執筆にも関わり、地道にキャリアを積んだ。1969年、32歳で出演した『イージー・ライダー』でアカデミー賞助演男優賞に初ノミネートされ、瞬く間に注目を集める存在となる。
1970年には『ファイブ・イージー・ピーセス』、1974年には『チャイナタウン』で主演し、2度にわたりアカデミー賞主演男優賞にノミネートされた。1975年、38歳で主演した『カッコーの巣の上で』では反骨精神あふれる主人公を演じ、アカデミー賞主演男優賞を受賞。この作品で世界的な名声を確立した。

1980年、43歳のニコルソンはスタンリー・キューブリック監督の『シャイニング』に主演し、狂気を孕んだ演技で話題を呼ぶ。1981年には女優アンジェリカ・ヒューストンとの交際を開始。以後、16年間にわたり断続的な関係を続け、ハリウッドを代表するカップルとして知られることとなる。1983年には『愛と追憶の日々』でアカデミー賞助演男優賞を受賞した。
1989年、52歳で『バットマン』にてジョーカー役を演じ、コメディと狂気を融合させた演技で高評価を得た。1990年にはウェイトレスとの間に娘をもうけ、私生活では複数の女性との関係を経て、認知された子どもは5人いるとされている。1994年には私生児の認知裁判が報道され、公私ともに注目を浴びる存在であり続けた。
1997年、60歳で『恋愛小説家』に主演し、アカデミー賞主演男優賞を受賞。これにより、主演・助演あわせて3度のオスカー獲得という快挙を達成した。2002年には『アバウト・シュミット』に主演し、老年の孤独と向き合う演技で再び賞レースに名を連ねた。

2000年代後半には俳優としての活動が減少。2010年、73歳で出演した『幸せの始まりは』を最後に第一線から退き、事実上の引退状態となる。その後は公の場に姿を見せることも稀となったが、2025年には『サタデー・ナイト・ライブ』50周年特番に出演し、健在ぶりを示した。

製作者としてのキャリア

ジャック・ニコルソンは俳優としての活躍に加え、製作者としても映画業界に関わってきた。1970年には『ファイブ・イージー・ピーセス』で製作総指揮を務め、自身のキャリアを確立する重要な一作となった。
また、1978年の『ゴーイング・サウス』では監督・主演を兼任し、監督業にも挑戦した。1980年代以降も『愛と追憶の日々』(1983年)や『アイアンウィード』(1987年)など、製作に関与した作品がいくつかあるが、プロデューサー業に本格的に進出することはなかった。

1990年には『チャイナタウン』(1974年)の続編である『黄昏のチャイナタウン』で監督・主演を兼務し、フィルム・ノワールへの愛を示した。しかし、興行的・批評的に成功とはならず、以降は監督業から退いた。

受賞歴、代表作

1975年の『カッコーの巣の上で』でアカデミー賞主演男優賞を初受賞し、1983年の『愛と追憶の日々』では助演男優賞を受賞。1997年には『恋愛小説家』で再び主演男優賞を獲得し、演技賞3冠を達成した数少ない俳優の一人である。
代表作には『イージー・ライダー』『チャイナタウン』『シャイニング』『恋愛小説家』『アバウト・シュミット』などがある。

ジャック・ニコルソンの出演作品(映画解説)

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SF(地球破壊、パニック)

マーズ・アタック!(1996)の解説・評価・レビュー

火星人vs地球!B級映画オマージュのエンタメ作品!『マーズ・アタック!』は、1996年に公開されたアメリカのSFコメディ映画で、ティム・バートンが監督を務めた。1960年代のトレーディングカードシリーズ「Mars Attacks」を原作とし、ジャック・ニコルソンなど豪華キャストが出演している。
クライムサスペンス

ア・フュー・グッドメン(1992)の解説・評価・レビュー

若きトム・クルーズによる熱い海軍法定ドラマ!1992年公開の『ア・フュー・グッドメン』は、ロブ・ライナー監督による法廷サスペンス映画である。主演はトム・クルーズ、ジャック・ニコルソン、デミ・ムーア。軍内部の腐敗と正義を巡る攻防を描く。
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