メリーに首ったけ (1998)の解説・評価・レビュー

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ラブコメディ

1998年公開の『メリーに首ったけ』(原題:There’s Something About Mary)は、ファレリー兄弟(ボビー・ファレリー、ピーター・ファレリー)監督によるロマンティック・コメディで、爆笑とハートウォーミングな要素が詰まった作品として高い人気を誇る。主演はキャメロン・ディアスとベン・スティラーで、さらにマット・ディロンが物語を盛り上げる重要な役どころを演じている。

物語は、高校時代の初恋相手メリー(キャメロン・ディアス)を忘れられないテッド(ベン・スティラー)が、13年ぶりに彼女を探し出そうとするところから始まる。しかし、メリーに想いを寄せるのはテッドだけではなく、彼女の美しさと魅力に惹かれた様々な男性たちが次々と現れ、物語は予測不能な展開を見せる。

本作は、過激なユーモアと感動的な恋愛ドラマを絶妙に融合させたコメディとして大ヒットを記録。全世界で3億6,900万ドル(約480億円)を超える興行収入を達成し、キャメロン・ディアスはその愛らしさとコミカルな演技で一躍スターの座を確立した。下ネタやシュールな笑いを含みつつも、純粋な恋愛物語としても楽しめる一作として、現在でも多くの人々に愛される名作である。

『メリーに首ったけ』のあらすじ紹介(ネタバレなし)

高校時代、冴えない少年テッド(ベン・スティラー)は、美しくて聡明な同級生メリー(キャメロン・ディアス)に恋をする。意外にもメリーからプロムに誘われ、夢のような一夜を過ごすはずだったが、テッドは当日に思わぬ事故を起こし、それをきっかけに二人は疎遠になってしまう。それから13年が経ち、テッドは今でもメリーを忘れられず、再び彼女に会うため、私立探偵のヒーリー(マット・ディロン)を雇うことを決意する。

しかし、メリーのことを調査するうちに、ヒーリー自身も彼女に夢中になってしまい、テッドを出し抜こうと嘘をついて彼女に近づく。一方で、メリーの周囲には他にも彼女に恋心を抱く男性たちが現れ、彼らの思惑が交錯していく。テッドはメリーに真実の気持ちを伝え、彼女の心を掴むことができるのか――。

予測不能な笑いと恋愛模様が入り乱れる中、純粋な愛情とユーモアが融合したロマンティック・コメディが展開される。果たして、メリーが選ぶ「運命の人」とは誰なのか?

『メリーに首ったけ』の監督・主要キャスト

  • ボビー・ファレリー(40)監督
  • ピーター・ファレリー(41)監督
  • キャメロン・ディアス(26)メリー・ジェンセン
  • ベン・スティラー(32)テッド・ストローマン
  • マット・ディロン(34)パット・ヒーリー
  • リー・エヴァンス(31)タッカー / ノーマン・ピピ
  • クリス・エリオット(38)ドム・ウォガノウスキー
  • マーク・イエロー(40)ウーギー

(年齢は映画公開当時のもの)

『メリーに首ったけ』の評価・レビュー

・みんなでワイワイ 5.0 ★★★★★
・大切な人と観たい 3.0 ★★★☆☆
・ひとりでじっくり 2.0 ★★☆☆☆
・90年代を代表するラブコメ 5.0 ★★★★★
・キャメロン・ディアス 5.0 ★★★★★

時代を映すヒロイン

『メリーに首ったけ』は、キャメロン・ディアスを世界的なスターダムに押し上げたラブコメのヒット作。過激なユーモアとロマンティックな感動を見事に融合させ、同ジャンルの傑作として高い評価を受けている。ヒロインの魅力が全編を通して輝いており、メリーというキャラクターの愛らしさと人間味が男女問わず視聴者の関心を引きつける主要な要因となっている。

脚本も、下ネタやブラックユーモアといった攻めた演出がありながらも、それが過剰に感じられない絶妙な調整によって、純粋なラブストーリーとしての感動を損なわない巧みなバランスが秀逸。

ベン・スティラーやマット・ディロンをはじめとするキャスト陣も、それぞれの個性的な役柄を巧みに演じている。スティラーは不器用で憎めないテッドを、マット・ディロンはコミカルな探偵ヒーリーを、それぞれ共感されるキャラクターとして表現し、映画の笑いをさらに引き立てる。

ネガティブまたは賛否が分かれる評価要素

『メリーに首ったけ』への低評価は、ほぼ、「下ネタをはじめとするユーモアが人によって合わない」ことに集約できる。現代の視点で見てさほど過激な内容とも思えないが、合わない人は「攻撃的な作品」とさえ表現する。攻めたラブコメであることには違いない。ちなみにR15 指定作品である。

こぼれ話

メリー役を演じたキャメロン・ディアスのユニークな髪型が話題になった、あの「伝説的なシーン」。実はこのシーンの撮影では、キャストやスタッフが現場で大爆笑し、リハーサルから笑いが止まらなかったと言われている。この場面は当時の映画界でもかなり挑戦的で、結果的に本作を象徴するシーンの一つとなった。

また、ベン・スティラーが演じるテッドの不器用さを強調するため、スティラー自身が積極的にギャグのアイデアを提案していた。特に高校時代のプロムのシーンは、彼自身の実体験が元になっている部分もあるという。さらに、探偵ヒーリー役のマット・ディロンは、この作品の撮影を通じてキャメロン・ディアスと交際に発展したことでも知られており、当時のメディアで話題を呼んだ。

ファレリー兄弟監督は、映画のコメディ要素だけでなく、音楽にもこだわりを見せている。劇中で使用される曲は、物語のトーンを明るくするために厳選されており、サウンドトラックもヒットした。また、映画内で登場するギターを持った歌手は、実際に曲を担当したジョナサン・リッチマン本人がカメオ出演しており、視聴者に楽しいサプライズを提供している。

さらに、本作の公開後、下ネタやブラックユーモアを大胆に取り入れたコメディ映画が増えるきっかけとなり、『メリーに首ったけ』はジャンルの潮流を変えた作品とも評されている。現在でもその独創的な笑いと感動の融合が多くのファンに愛され続けている。

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