プラダを着た悪魔(2006)の解説・評価・レビュー

プラダを着た悪魔 コメディ(全般)
コメディ(全般)ビジネスドラマ

『プラダを着た悪魔』(原題: The Devil Wears Prada)は、2006年公開のアメリカ映画。ローレン・ワイズバーガーの同名ベストセラー小説を原作に、デヴィッド・フランケルが監督を務めたコメディドラマである。ファッション業界の華やかさと過酷さを背景に、田舎育ちの女性が成長していく姿を描く。主演はアン・ハサウェイ、共演にメリル・ストリープ、エミリー・ブラントらが名を連ねる。

ニューヨークの一流ファッション誌「ランウェイ」の編集長ミランダ・プリーストリーと、新人アシスタントのアンディ・サックスの対立と絆を軸に、仕事や人間関係の葛藤を軽妙かつ感動的に描いた本作は、製作費約4,100万ドルに対し(約50億円)、全世界で約3億2,600万ドル(380億円)を超える興行収入を記録し、大ヒットを果たした。特に、メリル・ストリープが演じるカリスマ的編集長の存在感と、ファッション界のリアルな描写が多くの観客を魅了した。

『プラダを着た悪魔』のあらすじ紹介(ネタバレなし)

ジャーナリストを目指してニューヨークにやってきたアンディ・サックス(アン・ハサウェイ)は、一流ファッション誌「ランウェイ」のカリスマ編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ)のアシスタントとして採用される。しかし、ファッションに無関心なアンディは、厳しく非情なミランダの指示に翻弄され、職場での孤立を深めていく。

次第に、アンディは仕事をこなすために自分を変え、ファッション業界に適応していくが、恋人ネイト(エイドリアン・グレニアー)や友人との関係が次第に悪化。キャリアとプライベートのバランスを保つことの難しさに直面する。一方、ミランダの影響力と完璧主義の背後に隠された人間性にも触れる中で、アンディは「成功とは何か」を見つめ直し、自らの進むべき道を選択することになる。

『プラダを着た悪魔』の監督・主要キャスト

・デヴィッド・フランケル(47)監督
・アン・ハサウェイ(23)アンディ・サックス
・メリル・ストリープ(56)ミランダ・プリーストリー
・エミリー・ブラント(23)エミリー・チャールトン
・スタンリー・トゥッチ(45)ナイジェル
・エイドリアン・グレニアー(29)ネイト
・サイモン・ベイカー(37)クリスチャン・トンプソン
・トレイシー・トムズ(31)リリー
(年齢は映画公開当時のもの)

『プラダを着た悪魔』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 3.0 ★★★☆☆
・大切な人と観たい 4.0 ★★★★☆
・ひとりでじっくり 4.0 ★★★★☆
・アン・ハサウェイ代表作 5.0 ★★★★★
・ファッションも注目 5.0 ★★★★★

新旧スターの競演

『プラダを着た悪魔』は、ファッション業界を舞台にしながら、普遍的なキャリアと人生の選択を描いた点で多くの共感を呼んだ名作。特に、メリル・ストリープのカリスマ的な編集長ミランダ・プリーストリー役は圧倒的な存在感を放つ。彼女の冷徹さの裏にある繊細さを表現した演技は、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされるなど高く評価された。
また、アン・ハサウェイが演じるアンディ・サックスは、夢を追いながら自己を模索する若者として、多くの観客の共感を誘うキャラクターとなっている。ファッションに無頓着だった彼女が、次第に業界に染まりながらも自分自身を見失わない姿は、仕事とプライベートの葛藤に直面する現代女性たちが共感するテーマを提供している。

映画全体を彩るファッションの華やかさも見所。パトリシア・フィールドが手掛けた衣装デザインは、映画公開後もファッション業界で注目され、映画そのものがファッションのアイコン的な存在となった。『プラダを着た悪魔』は、単なるコメディドラマにとどまらず、仕事や人間関係、自己実現について考えさせる一作として、多くの観客の心に残る映画となった。

こぼれ話

メリル・ストリープが演じたミランダ・プリーストリーは、アメリカの有名ファッション誌「ヴォーグ」の編集長アナ・ウィンターをモデルにしているとされ、公開当時は大きな話題となった。
撮影中、メリル・ストリープは役への徹底した没入を貫き、現場でも控えめに振る舞うことで、ミランダの冷たい威圧感を持続させていたという。

衣装デザインを担当したパトリシア・フィールドは、映画のためにシャネルやプラダなど一流ブランドから協力を得て総額100万ドル(約1.2億円)以上の絢爛な衣装を用意し、映画全体に華やかさをもたらした。また、アンディが劇中で着用する衣装は、彼女の成長に合わせて徐々に洗練されていくようデザインされており、物語におけるビジュアル的な変化として視聴者に印象付けた。

さらに、エミリー・ブラントが演じたミランダのアシスタント、エミリー・チャールトンの役柄は、原作には存在しないキャラクターだが、自然な演技が好評を博し観客に強い印象を残した。この役がきっかけで、彼女はハリウッドで注目される存在となる。

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