『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(原題:The Wolf of Wall Street)は、2013年に公開されたマーティン・スコセッシ監督による伝記映画。主演はレオナルド・ディカプリオ、共演にジョナ・ヒル、マーゴット・ロビー。株式仲買人ジョーダン・ベルフォートの実話を基に、彼がウォール街で巨万の富を築き、破滅的な転落を遂げるまでの波乱万丈の人生を描く。金、ドラッグ、セックスに溺れる派手なライフスタイルと、不正取引による成功の裏側が、ブラックユーモアを交えて描かれている。
本作はアカデミー賞で5部門にノミネートされ、批評家からはスコセッシ監督の手腕とディカプリオの演技が高く評価された。過激な内容と3時間近い上映時間ながらも、テンポの良い演出が観客を引き込み、全世界で約4億ドル(約460億円)の興行収入を記録。ウォール街を舞台にした映画の中でも異色のエンターテインメント作として広く支持された。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』のあらすじ紹介(ネタバレなし)
1980年代後半、ニューヨークのウォール街で株式仲買人として働き始めた若きジョーダン・ベルフォート(レオナルド・ディカプリオ)は、投資の世界に魅了され、巨万の富を夢見る。しかし、株式市場が暴落し職を失った彼は、ペニー株(低額株)取引の利益率の高さに目をつけ、新たな道を切り開く。仲間のドニー(ジョナ・ヒル)と共に、詐欺的手法で莫大な利益を上げる会社「ストラットン・オークモント」を設立したジョーダンは、豪華絢爛な生活を満喫しながら、次第にドラッグやセックス、派手なパーティーに溺れていく。
やがてその手法はFBIの捜査対象となり、会社の違法行為が次々と明るみに出る。ジョーダンは富と権力を守るために奮闘するが、次第に彼の築き上げた帝国は崩壊の危機を迎える。成功と転落を通じて、ジョーダンの野望とモラルの欠如が浮き彫りとなる中、彼は何を手に入れ、何を失ったのか――。実話を基にしたスリリングで破天荒なサクセスストーリーが展開する。
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の監督・主要キャスト
- マーティン・スコセッシ(71)監督
- レオナルド・ディカプリオ(39)ジョーダン・ベルフォート
- ジョナ・ヒル(30)ドニー・アゾフ
- マーゴット・ロビー(23)ナオミ・ラパグリア
- カイル・チャンドラー(48)パトリック・デナム(FBI捜査官)
- ロブ・ライナー(66)マックス・ベルフォート(ジョーダンの父)
- ジョン・バーンサル(37)ブラッド(密売業者)
- マシュー・マコノヒー(44)マーク・ハンナ(証券仲買人)
(年齢は映画公開時点のもの)
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』の評価・レビュー
・みんなでワイワイ | 2.0 ★★☆☆☆ |
・大切な人と観たい | 1.0 ★☆☆☆☆ |
・ひとりでじっくり | 5.0 ★★★★★ |
・過激な社会風刺 | 5.0 ★★★★★ |
・こんな会社嫌だ | 5.0 ★★★★★ |
ウォール街の狂乱
『ウルフ・オブ・ウォールストリート』は、元投資ブローカーで、相場操縦のため服役したジョーダン・ベルフォートの回想録『ウォール街狂乱日記 – 「狼」と呼ばれた私のヤバすぎる人生』を元にした伝記映画。マーティン・スコセッシ監督が描く過激で挑発的な描写が高く評価され、特にレオナルド・ディカプリオの熱演が話題となった。
印象的なのは、ストラットン・オークモント社内で繰り広げられるやりたい放題の日常。従業員たちがドラッグやアルコールに溺れ、オフィスが乱痴気騒ぎの場と化す様子は、観客を驚愕させつつも笑わせる破壊力を持つ。この無秩序さが、金と権力に取り憑かれた企業文化を象徴し、過剰さを徹底的に追求する演出の一端を担っている。ディカプリオはジョーダン・ベルフォートの破天荒な性格やカリスマ性を見事に表現し、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされる。
ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素
主人公の道徳の欠如が一部の観客には不快感を与え、「気持ち悪い」という声もある(そういうブラックコメディなのだが、好みが分かれる)。ジョーダン・ベルフォートという人物が結果的に罰せられながらも、物語全体では彼の生き方を美化しているように受け取られる点に対し、倫理的な賛否が巻き起こる。
また、上映時間が3時間近くに及ぶため、退屈ではないが腰を据える必要あり。
こぼれ話
本作は、主人公ジョーダン・ベルフォート本人も映画の制作に関与している。ディカプリオの演技は、本人からの直接指導を受けたもの。
また、ジョナ・ヒルはこの役を熱望し、俳優組合の最低報酬に近い額で出演したというエピソードがある。
映画に登場する大量のドラッグや派手なパーティーシーンは、実際には無害なプロップやエフェクトを使って撮影されている。
マシュー・マコノヒーが演じるマーク・ハンナが胸を叩きながらハミングするシーンは、彼自身の即興演技であり、ディカプリオも即座に取り入れたことで名場面となった。
2023年の超ヒット映画『バービー』の主演を務めたマーゴット・ロビーのキャリア初期の出演作。
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