キャメロン・クロウ(1957年7月13日生まれ)は、アメリカ合衆国の映画監督・脚本家・プロデューサー。音楽と青春を題材にした作品や、心温まるヒューマンドラマで知られる。代表作には『ザ・エージェント』(1996)、『あの頃ペニー・レインと』(2000)、『エリザベスタウン』(2005)などがあり、独自の感性と音楽への深い愛情を映像に反映させる作風が特徴的である。
カリフォルニア州パームスプリングスで生まれ、10代の頃から音楽ライターとして活躍。音楽誌「ローリング・ストーン」で取材経験を積んだ後、自身の高校生活を基にした脚本『初体験/リッジモント・ハイ』(1982)が映画化され、脚本家として注目を集めた。1989年に監督デビュー作『セイ・エニシング』を発表し、1996年の『ザ・エージェント』で世界的な成功を収める。同作はアカデミー賞5部門にノミネートされ、助演男優賞を受賞した。
キャメロン・クロウの経歴
監督としてのキャリア
キャメロン・クロウは、1989年に『セイ・エニシング』で監督デビューを果たした。本作は青春映画として評価され、ジョン・キューザック演じる主人公がラジカセを掲げる名シーンは象徴的な場面として語り継がれている。
1992年にはシアトルのグランジ・ロックシーンを背景にした『シングルス』を発表し、音楽と青春の融合という自身の作風を確立。続く1996年の『ザ・エージェント』では、トム・クルーズ主演でスポーツエージェントの成長を描き、アカデミー賞5部門にノミネート、キューバ・グッディング・Jr.が助演男優賞を受賞する成功を収めた。
2000年には、自身の音楽ライター時代の経験を基にした『あの頃ペニー・レインと』を発表。ノスタルジックな青春映画として高く評価され、アカデミー賞脚本賞を受賞。劇中に流れる1970年代のロック音楽の選曲も話題となった。
2001年にはスペイン映画『オープン・ユア・アイズ』をリメイクした『バニラ・スカイ』を監督。主演のトム・クルーズと再びタッグを組み、幻想的な映像表現を取り入れた異色作となった。その後、2005年の『エリザベスタウン』ではオーランド・ブルーム主演で人生の再生をテーマにしたロードムービーを手がけたが、評価は分かれた。
2011年には実話を基にした『幸せへのキセキ』を監督し、家族向けの感動作として一定の評価を得た。2015年の『アロハ』はオールスターキャストを揃えたが、脚本やキャスティングの問題が指摘され、批評的には不調に終わった。以降、映画監督としての活動は控えめになり、音楽ドキュメンタリーの制作やテレビシリーズのプロデュースに注力している。
受賞歴・代表作
アカデミー賞(第73回)
脚本賞:『あの頃ペニー・レインと』(2000)
ゴールデングローブ賞
作品賞(ミュージカル・コメディ部門):『あの頃ペニー・レインと』(2000)
英国アカデミー賞(BAFTA)
脚本賞:『あの頃ペニー・レインと』(2000)
全米脚本家組合賞(WGA賞)
オリジナル脚本賞:『あの頃ペニー・レインと』(2000)
シカゴ映画批評家協会賞
脚本賞:『あの頃ペニー・レインと』(2000)
ニューヨーク映画批評家協会賞
脚本賞:『あの頃ペニー・レインと』(2000)
代表作
『セイ・エニシング』(1989) – 監督デビュー作。青春映画としてカルト的な人気を誇る。
『シングルス』(1992) – シアトルのグランジ・ロックシーンを背景にした群像劇。
『ザ・エージェント』(1996) – トム・クルーズ主演のスポーツエージェント映画。
『あの頃ペニー・レインと』(2000) – 自身の体験を基にした青春映画で、アカデミー賞脚本賞を受賞。
『バニラ・スカイ』(2001) – スペイン映画『オープン・ユア・アイズ』のリメイク。
『エリザベスタウン』(2005) – 人生の再生を描いたロードムービー。
『幸せへのキセキ』(2011) – 実話を基にした家族ドラマ。
『アロハ』(2015) – ハワイを舞台にしたロマンティックコメディ。
クロウの作品は、青春、音楽、人生の再生といったテーマを中心に、感情豊かなストーリーテリングが特徴的である