ジョニー・クリストファー・デップ2世は、1963年6月9日、アメリカ合衆国ケンタッキー州オーウェンズボロに生まれた。父親は土木技師、母親はウェイトレスで、4人兄妹の末っ子として育つ。家系にはフランス、アイルランド、ドイツ、先住民チェロキーの血が流れているとされる。幼少期、家族は頻繁に転居を繰り返し、最終的にフロリダ州ミラマーに定住した。
12歳のとき、母親からギターを贈られたことをきっかけに音楽に興味を持ち、地元のバンドで演奏を開始。16歳で高校を中退し、プロのミュージシャンを目指してバンド活動に専念した。1980年代初頭には「ザ・キッズ」というバンドに所属し、ロサンゼルスに移住するも、バンドは解散。その後、生計を立てるために様々な仕事をこなしながら俳優への道を模索することとなる。
1983年、メイクアップアーティストのロリ・アン・アリソンと結婚。彼女の紹介で俳優のニコラス・ケイジと知り合い、ケイジの勧めで演技の道に進むことを決意する。これがデップの俳優キャリアの始まりとなった。
ジョニー・デップの経歴
俳優としてのキャリア
1984年、ジョニー・デップは『エルム街の悪夢』で映画デビューを果たす。小規模な役ながらもホラー映画ファンの間で注目を集め、その後、1987年からテレビドラマ『21ジャンプストリート』に出演。若手刑事役で人気を博し、一躍ティーンアイドルとなった。しかし、デップ自身はアイドル的な扱いに不満を抱き、より個性的な役柄を求めるようになる。
1990年、『シザーハンズ』でティム・バートン監督と初めてタッグを組み、感情豊かな人工人間エドワードを演じる。この作品をきっかけに、デップは独特なキャラクターを演じる俳優としての地位を確立。その後も『ギルバート・グレイプ』(1993年)、『エド・ウッド』(1994年)、『スリーピー・ホロウ』(1999年)などで、多様な役柄に挑戦し続けた。
2003年、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』でジャック・スパロウ役を演じ、世界的な大ヒットを記録。奇抜な演技とユーモラスなキャラクターで人気を博し、以降シリーズ化されることとなる。2000年代以降も『チャーリーとチョコレート工場』(2005年)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007年)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)などで活躍し、ティム・バートン作品の常連俳優としても知られるようになった。
私生活では、1990年代にウィノナ・ライダー、ケイト・モスとの交際が話題となり、1998年からフランス人女優のヴァネッサ・パラディと事実婚関係を築く。二人の間には2人の子供が生まれたが、2012年に破局。その後、女優アンバー・ハードと結婚するも、離婚と法廷闘争が大きなスキャンダルとなった。
製作者としてのキャリア
ジョニー・デップは俳優業にとどまらず、映画制作にも積極的に関わっている。2004年には、自身の制作会社「インフィニタム・ニヒル」を設立。プロデューサーとして、独自の視点を持つ作品の制作に取り組み始めた。
2011年には、ハンター・S・トンプソンの小説を原作とした『ラム・ダイアリー』を製作・主演。トンプソンの作品は、過去に『ラスベガスをやっつけろ』(1998年)でも主演しており、彼の作風に深い影響を受けていた。
また、2013年には『ローン・レンジャー』の制作に関与し、ティム・バートン監督作『ダーク・シャドウ』(2012年)では製作総指揮も務めた。自身のキャリアを通じて、独創的な作品を世に送り出すことに尽力している。
受賞歴・代表作
ジョニー・デップは、その独特な演技スタイルと多彩な役柄で数々の賞にノミネートされてきた。2003年、『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』のジャック・スパロウ役でアカデミー賞主演男優賞に初ノミネート。以降、『ネバーランド』(2004年)、『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007年)でも同賞にノミネートされた。
ゴールデングローブ賞では、『スウィーニー・トッド』で主演男優賞(ミュージカル・コメディ部門)を受賞。そのほか、MTVムービー・アワードや全米映画俳優組合賞など、多くの映画賞で演技が評価されている。
代表作には、『シザーハンズ』(1990年)、『パイレーツ・オブ・カリビアン』(2003年)、『ネバーランド』(2004年)、『スウィーニー・トッド』(2007年)、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010年)などがある。ユニークなキャラクターを演じることが多く、ティム・バートン監督とのコラボレーション作品も多い。